7時半、起床。
ごはん(+ちりめんじゃこ)、サラダ、冷麦茶の朝食。
今日から私は松本に恒例の一泊二日の小旅行。ナツ、行ってくるよ。
新宿10時発のスーパーあずさ11号。おっ、新型だ。
年末に登場した新型あずさ号。乗るのは初めて。 私の指定の席に人が座っていたので、「座席をお間違えではありませんか」と注意すると、ちゃんと私と同じ番号の指定席券をもっておられる。おかしいな、ダブルブッキング? と思ったら、その方が私の指定席券を見て、「違う列車のですね」とおっしゃる。あらま、帰りの松本からのあずさ号の指定席券だった。し、失礼しました。
往きの正しい指定席に座って、新宿駅構内の売店で買ったおにぎりをほうばる。
行きはいつも進行方向に向かって左側の窓際の席を取ることにしている。アルプスの山々が見えるからだ。
予定より15分ほど遅れて、12時45分に松本に到着。改札で卒業生のAさんが出迎えてくれた。彼女は1年生のとき私の基礎演習の学生だった人で、現代人間論系に進んで私の演習をとったりしていたが、ゼミは別の先生のところに進んだ。卒業後は地元(長野県)に戻って就職したが、去年、同じ基礎演習のクラスだった学生で別の論系に進んだAさんの親友が私のブログに登場するのを見て、「私も先生に会いたい」ということを親友に伝え、今回の松本での再会が実現したというわけである。卒業後丸5年が経過していたが、改札で声をかけていただいて、すぐにわかった(髪の毛の色だけが違っていた。学生の頃はちょっと茶色がかっていたが、いまは黒髪である)。
ホテルに荷物だけ預けて(暖かいのでコートとマフラーも預けた)、松本カフェ巡りを始める。まずは中町通りへ。惜しまれつつ閉店したカレーの店「デリー」。「もし再開するときがきたら、店の名前は「ニューデリー」になるのかな」と私が言うと、ちょっと緊張気味だったAさんがクスッと笑った。うん、掴みはOKだ。
松本に来て最初に訪問するカフェは「chiiann」と決まっている。
「chiiann」は路地の奥にある。
「chiiann」のこだわりのホームページは→こちら
今日の松本は暖かい。20度はあるようだ。そのせいだろう、ガラスが曇って中が見えない。中の様子(混み具合)を観ようとガラスに顔を近づけていたら、ドアが中から開いて、ご主人が出てこられた。こんにちは。
「2月の中頃にいしゃっしゃるのかなと思っていました」とご夫妻が言った。そう、今回の松本訪問のテーマは「真冬の松本」なのであった。前回(去年の11月)に来たとき、「松本は真冬が一番いいんですよ」とご主人に言われて、「わかりました。次は真冬に来ます」と約束したのであった。ただ、2月はゼミ論集の編集や入試や会議でなかなか時間が作れず、3月になってしまった。しかし3月の初旬であればまだまだ寒いはずと思っていたのだが、今日は地元の人もびっくりのポカポカ陽気で、「真冬の松本」どころか「春の松本」に来てしまったのであった。ただ、「春の松本」といっても本当の春ではないいことは、周囲の山々が白いの見ればわかる。
ご夫妻にAさんを紹介する。私のブログを見てここを訪れる卒業生は何人かいるようだが、私が卒業生を連れてきたのは初めてである。「椅子が素敵ですね」とAさん。ご主人がわが意を得たりとばかりに店の椅子について語った(椅子がどれも同じではないのは、専門家に依頼してネットに出品されている中古品を買い集めたからである)。
奥様が髪を短くされて、ベレー帽を被っていらっしゃる。先週の木曜日(「chiiann」の定休日)に美容院に行って切ってきたばかりだという。失恋したとかではなく(笑)、子ども用のウィッグを作っている団体に髪の毛を提供したのだそうである。ショートにベレー帽、お似合いですね。
私はショートパスタ、Aさんはキッシュプレートを注文。セットの飲み物は二人ともリンゴジュースをチョイス。
パスタはトマトソースで二種類のショートパスタが使われている。
ピクルスが美しい。
「キッシュが食べられるお店は地元では珍しいです」とAさん。ほんとですか?!蒲田の「まやんち」直伝(ですよね?)のキッシュです。
デザートは私は「本日のデザート」の苺のクラフティと紅茶(chiiannブレンド)。
Aさんはカステラとブレンドコーヒー(中煎り)。カステラは「chiiann」の看板メニューであること、カステラのイラスト入りのchiiannTシャルまであることを説明した。
「先生はそのTシャツを持っていらっしゃるんですか?」「はい、持ってもますよ」「実際に着られているんですか?」「はい、着てますよ。まだ来て着て外に出たことはないけど(笑)」
*資料「これがchiianTシャツだ!」(モデルはご主人)アルプスの山々を背景にお皿に乗ったカステラが描かれいる。何の予備知識もない人がこれを見て「カステラだ!」とは思うまい。私は切り出された大谷石かと思った(笑)。なお、私が購入したのはグレー。
番宣です。「chiiann」では3月16日から28日までカタチ製作所さんの「おさら市」が開かれます。私のブログで知って来ましたと言って下されば・・・ご夫妻がニッコリ微笑んでくれるでしょう。
お店を出ると雲ひとつない青空が広がっている。
木工と陶器の店「GRAIN NOTE」。
ここも松本に来た時は必ず立ち寄る場所である。
