「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)5月8日(金曜日)
通巻第6491号
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ネムツォフ暗殺から五年の歳月が流れた。犯人は挙がらず迷宮入り
今度は財閥(世界ランキングにも入る)のボゾフが謎の「拳銃自殺」。
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2015年2月27日、モスクワの中心街。クレムリンに近い橋のうえ、ウクライナ美人のファッション・モデルと手をつないで歩いていた男は、後ろから六発の銃撃を受けて死亡した。
撃たれたのはボリス・ネムツォフ。エリツィン政権で第一副首相をつとめた。ロシア政界の有力者でもあり、若く、しかも長身、ウクライナの政治にも深く関与していた。
そしてネムツォフはプーチン最大の政敵であった。プーチンはただちに「全力を挙げて犯人を追及する」とした。
かれは政治以外にも有能で、エネルギッシュだった。豪華別荘を保有していたうえビジネスでも成功したとされた。女性関係が激しく、正妻との間に一女、愛人ふたりに、三人の庶子。しかし暗殺後、ロシア各地で追悼集会が開催された。あれから五年がたった。
2020年5月6日、ロシアの大富豪が拳銃で「自殺」した。
ドミトリー・ボソフは、フォーブスの財閥ランキングの常連。資産は11億ドル。何が彼を「自殺」に追い込んだのか?
1997年にクラスノヤルスクのアルミ工場の共同経営者となったボゾフは、2000年のアルミ戦争を経て「アルテック社」を立ち上げ、ガスと石炭企業も傘下に収めた。
一時はプーチンが立ち上げたホッケーチームの胴元でもあり、政権との密接度が見られたが、不法な石炭採掘で、FSBの内偵捜査を受けていた(英文プラウダ、5月7日)。
奇々怪々。終身皇帝を目指すプーチンに逆らうと、どうなることやら。
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● 政治体制の寿命は、基本的に270年です。戦士の時代は、地方豪族を
征服しつつ、領土を拡大してゆきます。その時の主人公は
武力行使の達人です。所謂・戦士・戦国時代です。
● 日本では1333年の鎌倉幕府崩壊から始まる時代で、地方に豪族が多数
出現した時代です。終わりは、豊臣秀吉が滅ぼされた時、1600年代
初期の、徳川幕府・江戸幕府の誕生です。約270年間続いています。
● 共産主義時代は、ロシアの戦士戦国時代でしたが、1990年のソ連崩壊
で所謂、知恵者賢帝独裁時代へと移行しています。それは日本では
江戸時代に相当します。西欧では絶対王政の時代です。
● 一つの家系・親族等に全権力が集中する時代です。庶民はそのような
時代に適応していますから、過半数の庶民も独裁を認めるのです。
ロシアは、プーチン幕府が始まり270年前後続くといえます
● つまり、プーチンの取り巻きでないと生きてゆけない時代ともいえます。
自分の生きている時代を、歴史経済波動学で分析することで、
生き残りを図るのが利口というものです。
● 絶対王政を認めたくない人には、3つの選択があります。
❶ ひっそりと隠れて、静かに生活する。
❷ 国外に逃れる。
❸ 自分自身が命を懸けて、絶対王朝を築く。