猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

COMの中の 矢代 まさこ ② 「笑いかわせみにいえない話」

2007年05月18日 10時14分15秒 | まんがエリートのための雑誌 COM
  矢代 まさこ短編シリーズ ② 「笑いかわせみにいえない話」 小さな声で読んでください。(注釈つき)


 作者の自伝的及び当時の生活をつづったような作品。


あらすじ

 主人公が必死で仕事 (まんが家らしい) をしていると、頭ン中のどこだか、耳の底のどのへんだかで、笑いかわせみの声が聞こえてくる。するとこの世の全てがしらけてしまってやる気を失う主人公。なんとか出来上がった作品を各社の編集者に見せている図。いろいろ言われて描き直してみたりするが、いよいよ行き詰ってしまい、ついに精神科に行ってみた。

 脳波を調べる機械やら、ロールシャッハテストなどやらされ、医者は次に生い立ちを話せと言う。

 絵を描くのが好きでしてね、ずっと描いていたんですが、高校生の頃か (制服を着ているので) 新人マンガ家募集!!に応募してみた。見事入選し、天にも昇る心地で教師の家に報告に行ったり親を納得させたりする。本が出来て送られてくると抱いて寝るほど嬉しかった。
 その後アイデアやストーリーが次々と浮かんでまんが家生活は順調だったが、才能がそんなになかったのかどうか、2年もするとしんどくなって来た。もっともその頃はまだ笑いかわせみの笑い声が聞こえなかっただけましだった。

ただのスランプですかね、先生。

それはもっと一流が使う言葉と違うけ?

ところであんた、生い立ちを聞くとたしか女の子じゃな

 そういえば幼い時から上京する頃までは女の子の姿。しかし今はどう見ても男の姿で描かれている。

はて、いつから男になったのか

 自問自答する主人公。女を捨てて仕事をしてきたと言うことを表現しているものか?

 子供の頃に戻りたいと遊園地に出かけた主人公は 鏡のお城に入ります。ひとり静かに自分をみつめるにはもってこい、と一大ロマンの構想を練り始めます。しかし、おかしいよねこのマンガ・・・と考え始めるとキリがなくなり、笑ったり落ち込んだり、暗い部屋の中でふと気づくとあちらにもこちらにも同じように笑って泣いて悩んでいる自分の姿が・・・・・。

 はて、本物の僕 (?) はどれだろ ? あっちでもこっちでも同じ事言ってるよ。それからの自分は何をしても自分の姿を目の当たりに見せ付けられ、露骨な恥ずかしさを覚え、何もかもが空々しく白けてしまい、笑いかわせみの笑い声は鏡に映る自分自身の笑い声だったかと・・・。 (怖わ~)
 その人、それっきりその部屋から出てこなかったんだそうです。

 けど、このことは笑いかわせみに内緒にしといてくださいよ。聞かせるとケララケララとそりゃあもう、うるさいんだから。

 下手なホラーより、創作する全ての人に怖い話。自分の作品に自信が持てなくなり、あれこれ悩みぐるぐるしているうちに思考が停止して・・・ 逃げ出したくもなります。引きこもりにもなります。無から何かを創り出す人たちはみんなこんな苦しみを味わっているのでしょうか。

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