以前にブレッグジットは必然であると書き
その通りになりました
ブレッグジッドは
してもしなくても
体制の寿命は来るのです
暫くはバブルで少しは良くなるでしょう
しかし最後のFRBによる金利上昇による収奪・秋の収穫で
2030年以降に強力なインフレがやってきて
三度目の全国的ストライキで
体制が崩壊するでしょう
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英国、EU離脱が失敗 欧州の病人に
【経済着眼】保守党政権の支持率低迷 来年の総選挙で政権交代
CC BY-SA /muffinn
英国ではスナク政権の支持率は一時、13%まで落ち込んだが、足許でも2割台に低迷している。保守党の支持率も野党労働党に25ポイントの大幅リードを許している。 言うまでもなく、景気の低迷、記録的なインフレの高進などの経済悪化から一般国民が「生計費危機」(Cost of Living Crisis)に陥っているためだ。
もっと大きな目で見れば、キャメロン首相が2016年のEU離脱を諮る国民投票で辞任後、テレザ・メイ、ボリス・ジョンソン、リズ・トラス、リシ・スナクと続いてきた保守党政権に対する倦み疲れもあろう。 英国では、かつて「欧州の病人」と呼ばれた時代を彷彿(ほうふつ)させる公務員らの大規模ストライキが頻発している。二桁インフレを克服する大幅な賃上げを要求しているからだ。 教師のストでイングランドの小中学校では85%の学校で生徒が授業を受けられなくなった。大英博物館も休館する、といった事態になった。看護婦、消防士らのストも起きた。それでも国民の6割以上がスト決行に理解を示している。
インフレの状況をみると、消費者物価(CPI)前年比は今年3月まで7カ月連続で二桁台(ピークは昨年10月の11.1%)の上昇と欧米諸国の中でも最も高い物価上昇率となっている。4月は8.4%と8カ月ぶりの一桁となったが、これは昨年4月に電気・ガス料金が前年比54%という記録的な高さとなったベース効果が大きい。 食料品、エネルギーなどを除いたコアCPI前年比をみると、3月が6.2%、4月が6.5%と上昇している。イングランド銀行は金融政策委員会で過去12回連続での利上げを行ってきた。しかし、インフレ目標の2%には程遠く、今後も利上げが続くと見られている。
エコノミスト達によれば、イングランド銀行が2%の目標に達するのは早くて24年後半、遅ければ25年初めとあと2年くらいはかかる、という厳しい見通しとなっている。 欧米諸国の中でも英国のインフレがもっとも高水準に達してその後も高止まりするとみられる理由は諸説あるようだ。もっとも一般的なのは、先行きの不透明性が強くて新規設備投資が沈滞しているため、いわゆる生産性が低下を続けていることだ。 そのうえ公共部門やサービス業を中心に労働需給が逼迫していて、その生産性を上回る賃金上昇が続き物価を押し上げている、との見立てだ。
この根本的な原因は2016年に国民投票でEU離脱を決めて2020年2月に正式に離脱したことに求められる。 シェアが5割を越える最大の貿易相手であるEUとの貿易は、有識者が懸念したように減少をたどった。もちろん、英国はEUと離脱後も自由貿易協定(FTA)を締結してEUの一員であったときと同じく関税はかからない。 しかし、原産地規則で日本の自動車メーカーが日本から輸入した自動車部品を使って英国の工場で組み立てた場合、日本からの部品輸入比率が大きければ場合によっては10%程度の関税がかかる。 ホンダ、フォードなど日本や米国の自動車メーカーが英国を去っていったのもやむなしであろう。ブレグジット後の先行き不安から製造業、非製造業を問わず、大胆な新規投資意欲もしぼんでしまい、生産性の低下に拍車をかけた。
また関税を逃れられたとしても通関手続きに多くの手間と時間を掛けねばならない。EUから新鮮な果物、野菜を輸入するような場合、鮮度が落ちて輸入が事実上止まってしまうことも起きている。 金融街シティーの競争力はEU離脱後も大きく落ちないと楽観する声が当初は多かった。しかし、証券取引ではパリ、アムステルダム証券取引所の急成長でロンドンの地盤低下は明らかになっている。 ブレグジット求める人々がもっとも大きく主張したのは、ポーランド、ハンガリーなど東欧諸国を中心とした移民が増え続けてイギリス人の雇用機会を奪ってしまう、だから労働力の自由な移動を前提とするEUから抜け出して移民をシャットアウトしてしまえ、との声であった。
