米紙ワシントン・ポストは7日、共和党のトランプ前大統領が11月の大統領選で当選した場合、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、領土の一部をロシアに割譲するよう圧力をかけることで終戦させる案を周囲に語ったと報じた。関係者の話としている。トランプ氏は自身が大統領になれば、「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語してきたが、具体策については明らかにしていなかった。
報道によると、トランプ氏はウクライナとロシアの双方が「面目を保つことができる解決策を求めている」とし、ウクライナが南部クリミア半島や東部ドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両州)をロシアに譲ることを提案したという。
これまでウクライナやその支援を続けてきた西側諸国は、武力による領土変更を認めないとして、領土の放棄を含む和平案を否定してきた経緯がある。今回の報道について、トランプ陣営の広報担当者は「臆測は状況を把握していない無知な匿名の情報源から来ている」として報道は不正確だとする声明を出した。
一方、ロイター通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は6日に放送された地元メディアとのインタビューで、「もしロシアが3月と同じように毎日攻撃し続ければ、我々はミサイルを使い果たすかもしれない」と危機感をあらわにし、早急な軍事支援を求めた。
最大の支援国の米国では、ウクライナ支援を含む緊急予算案が下院での野党・共和党の一部の反対により、成立していない。これについてゼレンスキー氏は「議会で賛成票を得られるとまだ信じている」としたうえで、仮に支援が「融資」になったとしても同意する意向を明らかにした。【ワシントン松井聡