世界的に知られるダビンチの「モナリザ」
この女性が誰かは、いまだに完全解明されていない(永遠の?)謎
この謎に関する新説を紹介したのは9月4日付けNZZ(新チューリヒ新聞)。
紙面を写真に撮って、うっかり忘れていましたが、面白いのでやっと今頃アップ
新説の提唱者はペンシルバニア大学の考古学者エルフリーデ・クナウアーですが、彼女は学説をほぼ纏めたところで、今年6月7日に世を去っています。1ページを埋める長い記事なので、要点を短くまとめてみました。
その1)服装や身なりの謎
当時のイタリア半島における都市国家の社会的習俗として、良家の女性が髪を見せているのはおかしい。大抵は頭巾で髪を隠しているのが普通で、おおっぴらに髪を出して咎められないのは聖母マリアの場合のみである。
服装も当時の良家の女性としてはおかしい。良家の夫人は、特に結婚間もない頃、夫に送られた首飾りなどを身につけているのが普通である。
他方、モナリザが身につけているクリーム色のケープは、当時のヴェネチアの服装規定では、売春婦が「印」として着けるものである。
その2)名前の謎
従来の通説では、肖像画の注文主がジョコンド氏で、そのためモナリザは、ジョコンダの別名でも知られていた。
しかし、もしジョコンド氏が注文主なら、なぜ当人が受け取らなかったのか。
しかも、ラテン系の言語では姓を女性形にする例はない(ロシア語の場合、カレーニンとカレーニナ、パブロフとパブロヴァなど)。
その3)ラテン語起源?
イウクンドゥス(ラテン語の「快楽」)は中世には抑制され、ルネサンス期に再び開花した。当時の貴族が書き残した文章に見られる「ex jucunda(エクス・イウクンダ)」こそ、ジョコンダの起源ではないか。
当時は、教養高く楽器などに巧みな売春婦層が形成され、貴族などの社会層を対象としていた。
その4)ゼウクシスのエピソード
古代ギリシャの画家ゼウクシスは、
クロトンの神殿に
ヘレネの絵を描くよう依頼された。このとき彼は、町で最も美しい娘たちを集め、その数人の夫々最も美しいパーツを集めてヘレネ(理想の女性美)を描き上げた。
これらの点から帰結するのは、ダビンチが、当時の「特定社会層」の女性の理想美(つまり美の極致)を求めてモナリザを描いたのではないか、ということである。
ジョコンド氏が注文した妻の肖像は紛失したに違いない。
この説に関する他の報道があるのかどうか分かりません。
とりあえず、
NZZの記事はまだネットに紹介されています(ドイツ語)。
Wikipedia:
ゼウクシス(英語)
ダビンチのモナリザは名画だと思いますが、特に好きじゃありません。映画の「コード」も見ていません。ルーブル美術館では、別にもっと好きな名画があるので無視しました