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なぜか涙が止まらなくなる「世界一キライなあなたに ME BEFORE YOU」2016年制作 

2017-03-07 16:05:47 | 映画

 
 朝、目が覚めるのが怖い。夢の中の自分はスポーツ万能でスキーやサーフィン、ダイビング何でもござれで、その上ハンサム、さらにお城に住む由緒ある家柄、そして事業に成功している青年実業家ウィル・トレイナー(サム・クラフリン)だった。目が覚めると四肢麻痺で首から下は動かない。その現実に戻るのが怖い。

 雨の強く降る朝6時30分、恋人の温もりから外に出たときバイクがウィルを直撃する。脊髄損傷の四肢麻痺で人生は暗転する。気難しく塞ぎがちになったウィル。

 彼の母親は、介助をする女性を募集する。職安で紹介されてきたのは、ルイーザ・クラーク(エミリア・クラーク)だった。何の混じりけもない心を持ち明るい性格の彼女は、廃業で辞めたパン屋でも人気のルイーザだった。

 6ヶ月限定の就職。それはウィルが生きるのに耐えられずスイスにある自殺幇助機関「ディグニタス」で人生を終わらせるまでの期間だった。ルイーザは、ウィルが生きる希望を持てるようにあらゆる機会を提供する。

 街に出かけたり、音楽会に行ったり、遠く旅をしたり、こんな二人はやがて恋に落ちる。ある夜の海辺、熱いキスのあとウィルが言う。
 「君を縛りたくない。ボクのために普通の幸せを逃すなんて、いつか君が少しでも後悔するのを見たくない。妙な格好で歩き回る君や、裸の君を見ても何も出来ないなんて、どんなに抱きたいか君には分からない。このまま、生きられない」
「やめて! それ以上言わないで。勝手すぎるわ。想いをさらけ出したのに“ノー”を繰り返すだけ。その上、最悪の事態を見届けろなんて、どれほど残酷か。この仕事にもあなたにも出会わなければよかった」と言って去っていった。

 ルイーザは悩んでいた。本当の愛とは? 父の言葉で決断した。彼の最後を見届けて記憶にしっかりと焼き付けること。ルイーザはスイスへ。

 病室で最後のキス。ウィルが「両親を呼んで」そう、命を絶つための薬物の摂取だ。パリの街角のカフェテラスで手紙を読むルイーザ。
 「ルー、これを読むのは数週間後で指示に従ってればパリの舗道のイスに座っているはず、天気ならいいが。橋を渡ると香水ショップが見える。“パピオン”を試してみて、君に似合う香りだ。
 君が感情的になると思って伝えられなかったことがある。今、言うよ。ローラーに託した口座の金で新しいスタートを、一生遊んで暮らせる額ではないが“自由”は買えるしあの街を出ることは出来る。果敢に生きろ、落ち着いたりするな。
 君の溢れる可能性が花開くきっかけになったら嬉しく思うよ。それじゃ、お別れだ。君は心に刻まれているよ。初めて会ったときから可愛い笑顔と奇妙な服とクサいジョークと感情を隠せない素直さで。僕を焦がれるな、悲しんで欲しくない。健やかに生きていけ。僕は君と共にいるから、君のウィルより」
 止めどなく流れる涙をとめることができなかった。そして、演じた二人の俳優の爽やかさが印象に残った。

 それではどのように自殺幇助を行うのだろうか。ウィキペディアを引用しよう「ディグニタスの書類審査に通れば医師やカウンセラーと複数回以上の面談を行い決定する。 クールダウンの時間を十分に取るように面接の間隔があいている。スイスの法律に認められた書類に署名する。
 
 致死薬投与の直前には最終の意思確認が行われ、考え直す時間が必要かどうか尋ねられ、最後まで自由意志で撤回も選択できるようにされている 。
 
 用いられるものは、制吐剤 ネンブタール、 マグカップ、 水 、電子レンジ、 濃縮果汁タイプのシロップ、 オレンジピールのチョコレート。
 居心地の良い高級ホテルのような部屋で、リラックスできる環境と安心感を与える幇助者のもとで行われる。
 
