皆様、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。
さて、今年最初はしばらくご無沙汰していたCOM本誌より。
COM 1968年1月 新年特別号掲載 のあすな ひろし氏です。ゲストまんがシリーズのNo.6ということで表紙がカラーの特別扱いになってます。
ずいぶん COMの中のあすな ひろし ① 「美女ありき」(去年7月2日の記事) から次の紹介が遅れてしまいましてすいません。あすな氏のCOM掲載9作品のうち、最初に掲載されたものです。
あらすじ
1933年ドイツ、上司のレーマン博士とともに陽子と反陽子の反応による素晴らしいエネルギーの研究をしていたヨハンは、その為に軍部に捕らえられ、無理やりロケットの研究をさせられそうになる。
自分の研究を兵器に利用されることを恐れた博士はヨハンとともに宇宙へロケットで逃げ出そうと企てるが、ヨハンが恋人のイルゼへ手紙を出したことにより発覚し、レーマン博士とヨハンは身重のイルゼを残して急いで宇宙へ飛び出さざるを得なかった。
放射能を浴びた博士は出発後すぐに亡くなり、ヨハンはひとり宇宙をさまようことになる。それは34年の長きにわたったのだった。
1968年、今地球時間の新しい年が明ける。疲れ果てたヨハンは博士から決して出してはいけないと言われていた秒速30万キロの光の速度を出して、懐かしいイルゼの待つ地球へ帰ることを決意する。
四次元の世界に入り時間が戻って昔のイルゼに会えるのか、それとも物質が高速になったときに光の粒子となり、走りすぎる光と消えてしまうのか、どちらかに賭けたのだ。
同じ頃イルゼは息子や孫達と住む家の庭に座っていた。一瞬青い大きな光がイルゼを包む。家族が驚く中、あのときから盲目のイルゼは何かを感じたように静かに家に戻るのだった。
SFではあるのだけれど、34年にわたるラブストーリーの方に重きがある佳作と思います。二人は宇宙と地球に34年間も離れているのに、お互いを忘れずに想っている。そして彼は自分が消えてしまうとも、イルゼの居る懐かしい地球に最期に戻りたいと思うのです。
イルゼはしっかりとその想いを感じて満足し、多分その後いくらもしないで亡くなるのだろう。 (これは私の想像)
1933年当時、宇宙空間を何年も航行できるロケット(しかも水・食料はどうすんのさということは置いといて)が出来ていたとはびっくりだけど、すでにドイツでは終戦当時実際に小型のロケットが開発されていたということですから、ありえなくも無い話です。
博士の言う光のスピードが三次元から四次元へのポイントとなるという説や、三次元の物体はすべて高速に耐えられないのではないかという話が、子供の私にもちょっと科学をかじった気がして興味深かった気がするな。今はどういう説になっているんだろうか ???