8時半、起床。筍ご飯と卵焼きの朝食。
昨年の6月以来、歯科医院へ行っていないので、春休み中に検診と(必要があれば)治療をすませておこうと、予約して出かける。虫歯らしきものはなく、下の歯の歯石を除去してもらい、歯茎のチェックを受ける。歯茎のチェックというのは、色を見るとかではなく、歯と歯茎の間に金具を差し込んでどのくらい深く入るか(歯周ポケットの深さ)を計るというもので、もしこれを乱暴にやれば、立派な拷問として通用するものである。私なんか、すぐに口を割ってしまうこと確実である。
昼から大学へ。一文時代の文芸の卒業生のSさんが研究室にやってくる。民放のTV局の記者をしているが、現在は5月に出産を控えて、休職中である。類は友を呼ぶとでもいうのか、先週は10ヶ月の乳飲み子を抱えた卒業生がやってきて、今週は妊婦さんである。二人とも37歳で、晩婚ではないが、晩産である。
食欲はあるのと尋ねると、すこぶるありますとのことなので、「たかはし」へ行く。春鰹のお刺身定食に肉豆腐を1つ追加で頼んだら、お店の人が気をきかして二皿に分けてくれた。Sさん、ご飯を少し残したものの、完食したのには驚いた。お腹に赤ちゃんがいるせいなのか、それとも昔からそうだったのか(よく覚えていないが、後者かもしれない)。
春鰹は若い鰹で、さっぱりしていて、臭みもない。爽やかな早春の味わいである。肉豆腐は汁と豚肉の甘味が、春鰹の刺身と絶妙のバランスをとっている。 いい組み合わせだと我ながら思う。
食後のコーヒーは「カフェ・ゴトー」で。TV局というハードな職場で、男性と一緒にやってきた人が、産休で一年職場を離れるというのは、心理的にはなかなか大変なことのようである。まだ産休は始まったばかりだが、朝起きて、さて今日は何をしようか、したいことが何もなくて、暗澹たる気分になるそうだ。もちろん家事などはあるわけだが、それは自分を生き生きとさせてくれるものではない。入社して13年、すっかり仕事人間になってしまっている自分に唖然とする思いだそうだ。これといった趣味がなく、地域の人間関係も作ってこなかった。上野千鶴子が『男おひとりさま道』で描いている定年退職後の男性そのままである。
でも、今日は私の研究室を訪問するという明確な行動予定があってよかったねというと、Sさんはニッコリと微笑んだ。その笑顔は学生の頃と少しも変わらない。
まあ、赤ちゃんが生まれて、育児という行為に追われる毎日になったら、気持ちも変化するのではなかろうか。家事は同じことの繰り返しだが、育児は日々新しい発見の連続であるはずだから。ただし、新しい発見をしていこうという気持ちが必要だとは思う。参考になると思うので、先週来室したNさんのブログを紹介しておいた。
今度来るときは赤ん坊を連れて来ますとSさんは言った。研究室の入口に「母親教室」という看板を出そうかなと思った。
教務室で7時まで仕事をして、大学を出る。
8時、帰宅。今夜の献立はジャーマンポテトと豚肉の野菜スープ煮。