9月23日付け
NZZの記事です。
「愈々カウントダウン:ミューレベルク原発廃炉計画開始まで、あと2ヵ月」というタイトル
以前書きましたが、最初の原発計画段階で国民投票により原発を拒否したオーストリアとは対照的に、スイスは原発に積極的でした。
そのスイスが、
福島第一原発事故によって脱原発に大きく方向転換しました。
2011年スイス各地で脱原発のデモが行われ、国民が脱原発を表明すると、国も企業も、これを受け入れたのです。
これを民主主義と言うのですよね
そして廃炉第1号であるミューレベルク原発の廃炉実施計画が詳しく新聞に紹介されています。これも民主主義です
廃炉実施計画は6年前から作成されていたそうです。
記事の内容、というより廃炉への道程は複雑で、これを詳しく紹介しようとすると、私が原子炉のしくみその他を勉強しないといけないので、詳しい紹介は諦めます
先ず目につくのは、計画の最終達成段階が2037年に設定されていることです。
18年かかるのです。
2019年12月20日に発電が停止されます。2020年核燃料が取り出されます。ここから段階的にクールダウンさせ2024年に核燃料を施設から運び出します。ここから段階的に次の作業が進められ2030年には放射能事故の可能性皆無の状態とし2031年に廃炉が完了します。
更に2034年まで通常の解体作業が段階的に進められます。
ここから施設の新たな利用が始められ2037年に全プロセスが終了します。
しかも、莫大な費用を調達する具体的な資金計画も作成されています。「国に泣きついて国民の税金をまわしてもらおう」などという安直な態度ではありません。
原子炉を廃炉にするのは、電気のスイッチを切って「はいおしまい」というようなわけにはいきません。何十年もかかり膨大な費用を要する廃炉を実施するのは無理だと言う人もいるかも知れません。
しかし100%安全な原発が永遠に運用できるなどということは皆無なので、世紀単位で地球の未来を考えれば、新たなエネルギー源を開発し長期計画で脱原発を実施するよりほか安全な道はないと思います。
追記
スイスのミューレベルク原発は廃炉まで18年です。これは、この原発が放射能漏れなどの事故を一切起こしていない「健全な原発」だからです。大事故が起こってしまってからでは、放射能汚染の拡大を抑え除去するなど膨大な「事故対策」が必要となります。しかも放射性同位体の放射能が物理的に十分の一となるまで、最長の例では150億年で、まあ人類にとっては永遠ということになります。
国に頼らず自立している原子炉運営主体の立場からは「健全な原発」を廃炉にすることが最良の策となります。