フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月16日(金) 雨

2018-03-18 18:57:22 | Weblog

8時、起床。

トースト(+コンフィチュール)、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日は朝から雨が降っているが、庭の桜が一輪咲いた。下向きに咲くピンク色の花である。母は「熱海桜」と言っていたが、だとしたらもっと早く開花してもよさそうなものだで、よくわからない。

午後2時、卒業生のMさん(一文)と蒲田駅で待ち合わせる。雨の中、千葉方面からやってきてくれた。

サンカマタ商店街を中の方まで入ったところにある「カフェドコバ」へ行く。

窓際の席に座る。サンカマタ商店街は西口では一番大きなアーケード街である。

私はオレンジジュース、彼女はアイスティーを注文。

私は海老ドリア、彼女はスパゲティ・ミートソースを注文。彼女はミートソースが一番好きな食べ物だそうである。へぇ。

スパゲティにはガーリックトーストが付いてくるのだが、それは私がいただいた。

食後に私だけコーヒーを注文。

彼女とは2時間ほどおしゃべりをした。彼女の話は、一言で言えば、「いま、私は幸せです」ということだった。経済的な安定と人間関係の安定、そして健康状態もまずまず安定している。安定しているというのはよいことだ。私なんかは、安定した状態にあるときに、それを自覚してしまうと、何かが起こって均衡が崩れてしまうのではないかと不安になるだが、彼女はそういうことはないらしい。いや、あるのかもしれないが、「いま、私は幸せだ」という喜びが不安の予感をはるかに上回っているのだろう。それはおそらく彼女がかつてとてもつらい人生の時期を経験してきたせいである。子どもの頃に戦争を経験した世代が、「いまが一番幸せ」と言うのに似ていなくもない。いまの幸福が何かで失われるかもしれないと心配するよりも、「いま、私は幸せだ」と幸福感全開でいる方が、人生の喜びを享受できるだろう。

彼女を蒲田駅の改札で見送る。いつものことだが、彼女は一度もこちらを振り返らない。この辺りは人さまざまで、一度だけ振り返る人、何度も振り返る人、そして彼女のように一度も振り返らない人がいる。そこには複雑なメンタリティがあると思われるが、どういう人の場合であれ、私は相手の姿が見えなくなるまでそこに立っている。転んだらすぐに助けにいけるようにだ。それが「見送る」ということである。

駅のスタンプ。山手線を中心とした77の駅に置かれているそうだ。「ちょっと小粋で情緒あふれる図柄」と自己言及しているところがあまり「小粋」とはいえないが、懐旧の情を催す図柄であることは間違いない。

わが「蒲田駅」は「松竹キネマ蒲田撮影所」(昔々そういうものがあったのだ)。

私の名前と縁のある「新大久保」は「鉄砲組百人隊」だが、これについて知っている人は少ないだろう。江戸西城の警備を担当した鉄砲同心100人の居住地が「百人町」で、新大久保駅は「新宿区百人町一丁目」にある。

「新大久保」があるなら当然「大久保」もあることを知らない人はけっこう多い。「新大久保」は山手線の駅だが、「大久保」は中央線の駅(新宿から1つ目)である。快速の停まらない駅なので、「東中野」同様、知名度は低い。住所は「新大久保」と同じ「百人町一丁目」だが、「新大久保」の方に鉄砲隊の話は使われてしまったので、「新宿高層ビルと富士山」という取ってつけたような図柄になっている。なんとなく不憫である。

夕食は妻と「マーボ屋」に食べに行く。

前菜代わりにエビのサクサクフリッター(レギュラーサイズ)を注文。

私は五目そば(あんかけ、醤油スープ)。

妻は鶏そば(塩スープ)。

帰宅して、Mさんからいただいた栗饅頭(日本橋屋)を食べる。

第三話まで観て、録画が溜まっていた『anone』の第4話と第5話を観た。展開が読めないところを含めて、実に面白い。今週で最終回を迎えるようだが、私はこれからいっぱい楽しめるのだ。羨ましいでしょ。

2時、就寝。


3月15日(木) 晴れ (後篇)

2018-03-18 00:32:09 | Weblog

東京都写真美術館は恵比寿ガーデンプレイスの中にある。 

 美術館に入る前に恵比寿タワービルに上っておこう(あとからだと夕日が沈んでしまう)。

最上階ひとつ前の37階で降りる。38階よりこちらの方が展望スペースが広いのだ。

日が沈もうとしている。

しばらく眺めていた。

大気のある惑星に生きていることの幸せを感じる時間だ。

さて、写真美術館に行こう。 

「『光画』と新興写真ーモダニズムの日本」と「APA AWARD 2018」の2つの展示会をみることにする。

3階の「『光画』と新興写真ーモダニズムの日本」へ。

『光画』は1932年から33年まで3号発行されただけの写真同人誌である。日本が戦争の泥沼に入っていく暗い時代の始まりの頃である。「新興・・・」という言葉が当時流行していた。「唯物論的」とか「プロレタリア的」というような意味合いの言葉であるが(たとえば三木清や羽仁五郎らが刊行した雑誌『新興科学の旗の下に』など)、『光画』の標榜した「新興写真」はもっと多様な意味合いを含んでいた。プレスリリースは→こちら

展示場を出て、三階のフロアーから二階のフロアーを見下ろす。

二階のフロアーに降りる。

二階のショップで図録を購入。3400円とちょっと高めだが、稀少な会報誌『新興写真研究』全3号の内容がすべて収められている。

一階へ。

 

さらに地下へ。

「APA AWARD 2018」は広告写真を対象とした公募展である。

大賞に相当する経済産業大臣賞を受賞したのはJR東日本の「行くぜ、東北、」である。5年以上続いているシリーズであり、JRの駅の構内で目にすることのある広告である。広告写真であるから「旅への欲望」をかきたてるという目的がある。そしてそれは写真の力だけではなく、そこに重ねられたキャッチコピーとのコラボによる効果である。2018年版ついていえば、そこには「行くぜ、東北、」という言葉のほかに、「メールじゃ会えない。レールで会おう。」という言葉が印字されている。

私は最近、旅行に行くと、列車の中からメール(あるいはラインのメッセージ)を出すことが増えた。そういう経験を踏まえて、「レールの上からメールを出そう。」というキャッチコピーを考えてみたが、いまひとつかな。通勤電車の中でみんなラインをやっている時代だから。

こちらの図録は4200円もした。広告(写真)ばかりが載っているのに、なぜこんなに高いのだろう。オールカラーで紙質がいいからかな。

7時近くまでいて、美術館を出る。

 

もうすっかり夜になっている。

恵比寿駅へ。

7時半、帰宅。

夕食はローストチキン、サラダ、味噌汁、ご飯。 

クリスマスの頃に買った鶏肉がようやく消費された。

昼間の自宅での講習会のときにSさんが持ってきた「とらや」の羊羹のお裾分け。

2時、就寝。

*「前篇」と「後篇」に分けてアップしましたが、しばらくしたら統合します。