音楽を贈る・・・
現代ではCDとかコンサートのチケットを贈る、あるいは楽器をプレゼントする、などが考えられますが・・・
突然、気がついたのです(このボログ恒例、いつも遅すぎる)
CDもレコードもなかった時代、音という物質的実体のないものを贈るということは、相手の前で自分で歌うか演奏するか、音楽会に招待するか、保存できるものとしては楽譜を贈るということだったと思います。
録音も出来なかった時代に音楽を体験するには、誰かが作曲した音楽作品を自分で歌うか演奏する必要がありました。そのためには楽譜が読めて、楽器を演奏できる必要がありました。専門家について、楽器の演奏や歌唱を学ぶ必要がありました。
王侯貴族は宮廷楽団や宮廷作曲家をかかえ、音楽を楽しむことができました。これは、ごく限られた社会層にのみ可能でした。
庶民には、辻音楽師や大道芸人が聞くための音楽を提供していたのでしょう。
究極の「音楽を贈る」は、自分で作曲したものを献呈することだったと思います。献呈されたものが後世へと伝えられるということも、ごく限られた作曲家にのみ可能でした。
例えば、今年が生誕250周年にあたる
ベートーヴェン。
Covid-19パンデミックがなければ、多彩な記念イベントや記念コンサートが開催されるはずだったのに残念なことですが、ラジオではベートーヴェン作品が例年より多く紹介されています。
ベートーヴェンの
ピアノ三重奏曲
(いわゆる「大公トリオ」)の印刷楽譜表紙
ベートーヴェン直筆の献呈楽譜を載せたかったのですが
ちょっと探しただけでは見つけられませんでした
献呈された人
ルドルフ大公はベートーヴェンの弟子であり、最大の後援者でした。
大公はアマチュアとしては卓越したピアニストであり、自らも作曲しました。
ベートーヴェンから14曲もの作品を献呈されています。
大公も自作をベートーヴェンに献呈しました。
もうひとりハプスブルク家の作曲家としては
レオポルトI世が挙げられます。
もう何年も前ですが、レオポルトI世作曲の教会音楽をコンサートで聴いたことがあります。
追記:上記コンサートは、決して「レオポルトI世作品愛好会」というような同好会的なイベントではなく、
コンツェルトハウスで一流のアンサンブルが演奏する本格的なコンサートでした。
超蛇足ながら、
ヘンリー8世も色々作曲していますね。人物は好きになれませんが、彼の作曲した美しい小品は好きです。