5時半、起床。
早く目が覚めてしまったので、テレビを付けたら柔道の男女がそろって金メダルを獲っていた。
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さらには体操男子個人総合で内村航平が金メダルを獲った。早起きも(たまには)よいものである。
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露天風呂に入ってから朝食。早起きだったのでお腹が減っている。昨日よりたくさん食べる。
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一昨日のブログを更新してからホテルをチェックアウト。荷物は夕方まで預かってもらう。
ブックカフェ「栞日」に顔を出す。これで三日連続である。
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坂井先生(放送大学)がすでに2階のフロアーにいらした。10時ごろから来ていたそうだ。
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注文したシナモンドーナツとジンジャエールをマスターが持って来てくれた。
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マスターに写真を撮っていただく。私が着ているのは昨日購入した「アルプス・ブック・キャンプ」のTシャツ。
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何かの打ち合わせをしている方々。あとから坂井先生が「あの年配の男性は演出家のK氏でしたね」と言った。そういえば「四谷怪談」のポスターのことを話題になっていたな。
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「栞日」のホームページには旧「栞日」のビル(4階建て)を使ったホテルの説明(構想)が書かれている。
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ところで「栞日INN」は、
「ホテル」といっても、一般的なイメージとは(きっと)異なる、
(ちょっと)ユニークな宿泊施設です。
まず、1回1組限定です。
(1名もしくは2名が基本/小さなお子さま連れで最大4名まで)
そして、ご予約は、原則1週間単位でお願いします。
ご宿泊のお客さまには、
2階から上(2・3・4階)の3フロアが貸し切りになります。
2階にはキッチンとユニットバスがあります。
ダイニングとしてもお使いいただけます。
3階はフリースペース(その意図は後述します)。
4階をベッドルームにする予定です。
お察しの通り「栞日INN」は、中長期滞在者向けの宿です。
松本で「試し暮らし」を体験しながら、
この街への移住を検討したい方や、住居や店舗/オフィスを探したい方に、
ご宿泊いただくことを想定しています。
滞在中も創作活動に取り組みたい、クリエイターやクラフトマンの方々が、
集中して仕事に取り組める環境を整えるべく、
3階はアトリエとして広く空けております。
朝起きて、五軒先の栞日でモーニングを食べ、
レンタサイクル(移転先で始めます)で街へ。
散策を愉しんだら、公園でひとやすみ。
近所の八百屋で旬の地物を買い求め、宿に戻って料理するもよし、
再び街へ出てランチを満喫するもよし。
仕事に没頭したい午後は、3階のアトリエへ。
車で隣町まで出かけてみてもいいですね。
ディナーの候補は、枚挙に暇がありません。
ときには夜の街に繰り出して、バーでリラックスしてみたり、
銭湯文化が残る街で、ゆったり湯船につかってみたり。
あとはお部屋でゆっくりとお休みください。
たとえば、そんな数週間をご提案できたら、と考えています。
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坂井先生はここで原稿を書きたいとおしゃる。ふ~む、私はダメだな。すぐに散歩に出たくなって原稿が捗るとはとても思えない。
私は滞在型のリゾートだな。ここを拠点に松本の周辺の街(長野とか伊那とか小布施とか)にも足を延ばしたい。茅野の友人Kの別荘にも東京からではなく、ここから出向こう。
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二階のギャラリースペースでは今日から(午後から?)始まる写真とイラストの展示会の準備が進められている。
一階のフロアーでは香辛料だろうかアロマだろうか、展示販売の準備が進んでいる。
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一昨日、昨日に比べて人の出入りが多い。
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マスターの菊地さんご一家。奥様の背中で下のお子さんが寝ている。
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1時に「ル・コトリ」で昼食を予約してあるが、まだ時間がある。
「coto.coto.」に顔を出す。今日は奥様もいらした。
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今日から真鍮を使ったクラフトの展示会が始まった。
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「GRAIN NOTE」にも顔を出す。われわれは同じ場所を何度も訪れるのだ。
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「GRAIN NOTE」の奥様とおしゃべりする坂井先生。奥様の口調はゆったりしていて、『東京物語』の東山千恵子のようである。
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奥様に写真を撮っていただく。
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さて、そろそろ「ル・コトリ」へ行きましょう。
坂井先生は強い日差しが苦手とのことで日傘持参である。
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私は日陰があればそれで十分。
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一昨日と同じ冷製コーンポタージュスープ。
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今日はライスではなくパンをチョイス。
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牛フィレ肉のソテー。ソースはパンできれいに平らげました。
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坂井先生は私より4つ年長。カフェが好きというのが共通点で、季節ごとに一緒にカフェの梯子をする。今回は「夏カフェ」だ。ただし、私が卒業生らとカフェの梯子をよくするのに対して、坂井先生は基本的にはコーヒーの美味しいカフェでの「もの思いカフェ」を好む。私との「おしゃべりカフェ」の梯子は例外的なものである。坂井先生はご自身でもブログをやっていて、私のブログも愛読されている。私が卒業生らと「おしゃべりカフェ」の梯子をしていることはご存知で、「元気だよね」と笑っている。「いずれ社交論で一冊本を書くのでしょ」と催促されるように言われる。本にまとめるかどうかは未定だが、来年度、「現代人と社交」というテーマで演習をすることは決まっている。