確かにその通りになって、多くの東欧諸国の移民は帰国してしまい、母国で就労機会を得た。 その代わりに東欧からの移民が務めていたNHS(国民健康保険サービス)の看護士やケアマネージャーなどの穴が埋まらなくなった。移民が多かったトラックの運転手など輸送部門の人員不足も埋まらない。 ロンドンのホテルのフロントで数多く見かけた勤勉なコンシェルジュやボーイなども多くは東欧から来た移民であった。 人手不足で公共部門やサービス業の賃金が上昇して、それがさらに物価を押し上げるという悪循環に陥っている。イングランド銀行が心配しているのはこのような賃金=物価の悪循環がさらに強まることである。
FRBと違ってイングランド銀行に利下げ観測が全く出てこない。 思い返しても英国はEU離脱で経済的には何一つプラスになったことはない。それでもロンドンの紳士クラブでは保守系の老人が「ブリュッセル(EU本部の所在地)の官僚の束縛から逃れて漸く国家主権を回復した。経済が多少悪くなっても大英帝国以来のプライドを守れればいい」との声に満ちていたものだ。
経済面のデメリットが目立ってきたのみならず、政治的でもブレグジットは国民の分断を招いた。都市生活者、若手の多くは英国のEU加盟で多くのメリットを享受したと感じて2016年の国民投票で離脱反対に票を投じた。 卑近な例でいえば、あのまずいと言われた料理にEUからの新鮮な野菜や果物が色を添え、レストランもフランス人、イタリア人のシェフが増えて有名店では予約が取れないほどの活況を呈した。ロンドンとその周辺部で「残留」に投票した人が多かったのはEU加盟のメリットを実感していたからだ。
スコットランドの独立運動にもブレグジットは拍車をかけた。元々、歴史的にも大陸との経済関係が密接であったスコットランドが国民投票で残留が離脱を上回ったのは当然である。 スコットランド自治政府のスタージョン前首相が独立住民投票に突き進んできた。住民投票は、承認を必要とする英国議会の反対の壁で実施には至らず、スタージョン首相も辞任を余儀なくされたが、まだまだ予断を許さない。 英国領北アイルランドも、ブレグジットによって、実質的にグレートブリテン島と切り離されてアイルランドの港で製品の検閲をさせられるという複雑な手続きを要することになった。過去IRAとの紛争を招いたアイルランド共和国との国境問題を回避するのが狙いだ。当然、親英国派のユニオニストからの反発が強く、アイルランド議定書の見直しの論議を呼んでいる。
最近の世論調査では「EU離脱は失敗であった」との回答が5割を大きく越えるようになっている。2016年の国民投票で「離脱」賛成を投じた人たちもその行動を悔いるようになった、ということだ。経済の低迷、物価の上昇を目のあたりにして「ブレグジットを通じて英国が貧しくなってしまった」と体感するようになった人が増えたためだ。 しかし、自分で内心間違ってしまった、というのと他人から間違いを批判されるのは別問題だ。英国が「欧州の病人」であることを指摘して山猫ストを止めようと呼びかけたヒース首相(当時)は国民の強い批判を浴びた。 ヒース政権が瓦解して5年後にサッチャー政権が誕生した1979年に同じ懸念を表明したところ、国民も同意した。いわゆる「サッチャーリズム」によって英国経済は蘇生を果たした。
当時を知る英国人に聞くと、「ストライキの頻発で街中にごみがあふれ、鉄道は動かなくなるなど、もうこの国は駄目だ、と落ち込むところまで落ち込んでラジカルな改革も受け入れざるを得ないという気持ちになった」そうだ。 英国経済が生計費危機をあと何年続けるか分からない。その前に来年には総選挙があり、ほぼ確実に保守党から労働党のサー・キア・スタマー党首(元検察庁長官を務めた功績でサーの称号を得ている)への政権交代が起きていよう。 労働党は国民のブレグジットへの不満が沸騰点に達するのを見極めてEU再加盟の運動を起こすのが賢明であると思う。その時を迎えれば、再びEU加盟を問う国民投票を行うかもしれない。 しかし、EU側の反応は「あれだけ説得したのに勝手に出ていった」と厳しい対応が予想される。両者とも恩讐を乗り越えて時間が解決するとしても、英国のEUへの再加盟は、あったとしても50年先、100年先の話かもしれない。