Humankind 希望の歴史(ルトガー・ブレグマン)に「友情が戦争を進める、集団形成の共感と他集団への憎悪のジレンマ」( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/40023f09bc6c17f5347d1ac53354b04e )とあった
本書は組織運営の人数単位の特質分析と組織管理の観点、働き方としてファシリティ・マネージメントやリモート・ワークのありかたを分析・提言している、オクスフォード・ストラテジック・リーダーシップ・プログラム(OSLP)に関係する3人の著作となっている
知見は:
・5人:もっとも親しい友人の数、迅速な判断(図2-6 5人が最も効率よく10人が最も非効率となる曲線)、チームの人数、対面・接触の度合いが高い→京セラのアメーバ経営では、組織を5~10人程度の小集団(アメーバ)だが
・15人:親友の数、ブレーン・ストーミング適応、10日に1度くらいの接触
・50人:良好な関係の友人の数、民主的に運営できる集団の最大の数
・150人:友人の数、ダンパー数、この人数を越えると「内集団」と「外集団に」分かれサイロができ相互信頼が薄れる、社会脳仮説から算出
・上記は3の倍数の関係にある:層状構造
・150人を超えるとスケーラー・ストレスが発生し不安定になる(図2-2からは100人が最も効率的、150人から急落)
・帰属意識のある職場:フリー・アドレスはその反対であり効率性とコスト・ダウンの追求
・帰属意識のある集団:疑似血縁(家族の絆に似たもの)、友情の七本柱(ホモフィリー効果(友人同士が似ている傾向)):言語、生まれ育った土地、教育とキャリア、趣味と興味、世界観、ユーモアのセンス、音楽の好み、心理的セイフティ・ネットとウエルビーイング、ただし似たもの同士だとイノヴェーションが生まれない、サイロから出るのも大切、新たな人材を歓迎すのが大事
・友人は多くても少なくても鬱症状、5人が最適
・チーム・ワークのある職場は孤立した職場より友情と信頼・責任(Commitment)が生まれやすい
・絆の効用:競争よりも強力、経験の共有・食事をともにする・安価または無償の食事・一緒に歌いダンスなど家庭の延長
・絆の不健全側面:「我ら」と「彼ら」の意識が異分子の排除や内向きの派閥形成につながる可能性
・言葉は7%しか伝えない、38%がどう話されたか(声)、55%がボディ・ランゲージ(顔の表情など):1970年代のアルバート・メラビアン(https://en.wikipedia.org/wiki/Albert_Mehrabian#Attitudes_and_congruence )
・メンタライジング(心を読む)は5次(人)が平均、会話は4人が一番良い
・女性は会話を重んじる、男性は行動を重んじる、偉くなると人の言うことを聞かなくなる
・データを繋げた物語(Narrative)にすると分かりやすいツール
・信頼を破壊するのは、ダーク・トライアド:ナルシズム(自己中心・共感の欠如)、マキャベリズム(権謀術数、先を見ない)、サイコパス(違法な行為)、
・フリー・ライダー(たかり屋)や嘘つきを規則・規制しないと友人のネットワークを分断する:MITのX理論(自己利益・責任追及)では狭小な思考となる、Y理論(動機・責任感・目的)でも2%のフリー・ライダーに濫用される可能性がある(Double Jeopardy:守らない人間が罰せられない不公平感)
・信頼を勝ち取るには時間がかかる:一貫性、開放性と謙虚さ、証明された誠実さと共有された気風、(義務と互恵性、自信、言行一致)なお、失うのは速い
・空間:中央に会合する空間を、Serendipity ( https://mba.globis.ac.jp/careernote/1497.html )が生まれやすくする
・6つの層(How Buildings Learn):モノ、空間設計、設備、外装、構造、土地は気分と生産性を左右する
・リモート・ワークは組織のコミュニティと目的が見失われるリスクがある、デジタルの繋がりは独自
・集団力学:チームのサイズをタスクにあわせる:50人は強力な進行役が必要、150人は明確な代表者が必要
・The Thrive Model:目的、文化、学習、価値観、帰属意識、つながり
幅広い見識と分析が有用だ