 致死量を超える粉末状のネンブタールを1杯の水に溶かし、レンジで加熱したものにオレンジ系の濃縮果汁シロップを加えて飲み易く味を整える。果汁の中でもオレンジ系がもっとも飲み易い。
 加工したネンブタール液を服用する30分前に強力な制吐剤を服用させる。 制吐剤の座薬を併用するのも可である。
 
 また、ネンブタールは苦味があって飲みにくいため、オレンジピールの入ったチョコレートを用意しておき、薬を飲んだ後素早く口の中に入れて齧る。
 
 ネンブタール過剰摂取は、生体反応により嘔吐を起こすが、電子レンジで薬の濃度を濃縮し、加工することで、嘔吐や拒絶反応を起こすことなく、確実に中枢神経系を停止させることを可能にしている。濃度や電子レンジの加工時間は企業秘密で、非公開とされている。
 
 致死量を摂取したクライアントは、5分以内に次第に呼吸が浅くなり昏睡状態へと移行し、30分以内に呼吸が停止し死に至る」とある。

 これは想像するだけで息が詰まりそうになる。しかし、眠るように死ねることも確かのようだ。
 


 この映画のサウンドトラックがCDになっているが、その中で最もふさわしいと思う曲「Don't Forget About Me」をClovesでどうぞ!
劇場公開2016年10月
 
監督
テア・シャーロック出自不詳、女性監督。

キャスト
エミリア・クラーク1987年5月イギリス、ロンドン生まれ。
サム・クラフリン1986年6月イギリス・イングランド生まれ。

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人生いつまでも男と女「アンナとアントワーヌ愛の前奏曲」2015年制作 劇場公開2016年9月

2017-03-05 15:31:01 | 映画

 80歳に近いクロード・ルルーシュと83歳のフランシス・レイのコンビが放つ原題「UN+UNE」。フランス語には疎いけど、ネットで調べてみるとUNは「一つ」、UNEも「一つ」1+1は2.加えてUNは男性名詞の前につく不定冠詞、UNEは女性名詞の前につける不定冠詞という説明。広く解釈して男と女で間違いないかも。

 80歳代の男が大人の恋を性懲りもなく描き続ける。その情熱には、このお二人がいまだにそれぞれ恋をしているのではないだろうか。脚本もクロード・ルルーシュで、彼の頭の中にある女性像が自らの体験に基づいて描かれていると言ってもいいかもしれない。すべてに共感できるから観ていて楽しい。

 有名な音楽家アントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、インドの映画監督の作品に音楽をつけることになる。その監督ともどもインドのフランス大使館での歓迎晩餐会に呼ばれる。そこで隣に座るフランス大使サミュエル(クルストフ・ランベール)の妻アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)と意気投合。

 アントワーヌは頭痛の持病で悩んでいてインドの監督が医者に連れて行った。診断は血栓ができているとう。猶予は出来ない。

 一方、アンナも子供に恵まれないという悩みを抱えていた。インドには神の存在と言われる霊験あらたかで有名なアンマという女性祈祷師がいる。アンナはそこにいくと言う。頭痛持ちのアントワーヌもアンナを追って合流する。これからの展開は、予想できるだろう。

 そこまでのセリフも楽しい。いきなりこんな会話は、ちょっとやりすぎかな。夫サミュエルが晩餐会中妻アンナがアントワーヌにだけ目を注いでいたのを嫉妬で逆上して追い出してしまう。アントワーヌの部屋に逃れての会話
「晩餐会で何を考えていたの?」とアンナ。
「こう考えていた。彼女は浮気するのか? 寝たらどんなか? 好みの体位は? そんなことを考えていた」
「冗談ばかりね。私を抱きたいか知りたくて」

 これだけの会話をしておきながら、その夜は何も起こらない。もっと後のシーンで使ったほうがよかったかもしれない。

 聖地バラナシへの船の上で欄干にもたれて流れる景色を眺める。
アンナ「この瞬間、どんな音楽が合う?」
アントワーヌ「オペラかな」
「オペラ?」
「そうだ」
「オペラなんか、書けるの?」
「映画と同じさ」
「何よ、怒ったわけ?」
「映画音楽はオペラだぞ。生きていればモーツァルトもやる。多くの映画にショパンやラフマニノフが使われているだろ」

