前々回と同じく、アマゾン(今回はドイツ版)の「お勧め」に登場した本です。
「先生、×××!」シリーズも表紙の写真が印象的ですが、この本の表紙写真も、人を惹きつける強烈な魅力があります。でも、長いこと買いませんでした。見るたびにステキな写真だな~とは思っていました。
まずは、その写真をご覧ください。
この写真を繰り返し見るうちに、買わずにいられなくなり、とうとう買って読んで感動
この写真には、瑞々しい命の輝きがあります。幼いコヨーテのチャーリーが、未来を見つめて微笑んでいるようです。本の内容も、瑞々しい命の成長の記録です。
本文は
「人生の宝は、計画しなかった出来事である」
と始まります。
著者のシュレーヴ・ストックトンはアメリカの女性写真家で、2年滞在したサンフランシスコからニューヨークへ帰るのに、ヴェスパでアメリカ大陸を横断しようと考えました。しかし、横断の半分まで行かないうち、
ワイオミング州の風景に魅了され、住み着いたのがTen Sleep(テンスリープ)という人口300人に満たない集落。「十睡眠」という地名は、馬が交通機関の時代、次の集落まで10泊の距離だったから。
Wikipedia:
Ten Sleep(英語)
ワイオミング州はカウボーイ州という通称があるほど、牛飼い・牧畜が盛んな地方で、コヨーテは害獣として即射殺されるのです。著者が最初に住んだ掘っ立て小屋の隣人(こういう土地だから、隣人の家も離れている)も、牛飼いとコヨーテ撃ち、狩猟期のガイドを生業としていますが、あるとき、成獣を撃ち殺した後に残ったコヨーテの赤ちゃんを殺すことが出来ず、著者のところへ持ち込んだのです。彼女のところには既に
先住猫のエリィがいましたが、彼女はコヨーテの赤ちゃんを引き取り、チャーリーと名付けました。
チャーリーとエリィは、まもなく仲良くなり、
チャーリーはエリィの弟分となったのです。
著者は写真家なので、毎日チャーリーの写真を撮っては、メールで友達や親戚に送りました。これが「日々のコヨーテ(The Daily Coyote)」の由来です。チャーリーに魅せられた友達や親戚がメールを転送し、その人たちが又転送し・・・遂に写真希望者が膨大な数になってブログが始まり、更に周囲の人々の希望や勧めもあって、この本が生まれました。従って本文中にも素晴らしい写真が沢山あります。
チャーリーの成長の様子、チャーリーが重病になったり、コヨーテならすぐ撃たれる土地柄での著者の苦労など、読みごたえのある内容ですが、
特に印象的なのは、チャーリーの「思春期」。犬でも大型犬には同様の問題があると思いますが、とりわけ、もともと「産直」の野生コヨーテなら、もっと深刻な問題。つまり厳格な序列のある社会生活をするイヌ科動物のオスは、若者になれば、群れのボス(アルファ)の座を狙うのが自然で、著者はチャーリーから攻撃されるようになります。彼女は、野生出身でしかもコヨーテのチャーリーを獣医に連れて行くのを避けるため、ゴムバンドによる漸次去勢を試み成功します。もちろん、去勢だけに頼ったのでなく、著者自身がチャーリーに対して毅然たる態度を示すことで「ボスとしての信頼」を回復します。
野生動物のオスのもつ宿命のようなものを感じさせられる個所です。
著者とチャーリーの間に、一層深い愛情と信頼の絆が確立され、チャーリーに犬の「仲間」を加えようかな?というところで本は終わります。
縫いぐるみのように可愛かったチャーリーが、威厳のある成獣へと変貌します。
こんなに長い文章をくっつけたのは、残念ながら日本語版がないらしいからです
(私が読んだのは、アメリカ英語からのドイツ語訳です)
でも、オリジナルの英語版(The Daily Coyote)は
Amazon.comで扱ってます。
著者のブログもまだ続いています。写真が素晴らしいです
「Deily Coyote」でYouTubeを検索すると、沢山動画があります
その1例:エリィと一緒に食事(つまみ食い?)をするチャーリー