以前、イタリア領事館の会話コースに通っていた頃、通り道にある泉水が好きでした。
もちろん今でも大好きです
カール・ボロメウス広場にあるカール・ボロメウスの泉です。
カール・ボロメウスはカトリック教会の聖人で、イタリア語ではカルロ・ボッロメーオ。
当時、ウィーン市長だった
カール・ルエガーの60才の誕生日を記念して建設されました。市長の名前がカール・ボロメウスに因むものだったからです。
この泉水は、ウィーン市内の公共の場に立つ数少ない
ユーゲントシュティル彫刻としても貴重なものです。
泉水の彫刻群制作を依頼された彫刻家ヨーゼフ・エンゲルハルトは広場全体の構成に困ったため、建築家
ヨジェ・プレチニックの協力を求めました。
ヨジェ・プレチニックは私の大好きな建築家で、以前にプレチニック設計の教会建築を紹介しました:
創造と想像
彫刻家については残念ながら
ドイツ語Wiki記事しかありません。
(ドイツ語のほかは何故か
スペイン語と
スウェーデン語のみ)
「創造と想像」に載せた写真から見て、プレチニックは「犬の人」だったようです
大変素晴らしい彫刻群だと思いますが、完成当時、ある超保守的な聖職者が、
プットが裸なのは不道徳だとして、プットに服を着せるか取り除くよう署名を集めたそうです。でも、今でも裸のままなので、この人の抗議と嘆願は聞き届けられなかったようです。
こういう彫刻群で好きなのは、可愛い怪獣が登場することです
上の写真に見られるのはメルヘンに登場するミニドラゴンか、あるいはカメレオン
以前にも幾つか可愛い怪物を紹介していますが、特にお気に入りは
トルチェロのサンタ・マリア・アスンタ教会の洗礼盤の怪物たち
ウィーン旧市街を囲む環状道路リンク通りは幾つかに区分され「✖✖リンク」と名付けられています。
大学から国会議事堂までの区間は長らく「カール・ルエガー・リンク」と呼ばれていましたが、カール・ルエガーが
反ユダヤ主義者でヒトラーにも影響を与えた人物であるため、2012年にウニヴェルジテーツリンク(大学リンク)と改称されました。
他方、ルエガーがウィーンの近代化に大きく貢献したことも事実です。
歴史上の人物には殆ど無数とも言えるほど多くの反ユダヤ主義者がいます。
リヒャルト・ワーグナーも名高い反ユダヤ主義者で、更にワーグナー一族とヒトラーの親密な関係も周知の事実です。だからと言って、ワーグナーの楽劇上演を禁止したり、
バイロイト音楽祭を廃止するというわけにはいかないでしょう。難しい問題です