嗚呼、オーベルジュへの道

長野県佐久市にあるホテル「おいまつえん」CEO兼こづかいさん(爆)の日常

気がつけば師走(滝汗)!!

2015-11-30 18:12:54 | ブログ

みなさま、ご無沙汰しております(汗)。いつのまにやら11月もおしまい。すでに怒涛の師走でございます。

ほんの数週間前までは紅葉だなんだと騒いでいたのに、ここへきて気温急降下。雪だよりもちらほら聞かれるようになってしまい、はたと気がつけば冬、とそんな慌ただしい毎日を過ごしております。

そんななか、当ホテル旅館組合では、年一の研修会ということで、隣町の東御に奇跡的に保存されている江戸の宿場町、海野宿に文化庁主導でできあがったという古民家再生のお宿、というのを見学に出向いてまいりました。

改装だけで数千万円の巨費が投じられているだけあって、細部まで念の入った造りに圧倒されるわけですが、じつは企画から施工までは文化庁主導。つまりゼーキンでの造成。がしかし、その先の運営は民間に丸投げされていて、採算その他には政府はいっさいタッチしない仕組みなのが今回の見所です(爆)。

支配人さんの弁によれば、見た目は周囲の景観に違和感のないミゴトなウツワができたのわよいが、文化庁のコンセプトにしたがった結果、夏場に暑く、冬場に非常に寒い宿泊施設が出来上がってしまった、ということです。

古民家の保存という観点に重きを置いた文化庁のコンセプトでは、快適装備は最小限にとどめ、オリジナルの尊重が最優先。モダナイズよりも懐古趣味、という基本姿勢に対して、運営側としては快適性、つまりは夏に涼しく、冬暖かい、というあたりまえの要求が相反してしまいます。

ユニットバスの天井部分に梁がせり出してしまっていたり、エアコンの取り付け位置が思うように行かず、冷暖房効率が非常に悪い部屋になってしまった、とかそういう細かいことの集積で、曖昧な建築物が出来上がってしまったな、というのが正直な印象っす。

サッシもこのようにペアガラス装備のものが特注でつくられてはいても、この廊下周辺には暖房がなく、暖房されているゾーンからの動線が切れているのでサッシの気密をいくらあげてみたところで、全然、暖かくない、というある意味、非常にゼータクな造りのホテルなわけですね(笑)。開業までに費やした金額は推定2億円弱。申すまでもなくゼーキンでしょうが、一同絶句するしかない。

かりに2億を投資できるんだったら、快適性能10倍で、さらに集客力12.8倍程度(概算にすぎません)の施設が出来上がるってなもんです。古民家の保存、もそりゃあわかるんですけど、億ってこたあないでしょうよ、と。

しかも宿泊は1日2組の限定。お一人様あたりが25000円弱。前記の理由からリピーターが生まれにくい施設のことですから、今後の行く末が見ものでございます。

http://www.furusatokan-unno.jp

おりしも、わが町、佐久市も

高速道路に隣接して作り上げたスキー場の敷地に、やはり運営のみ、民間に丸投げするタイプの温浴施設を建設中。組合としても、もろに競合する分野なだけに神経を尖らせているわけです。

温泉好きな私といたしましても興味津々でしたので、旅館組合主催の海野宿ツアー、と合わせた日帰り見学ツアーに参加してまいりました。

ご覧のような高台で、できあがってからの眺望はすごそう。高速道路の橋脚ごしに佐久平の景色が一望です。

ただし、温浴施設のイノチは、「湯(きつぱり)」ありきなのです。

どんな湯がどれくらいの温度で、どの程度湧き出しているのか、それこそが肝心なのに、用地を決めてから源泉掘削開始、ときたもんだ(がっくし)。それにそもそもはこの計画、ごみ処理施設をこの近辺に作る関係で、その余熱を利用した地元住民への還元施設としての計画だったものが、いつのまにやらこのような大規模温浴施設に発展してしまったものなのです。住民の意向をこっちに置いといていつのまにやら巨額のプロジェクトに化けてしまっているあたりは、市議会でも問題にされているらしいのですが、紆余曲折を経てすでに着工済み。

案の定、8ヶ月かかって、やっとこさ掘り当てた源泉は湧出量、毎分12リットルだって(爆)。ちなみに甲府の国母駅前健康ハウスの湧出量は毎分162リットルです(爆)。

それさ~、温泉ぢゃなくて湧き水でしょうよ、と突っ込みたいのは山々なのですが、市の関係者さんたちは大真面目。工事は計画通りで、順調至極、としか言いません。

旅館組合の御一行様はほとんどが源泉の所有者でもありますし、管理の苦労だなんて、それこそ血と汗とカネ(爆)がにじむほど経験済みですぜ(爆)。源泉から湯口まではざっと200mもあって論外。温度も30度を割る程度の「井戸水」にすぎないわけで、トーゼン現場にはビミョーな空気が流れます(爆)。申すまでもなく、原油価格に応じて、浴槽の温度が変わるというアレですよ(爆死)。

というわけで、今後の展開は見もの。あらたなる佐久名物といってよい(爆)。

こんなものを着工しちゃった時点で赤字必至の施設なのは間違いないが、果たしてどこまでやれるのか、やれないのか。みなさまも佐久市にお寄りの際にはぜひとも生温い目で見守っていただきたいものです。温泉なだけにね~、ギャハハ~