「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)5月11日(月曜日)弐
通巻第6495号
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リブラ(LIBRA)、またももたつき
PAYPALも脱退、新モデルを模索中とか
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フェイスブック主導の暗号通貨「リブラ」は蹉跌中である。
各国政府、中央銀行は「通貨主権」を脅かされる等の理由を挙げ、ブロックチェーン基調の安全保障、個人情報の保護が要請されていたが、議会公聴会におけるCEOザッカーバーグの説明に議員らが満足せず、この経緯からヴィザ、マスターカード、eベイ、ボーダフォン PAYPALなど大手がリブラ協会から脱退した。
ザッカーバーグは名前からしてドイツ系であり、ハーバード大学時代に起業して、2010年には『TIME』誌の「マン・オブ ザ イヤー」にも選ばれたビジネス界の寵児。だが、夫人が中国系アメリカ人であって、親中派の立場を屡々表明してきた。
これら有力企業の集団脱退の意味するところは、将来的な展望がみえないうえ、消費拡大という基本の目的や、新興国や最貧国の決済の効率化、個人間の送金簡便化などの目的より「資産移し替えゲーム」ではないかと参加者からも疑念の声が強まったからだ。
三月になってフェイスブックは「バスケット通貨」方式をやめ、新モデルとして、「リブラUSドル」「リブラEURO」「リブラ英ポンド」など単一通貨の暗号通貨を考慮しているとした。迷走している証拠だろう。
もとより、送金の簡便化などは各国政府、金融当局とのすりあわせが必要であり、米国は最初から参加しないと声明している以上、政府当局のフィンテック計画にも抵触する。
こんなときに中国は『デジタル人民元』の流通実験を開始した。
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