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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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中国は鬼門であり、中国は悪魔であり、暴力が大好きな鬼
内モンゴルでも起きたジェノサイドを見ないふりのメディア、政府、知識人
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楊海英『世界を不幸にする植民地主義国家・中国』(徳間書店)
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ちょうど読み始めたときに、ニュースが入った。米国トランプ政権は『ウィグル族弾圧』を続ける中国共産党を「国際法上の犯罪となるジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定」するべく、具体的検討をポンペオ国務長官が指示し、政権交代前に『認定』する可能性があると報じた。
独裁者が率いる「虐殺政権」に対して、小声で「遺憾の意」を評するだけの日本とはえらい違いである。
すでに習近平政権は香港の自由を圧殺し、一国二制度を五十年続けるとした国際的な約束を紙くずとして開き直った。尖閣諸島は「昔から中国領だ」とふんぞり返った。
この怪物国家をモンゴル人の立場から、追求したのが本書である。
中国は鬼門であり、中国は悪魔であり、暴力が大好きな鬼。だから鬼滅隊は、正義の剣を振るえ! と日本にまだ正義と道議が残っていれば訴えるだろう。
しかし武士道が消滅し、モラルが廃れた日本には、悪魔の所業を前にしても、小さな声で遺憾の表明をし続けるだけである。これでよいのかと楊海英氏は鋭角的に日本の政治の貧困をえぐる。
文革中に視察にでかけて後味の悪い中途半端な感想を書いた竹内好、朝日ジャーナル誌に文革を斜めから報じた高橋和己がいる。
楊海英教授の批判は穏やかに、しかし辛辣で激辛の文章が躍動し、こうした戦後知識人の欺瞞を徹底的についている(本書131pから140p)。
本書の独自なポイントを挙げると、第一に「植民地体制は1960年代の植民地解放運動で終わった」とする史観の間違いである。これは左翼の宣伝でしかない。すなわち中国共産党が展開しているチベット、ウィグル、そして南モンゴルにおけるジェノサイドこそは「植民地主義」である。
中華思想なる考え方は噴飯ものだが、要するに、周辺に住む諸民族を「昔から中華の臣民」とみなし、植民を進める地域を「有史以来中国の固有の領土」と獅子吼し、少数民族への弾圧と虐殺を「解放」と宣伝してきた。
第二に伝統的な中華思想と社会主義イデオロギーを両輪として、支配するシステムが中国的社会主義的市場経済を呼号する裏側の植民地主義であると説く。このような重要な観察と分析が、いまの日本人にどれだけ浸透するか、それが日本の問題だろう。
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