このボログでも前に書いたように思うのですが
胴長短足こそ美の極致なのです!
それを馬さんの写真で実証したいと思います(全てウィキ・フリー画像です)
競馬に登場する馬さんたちは、ただ、ひたすら走るだけなので体形が、むしろ特殊です。
が、それでも長肢は骨折しやすく危険
例えば、サラブレッドの仔馬
この子は胴が短すぎ、肢が長すぎます。これから育っていく過程で胴長短肢になることが望まれます。
競馬史上に名高いイギリスのサラブレッド、
エクリプス
現役時代全勝で「エクリプスが一着、他の馬はまだ見えない」という言葉の残る名馬、典型的な競走馬体形です。
しかし、馬術に登場する馬さんは競走馬とは本質的に違う体形です。
とりわけ古典馬術の馬さんは胴長短肢が大切。彼らこそが神話に登場する馬さんたちです。
その代表例がウィーンの
スペイン乗馬学校に登場するリピッツァ馬
このリピッツァ馬さんはファーヴォリ・パラヴィチーナという名前。
リピッツァ馬は生まれたときは黒く、成長とともに白くなるので、まだ若馬だと思います。胴は、もう少し長くても可。
リピッツァ馬の全てが古典馬術に向いているわけではありません。やはり天性の素質が必要なのです。
その素質を備えた馬さんだけが、スペイン乗馬学校で古典馬術の調教を受けます。
これは素質ある若馬さんですね
スペイン乗馬学校の屋内馬場で調教のあと厩舎へ戻るところでしょう
この馬さんはプルート・テオドロスタという名前で、若いながら古典馬術の馬さんの美点を備えています。つまり太い首と太い胴、短い肢。
古典馬術を演ずる馬さんの完成の極致
馬さんの名前はファーヴォリ・アンコーナ、乗っているのは主席騎手ヴェンツェル・ツルストで、ルヴァードを演じています。
ルヴァードというのは古典馬術の技のひとつで、馬さんが後肢のみで立ち上がるものです。
(殆どが白馬のリピッツァ馬の毛色には稀に青毛=黒や鹿毛もあります)
こういう技には非常な筋力を要するので、鍛え抜かれた太い首、太い胴、短い肢が理想的なのです。
このほか古典馬術の離れ技については、色々あってややこしいので、別の機会に書こうと思います。
日本語ウィキのリピッツア馬記事では「日本ではリピッツァナーを生産していたリピッツァ牧場の名が品種名と誤解され、リピッツァと呼ばれている」と書かれていますが、これは間違いで、ドイツ語知識のない人が記事を書いたのかと思われます。リピッツアは地名、そこに住んでいる人もリピッツァナーになりますから、馬だけがリピッツァナーではありません(例えばベルリンは地名、住んでいる人はベルリーナー)。
ウィーンのスペイン乗馬学校で活躍する馬さんたちは、王朝時代はリピッツァ(現在
スロヴェニア領内)の牧場で生産・育成されていましたが、今はオーストリア・
シュタイヤマルク州の
ピーバーで生産・育成されています。
さて、胴長短肢が美の極致というのは馬さんのことだけではありません。
私が最もプロポーションの美しい動物と思う猫さんも、胴長短足の典型例です
人間でも脚が長いと正座が難しかったり、骨折しやすいと思います