 時々私も考える。例えば、海辺に佇み何かを考えるとしよう。映画なら音楽が流れるが、現実世界ではそんなドラマティックにはならない。ただ打ち寄せる波の音となんとなく感じる大気の振動ぐらいだ。そういう雰囲気に浸ったとき、アンナの言う「どんな音楽が合うのだろう」と思う。特に恋人と海辺を歩くとき、そんな思いになるのではないか。多分。

 そして遂にアンナとアントワーヌは一線を越えた。
朝食を共にしながらアントワーヌ「昨夜は悪かった」
「何を言うの」
「うまくできなかった。あなたを失望させた」
「いいえ、ちっとも」
「おとなしすぎた」
「ええ、そうね」
 このセリフだけで内容が十分わかるし、アントワーヌという男が単なる女たらしでないことも分かる。彼は女性を崇拝して女神のように思っているはず。そうでなかったら、アントワーヌの言う「熱烈な女性収集家」にはなれない。

 そういう男のせいかいつまでも身を固められないでいる。 が、身を固める兆しがないでもない雰囲気で映画は終わる。

 ちなみにアンマに抱擁されたアンナは飛行機恐怖症が治り後に妊娠する。アントワーヌの頭痛も消える。本当かな? それを実証するには、現実に存在するアンマ(正式名:シュリー・マーター・アムリターナンダマイー・デーヴィ)の許に行ってみてもいいかもしれない。
 
監督
クロード・ルルーシュ1937年10月パリ生まれ。1966年「男と女」でアカデミー賞脚本。賞を受賞。2007年「それぞれのシネマ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画」以来8年ぶりの作品。
音楽
フランシス・レイ1932年4月フランス、ニース生まれ。1998年「幸せ」以来17年ぶり。

キャスト
ジャン・デュジャルダン1972年6月フランス生まれ。2011年「アーティスト」でアカデミー主演男優賞受賞。
エルザ・ジルベルスタイン1968年10月パリ生まれ。
クリストフ・ランベール1957年3月ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。
アリス・ポル出自不詳


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「おとなのワケあり恋愛講座」2014年制作

2017-03-03 15:53:41 | 映画

              
 主演は、ピアース・ブロスナン。好きな俳優でもないが歳をとって渋みが出てきたかな。お話というのは、父親がそうであったようにリチャード(ピアース・ブロスナン)もケンブリッジ大学の教授で女たらしだった。

 今まさに教え子ケイト(ジェシカ・アルバ)から告白を受けていた。「出来ちゃったの、アメリカのロサンゼルスに帰るわ」リチャードは選択を迫られたいた。アメリカに行くか残るか。結局ケイトについてアメリカに行った。

 ところが理由は定かでないが、ケイトは不倫した。それを告白したもんだからリチャードの逆鱗に触れた。それ以来二人は冷たい関係。二人の間に男の子が一人。

 世間ではよくあることだよね。歳相応の相手というのがあって、リチャードもケイトの姉オリビア(サルマ・ハエック)と燃え上がるという寸法だ。

 あれやこれやと恋愛にはつきもので、収まるように収まるというのがこの映画も例外ではない。映画を観ていて何かを気がつくことがあるが、この映画の場合、リチャードの親父さんゴードン(マルコム・マクダウェル)が亡くなって霊廟の壁に嵌め込まれていたのは「PARTY'S OVER」の碑文と共に「ゴードン・ヘイグ教授1931-2014、ここに眠る」とある。PARTY'S OVERというスラングを碑文にしたゴードンの洒落気が印象的。

 生前ゴードンが言っていたのは、「アメリカの女は最初は楽しいかもしれんが、じきにセックスをやめメシばかり食うようになり、しまいにはただのデブになるんだ。自己啓発やらブランドやらフローズンヨーグルトやらに夢中になっている。扱いづらくて身勝手で虚栄心の強い生き物だ。間違っても手を出すな!」と言いながらロサンゼルスに行ったことを「ビーチ、ビキニ、若い女もっと早く行けばよかった」しかも遺灰をロサンゼルスの海に流せと遺言する。

