以前にアマゾンのHPで見つけて買いながら、しばらく、そのままになっていた本を一気に読みました。
それが、この本です。
子供の頃、寺田寅彦の随筆集を読んだ以外、物理学者の随筆集は2冊目でした。この本を見つけたとき、まずタイトルに注目しました。
ノーベル平和賞を「正しく」受賞した人はともかく、ノーベル賞学者なんて、研究室や実験室の外のことには無関心だと思っていたからです。
注:ノーベル平和賞というのは時々インチキですが、それでも「正しく」受賞した人たちは素晴らしいと思います。
その典型的な例が
マララ・ユスフザイです。
今回の本「科学者は戦争で何をしたか」に戻りまして・・・
ノーベル賞財団の居丈高な態度に始まって、少年時代の空襲体験、師の坂田昌一の座右の銘「科学者である前に人間たれ」、第二次世界大戦から冷戦時代、冷戦後の世界情勢における様々の危険な要素など、ノーベル賞の物理学者でも(でも?)こんなに人類の将来を心配する人がいるのだなぁ、と感心しました。
いや、読んでみると、アインシュタインの昔から多くの物理学者が、物理学的発見の軍事利用に反対し、平和運動に貢献してきたことが分かりました。しかし他方では、より危険より残酷な新しい軍事技術開発に没頭する科学者がいることも残念ながら事実です。
「××である前に人間たれ」というモットーは、全ての職業人に当てはまるヒューマニズムの根源だと思います。
著者の益川先生は、学生運動や大学での組合運動、平和運動などにも参加しているのですね。そうか、色々な社会活動をしつつノーベル賞に値する研究をすることも可能なんですね。そう言えば、と遡って見直したところ・・・
「信念をもって学校の宿題を絶対やらなかった少年」が後年の益川先生なのでした
戦後70年の読書をご覧ください