「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)8月1日(土曜日)
通巻第6607号
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ポンジスキームの典型だった中国ラッキン珈琲のウォール街上場
時価総額110億ドル、90%が米国の上場廃止で蒸発した
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スタバを越える勢いだった。日本ではまったく無名の珈琲チェーン「ラッキン珈琲」。中国ではドトールより有名である。
2019年初に世界で1189店舗だったチェーンは同年末に3680店舗に拡大していた。スタバより20%安く、サービスは迅速だとされた。
もともと創業者は福建省厦門のクルマのレンタル業から、未知だったカフェ業界に飛びこんできた。
ラッキン珈琲はフランチャイズでまたたくまにブームを作りだし、ウォール街の二部「ナスダック」に上場を果たした。
米国証券取引委員会は内部告発などにより内偵を続けていた。一日の売り上げが過剰に水増しされており、あたかも儲かって仕方がないという演出がされていたこと、二つの子会社との曖昧な取引。そして関連する23の金融機関との照合など、捜査は大詰めを迎え、4月1日に上場廃止が決まった。
時価総額110億ドルの90%が蒸発した。最大株主は厦門の創業一家だが、シンガポールのGICファンド、カタールの公的ファンドなどだった。
このラッキン珈琲のスキャンダルを契機に米国に上場している怪しげな中国企業の実態が浮き彫りとなり、新規上場はほとんど不可能になったばかりか、中国企業の上場廃止、米国株式市場からの撤退が続き、同時に米国の投資家の中国企業を見る目が変わった。
まさにポンジスキーム(ネズミ講)の典型だったのだ。
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