 たしかに、ゴードンの言うアメリカ女性の洋梨型の体形には「何とかしろよ」と言いたくなる。その点、日本女性は洋梨型が少ないのはいいね。

 そうは言ってもイギリスはイギリスのよさがあり、曇り空が多いが落ち着いた雰囲気はいい。思いっきりからっとした開放感のあるロサンゼルスの魅力も捨てがたい。ケンブリッジの学生の描き方とUCLAかもしれないアメリカの学生の描き方が対照的。ケンブリッジは真剣に学んでいると言う雰囲気。アメリカはリチャードの講義を聴いているのか聞いていないのか、スマホをいじったりパソコンを覗き込んだり集中力に欠ける。

 やっと気づいたリチャードは、講義の内容を変える。するとパソコンは閉じられ、スマホの電源が切られ目がリチャードに向く。リチャードは、大学の教授として正式に認められオリビアとも結婚、めでたし、めでたし。
 
監督
トム・ヴォーン1969年イギリス、スコットランド生まれ。

キャスト
ピアース・ブロスナン1953年5月アイルランド生まれ。
サルマ・ハエック1966年9月メキシコ生まれ。
ジェシカ・アルバ1981年4月カリフォルニア州ボモーナ生まれ。
マルコム・マクダウェル1943年6月イギリス、ヨークシャー州リーズ生まれ。

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EDMのコンテストへ「ウィ・アー・ユア・フレンズWe are your friends」

2017-03-01 17:12:45 | 映画

              
 さて、EDMってご存知でしょうか? 私も知らなかった。これが分かるようならかなり若いといえる。「エレクトロ・ダンス・ミュージック」のことらしい。私の見たところパソコンとレコーディング・スタジオにあるようなずらりとキーが並んでいる機械を駆使して音を作り出す。

 ディスコのDJ(ディスク・ジョッキー)ではあるが、ウィキペディアにはこういう記事がある。「特殊な奏法(スクラッチ、トリックミックス、ジャグリング、トーンプレイ、ボディトリック)を専門的に行うDJをバトルDJと呼ぶ場合がある。クラブフロア等の選曲主体のDJとは異なり、音を楽器のように扱うことに長けたDJである。バトルDJの技術が高度化するに従い、それを競う大会が開催されるようになった。国際的なバトルDJ大会でも複数の日本人が優勝している」

 グラミー賞にも「ベスト・エレクトリック・ダンス・アルバム」部門があるくらいだから、この映画は、バトルDJを題材にしていると思って間違いない。

 街の不良青年というのか、四人の男が定職につかず小遣いはマリファナを売って稼ぎ、夜はディスコで女を見つける。その中にバトルDJを目指すコール(ザック・エフロン)がいた。

 今夜も契約しているギャラなしアルコール飲み放題のディスコ・クラブで、友達3人といつもの夜を過ごしていた。夜気の中でマリファナ入りのタバコを吸っていると、先ほどまでDJを務めていたバトルDJの先輩ジェームズ・リード(ウェス・ベントリー)がたたずんでいた。初対面の挨拶代わりにマリファナ・タバコを差し出した。これが縁でなにかと気にかけてくれるようになる。

 リードにはソフィー(エミリー・ラタコウスキー)という恋人がいる。リードが仕事で留守中、コールはソフィと一夜を共にする。リードに知られることになるが、コールは詫びを入れてサマー・フェスティバルへ出場となる。

 リードによれば、ソフィーは出て行ってノース・ハリウッドのオーガニック・カフェでバイトをしているとのこと。サマー・フェスティバルは成功に終わる。コールは、ソフィーとの愛を確認して、フェスティバルの成功を祝う。
 
 こういうディスコ音楽も悪くはない。体を動かすにはいいかもしれない。歳と相談の上がよろしいかも。2015年制作 劇場公開2016年6月

サマー・フェスティバルで演奏された場面の曲をどうぞ!



監督
マックス・ジョセフ出自不詳 CMやミュージック・ビデオ関係出身。

キャスト
ザック・エフロン1987年10月カリフォルニア州生まれ。
エミリー・ラタコウスキー1991年6月イギリス、ロンドン生まれ。
ウェス・ベントリー1978年8月アーカンソー州生まれ。
シャイロ・フェルナンデス1985年2月カリフォルニア州生まれ。
アレックス・シェイファー出自不詳。
ジョニー・ウェストン1988年サウス・カロライナ州生まれ。

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