田中一光さんの作品が私は気に入っていて、研究室(カフェオオクボ)にはここで購入した紅茶ポットやカップが揃っている。今回はとくに新作はなかったが、4月下旬から5月頭にかけて田中さんの作品の展示会を企画しているとのこと。それは楽しみです。
Aさんに私とマダムのツーショットを撮ってもらう。 「春らしい色のジャケットですね」とマダムがお愛想を言って下さる。
私がよく刺繍作家のyanyanの作品を買い求めるセレクトショップ「coto,coto.」にもちょこっと顔を出す。
そして本日2軒目のカフェは「栞日」。「高橋ラジオ商会」という看板を見て、Aさんが「えっ?」と言った。元は街の電気屋さんの建物で、「栞日」の菊地さんがこの建物を購入したときにこの趣のある看板をそのまま残したんです。グッドチョイスだと思います。本もラジオも旧いメディアですからね。
さあ、入りましょう。ちなみにAさんは地元の方だが、私のいきつけのカフェには一度も入ったことがないそうだ。
時代物の印刷機。オーナーの菊地さんはひと目で気に入って購入を決断したそうだ。
このデスクでは活版組みの作業が行われたのだろう。
菊地さん、こんにちは。
私はシナモンドーナツとホットジンジャー、Aさんは紅茶を注文する。
注文したものは二階のテーブルまでスタッフの方が運んでくれる。
天気のよい日曜日で、しかも近くにある松本市立美術館では昨日から「草間彌生展」が始まったことも手伝って、二階の5つあるテーブルは4つまで埋まっていた。こんなに混んでいる「栞日」は初めてだ。
しかし、1つだけ空いていたテーブルが私の一番好きな窓際の机で、これはラッキーだった。
ここでわれわれはずいぶんとおしゃべりをした。最初いた客がみんないなくなってしまうまで。 卒業後5年間の彼女の人生は波乱万丈というものではなく、むしろ淡々としたものだが、誠実に自分の生活や人生と向き合っていて、私はとても好感をもった。私は真面目な人が好きなのだ。その上で、真面目な人ゆえの悩みもあるようだったので、いくつかのことをアドバイスさせてもらった。真面目な人というのはついつい応援したくなるものである。ましてその相手が教え子ということであればなおさらである。
「栞日」を出たのは5時近かった。彼女とのカフェめぐりはここまで。松本駅に戻る彼女を途中まで見送った。今日訪れた店はどれも気に入ってくれたようである。気に入ったお店が出来たら繰り返し行くことです(これもアドバイスしたことの一つ)。これから、一人で、あるいはお友達と、訪問して下さいね。今度は東京で、あるいはまた松本で、会いましょう。
ホテル(定宿のリッチモンド松本)にチェックイン。ホテルの宿泊代は曜日によって異なるが、日曜日が一番安い。観光客もビジネスマンも日曜日には泊まらないからだ。ダブルルームのシングルユースが会員割引で7000円である。
ベッドが広いだけでなく、ベッドと壁の間の空間も広くてゆったりしている。就寝時間が遅く、チェックアウトの時間も遅い私には、 部屋は「寝るだけ」の場所ではない。旅行の楽しみの何分の1かは快適な部屋に泊まることである。
Aさんからいただいて荷物としてフロントで預かってもらっていたお土産の袋。食べ物のほかに松本のガイドブックも入っていた。どうもありがとう。
7階の部屋の窓は西向きで、山の端に太陽が沈もうとしているのが見える。
さて、ホテルを出て、今日の内に行きたいもう一軒のカフェへ。夜になっても暖かいので、コートは着ない。この時期の松本で、夜、コートがいらないなんて思ってもみなかった。
あがたの森通りから松本市民芸術館の脇道を入っていく。
大きな木のある三叉路を右へ。
その先にひっそりとたたずむギャラリーカフェ「ガルガ」。蔵をリノベして、一階がカフェ&ショップスペースで、2階がギャラリーになっている。 8時までやっていて、明日はお休みなので、今日来るしかないのである。
こんばんは。
チキンカレーの小を注文。
12月末に閉店した神楽坂の「SKIPA」のチキンカレーを思い出す。
2階のギャラリーは月替わりである。3月はスミレ研究所(金井美和)さんの「春・待つ・動きだす」展。
陶器、絵、オブジェなどなど。
作者の挨拶。
文字盤が陶器の壁掛け時計。
板に書いた絵を陶製の額に入れてある。金井さんは本来が画家で、そこから陶器の方にも表現の領域を広げた方である、ということがよくわかる作品。研究室にも以前購入した額絵が一点ある。
大小の器。今日はこの中から気に入ったものを購入したい。
DMで使われている作品があった。写真ではお皿と思ったが、実物はどんぶり鉢であった。
写真で見るより深さがある。これを購入。
もう一つ、深皿も購入。
ポストカードを3枚。今回は「猫押し」である。
それと1階のショップで前から欲しかった小池千恵さんの長皿と箸置きも購入。
買物を終えて、カスタードクリームのレモンのショートケーキと紅茶で一服。
ご主人の熊谷俊之さんの版画を2点、以前購入して、自宅の居間に掛けてある。その写真をご夫妻にお見せすると「購入された自分の作品のその後を見る機会はめったにないので、嬉しいです」と言って下さった。
おしゃべりをして、閉店時間近くまでいた。
ホテルに戻る途中、夕食が早かったので、きっと夜更けにお腹が減ると予想して、食料を仕入れる。
レモンティー以外は夜のうちに食べました。
2時、普段通りの就寝。