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「ル・コトリ」を出て、「chiiann」へ向かう。途中で、坂井先生お気に入りのコンフィチュールのお店「モモ・カフェ」に寄る。「カフェ」とあるが、いまは販売のみの店である。私もお土産にプラムとラズベリーのコンフィチュールを購入した。
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一昨日に続いての「chiiann」訪問。
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今日はお客さんがたくさんで、ご夫妻も忙しそうだった。
どうぞこの調子で商売繁盛でありますように。われわれとしてはもう少し空いている方がいいのだが、お店にとってはそういうわけにはいくまい。だからわれわれの方が考えて、空いている時間帯(午前中とか、夕方とか)に来るようにしよう。
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チーズケーキとコーヒーを注文。
「chiiann」の奥様は「まやんち」のお菓子教室で勉強をされたのだが、実はピーチメルバは一度も食べたことがないそうだ。「chiiann」の定休日は木曜日で(今日は祝日なので営業)、去年であればその木曜日に日帰りで東京に行って「まやんち」のピーチメルバを食べることができだであろう。しかし、今季、ピーチメルバが食べられるのは8月19日(金)、20日(土)、26日(金)、27日(土)の4日間しか残っていない。「行って来たらいいなじゃいですか」とご主人が言った。「でも・・・」と奥様。心がちょっと揺れているようである。「白桃のふれなばおちん蜜の味」(たかじ)である。これで「まやんち」のまゆみさん(店主)が奥様に電話をして、「いらっしゃいよ」と声をかければ、間違いなく落ちるであろう(笑)。もし行かれるとすれば、さすがに土曜日は無理でしょうから金曜日ということになるでしょうね。そして19日よりも月末に近い26日でしょうね。
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坂井先生とはここでお別れ。先生はこれから松本発4時半の列車で信濃大町の別荘へ向かう。
私は6時31分のスーパーあづさ 32号で帰京するので、まだ2時間半ほど時間がある。市立美術館へ行って、ショップで昨日観た「遥かなる山」展のカタログを購入。
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そして2階ロビーにあるテーブルで今回の旅行中に撮った写真の整理をする。ときどき今朝の早起きがたたって、眠気に襲われ、居眠りをする。
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5時半に美術館を出て(今日は8時まで美術館はやっている)、駅へ向かう。途中で「栞日」に寄って、午前中に準備作業をしていた写真+イラスト展を観ようと思った。私の顔を見たマスターが「お帰りなさい」と言った。はい、ここは私の松本街歩きのベースキャンプみたいな場所です。
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2階のギャラリースペースへ。
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写真家の方が在廊されていた。作品はインド旅行のときに撮ったものだが、私には既視感があった。なぜだろうと考えて、そうか、一昨日「栞日」で購入した本の一冊、『a VIDA no Brasil: A Day in The Life』の写真に味わいがいているのだと気がついた。もしかしてと写真家の名前を確認すると、同じ「Chisato Hikita」さんだった。
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『a VIDA no Brasil: A Day in The Life』の作品から。
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今回の写真集『A Day in India』から。
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写真家の方にそのこと話すと、「まあ、嬉しい」と喜んでくださった。これも何かのご縁と思い、今回の作品が載った写真集を購入し、彼女(疋田千里さん)のサインをいただいた。「2冊とも買っていただいて、これでコンプリートです」と彼女は言った。そうですか、作品集は2冊なのですね。
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疋田さんの活動の拠点は東京だそうなので、個展などを開かれるときはお知らせいただけることになった。
ホテルに寄って、預けていた荷物を受け取り、松本駅へ。駅前の立像は洞沢今朝夫作「萌春」。
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改札前のコンコースの夕日。
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売店で購入した駅弁は前回と同じ「山賊焼き弁当」。街もカフェも食べ物も、気に入ったものはリピートするのが私のスタイルである。もちろん新しいものへの関心もないわけではないが、関心の全体を10とすれば、親しみのあるものへの関心が8、新しいものへの関心が2といったところであろうか。今回の松本旅行についていえば、初めて入った店は2日目の夕食を食べた「和」(なごみ)一軒だけである。「お変わりないこと」=パターンの安定性はとても大切なことなのである。
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列車が松本を出てすぐに駅弁を食べ始める。うん、やっぱり、この弁当は旨い。
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日々の生活が日常で、旅は非日常とよく対比的に語られるが、私からすれば、旅もまたサイクルの大きさ、リピートの頻度が違うだけで、日常の一部なのである。私はこれからも同じような街に行き、同じようなカフェや店に行き、同じような人とおしゃべりをするだろう。
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では、非日常的なものは存在しないのかといえば、そんなことはない。たとえば死は非日常的なものの代表である。10年前の父の死、去年の母の日、家族だけではない、5年前の「甘味あらい」のご主人の死、同僚のI先生の死、2年前の卒業生のMさんの死・・・。それらはただ一度だけの出来事である。死んでしまった人とはもう二度と会えない。
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街もカフェも人も永遠ではない。私の存在そのものもそうである。だから「こんどまた行こう」「こんどまた会おう」という気持ちがあるならば、それは先延ばしせずにそうすることである。「あのとき行っておけばよかった」「あのとき会っていればよかった」と後悔することは人生の常であるとしても、それを少しでも減らしたいと思うのである。
次の信州旅行は11月の初旬のつもりである。
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帰宅したのは10時。
蒲田駅で買ってきた「ザクザク」のシュークリームを妻と食べる。
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