嗚呼、オーベルジュへの道

長野県佐久市にあるホテル「おいまつえん」CEO兼こづかいさん(爆)の日常

履き道楽2020 投稿ひさびさ(爆) ミュージアムカーフのお手入れ

2020-07-05 21:29:11 | 履き道楽

ブログをお読みいただいた方からご質問をいただきましたので、わたしのクツ磨きと、一部のモデルについてお話ししたいと思います。このところコロナで気持ちも沈みがち。

お出かけネタもありえないし、こんな前代未聞の長期ステイホーム状態は、クツミガキに絶好でございます(そうか)。コメントいただきましたゆし様、ご参考になりましたら幸いでございます。

画像はジョンロブ のプレステージクラス、Luffield君。入手からはもうすぐ7年になるところ。ヒールは一度交換している、今風にいうとヘビロテ(爆)の一足っす。

スクエアトゥにロングノーズで、すでに10年前の流行ですが、いまだに古びてはいない。特徴的な木型8000に載った、Vフロントと曲線と直線を絶妙に組み合わせた独特なカットをもつ2アイレットで、全体にモードな印象を持っています。

内容はクラシックなんだけど、木型ひとつで印象を変えている高齢好例です。

このパリブラウンと呼ぶ色と8000のスタイリッシュなシェイプでデザイナーものか、と思わせる仕上がり。トムフォードの定番ラインにあってもおかしくない感じ。

Luffield君は現在では廃盤となってしまい、購入不能となりました。バイリクエストのリストにあれば、注文が可能。

ロンドンの店頭では、このようにして売られています。画像は、Luffieldではなく、よく似た後継モデルさまです。Luffieldが廃盤になっているのを知っている人は、この光景を見ただけでコーフンするわけっすね(爆)。

おおっ、マボロシの一足があるぢゃねえかっ、というわけですよ。

Archerという名称で、おなじプレステージクラスです。外羽根のステッチがLuffieldとは微妙にちがっていて、ぜんたいの印象は別物。じつはLuffieldの一番特徴的な部分がいじられているのにお気づきでしょうか?

ハサミで太刀落としたようなダイタンなカッティングのLuffield の外羽根のステッチですが、Archer君ですと、ここまで印象が変わるのが靴の面白味でございますね。

同一モデルを長年作り続けるのはよいのですが、こうしていじった挙句にせっかくのパリデザインをドン臭くしてしまうあたりにイギリスの国民性が現れています(爆)。

本記事、冒頭にあるLuffieldのアップ部分のステッチをご覧ください。ま、Archerも悪くはないんですけど、Luffieldを知る人がArcher を買うのかどうか、ビミョーなところっすね。

それでも

このお値段ですよ!妥協できねえ、とおっしゃるお客様にはしっかりLuffieldをバイリクエストで承ります、ただーし、30%アップね〜。というのがジョンロブ の商法ですw。

プレステージといいつつ、色にもよるのですが、ジーンズやチノパンツなどとの相性がよく、普段履きに、つい履いてしまう、というのがこのルフィールド君の特徴といえるでしょうか。

さて、話題のクツ磨きですけれど、数えてみれば40年(爆)。高校生の頃からやってるわけで、そのかんそりゃあいろいろやりました。鏡面ミガキは当然として、着色性が高いワックスを複数使って、調色に挑んだり、スエードにワックスを塗りたくって、スムーズレザー化、なんてえのもごくフツー。

ブーツの色替えや、ビブラムソールをローファーに貼ったり、などなど色々と試して、楽しんでまいりました(あほ)

そういう事情で、遊びの要素が少ない黒靴が極端に少ないのも私のクツ履歴の特徴です。3年前に中古で買ったジョンロブ のガルニエ@ブラックミュージアムカーフが40年のクツ歴(爆)で事実上、最初の黒のオクスフォードだったのは自分でも驚きです。

この、既成靴としては世界でもナンバーワンレベルの一足に出会ったからには、ブラックのオックスフォード三昧が始まりそうなものですけれど、わたしの場合にはこの一足で打ち止めとなりました。完成度があまりにも高かったおかげです。

ブラックといいつつ、画像のようなパープリッシュグレイと呼びたい、ブラックミュージアムカーフにしか現れない、えも言われぬ色合いが唯一無二だと思わせてくださるのです。

ガルニエ2は事実上、プレーントゥの究極で、コアコレクションと呼ばれている、コンサバなジョンロブ のラインナップ中でも一番ではないかと思われる長年の定番でしたが、すでに廃盤モデルということも効いたか。

ストイックだといわれる黒靴カテゴリー、その中でもさらに一格上のプレーントゥで、この洒落っ気をもつのは出色です。

ガルニエ2ではもちろんこの他にマダラのないオクスフォードカーフや、ビミョーなマダラありのミスティカーフも選択可能ですが、中古屋の店頭、それもネットで出会った一足がミュージアムカーフ仕様だったことでここまで満足度が上がったのです。

偶然とはいえ、ご縁を感じるひとときw。

内バネの黒靴にはスターが多く、各ブランドで銘靴がそろっています。複数揃えたいのは山々ではございますが、今やこのトップオブザレンジ(プレーントゥオクスフォード)はヘーキで一足30万円近辺のお値段がフツーとなりました。

え?なにジョンロブ 以外の他のブランドぢゃダメなんですかっ(蓮舫)って?、なことはないのですが、その場合には、お気に入りのラストとサイズ探しの旅に再びでないと(爆)ということになって、ムリ。もうそんな情熱ねえしw。

わたしのクツの手入れに使うのはこれだけです。有名なやつ。プロ向けの大瓶を使っていますけど、これで2年はもちます。浸透性がすごくて、塗るそばから乾燥がはじまり、5分も放置すればブラッシングに移れる感じ。

手持ちの獣毛ブラシ3種類で擦り上げておしまい、というわけで拍子抜けするくらいシンプルなプロセスですが、3年から5年で素材感が前面に出る、画像のような仕上がりとなります。

ツヤはほぼ目立たず、どちらかというとマットな感じを目指しているので、プロのミガキ屋さんなどがやってる鏡面仕上げなどとは対極にある仕上がりです。このプロセスを続けていると、靴全体がしっとりとして、柔らかくなるのも特徴。ぜんたいに水分をたたえた感じです。

履き心地にも効いて、こちらは「必ず」良くなります。柔軟性が増すので、当然っちゃ、当然。

ロウ分はゼロに近いので、耐水性はもちろんなく、ひどい雨にあてるとソクしみになりますけれど、問題ございません。

乾燥すればもと通りのマットな質感がもどります。実用性に欠けるのか、といわれると困りますが、そもそもレザーソールしか有り得ないジョンロブ のプレステージを大雨の朝、えらぶ人はそんなにいないでしょう(爆)?画像ではふつうに撥水してますね。

個人的にはワックスを厚塗りして仕上げた靴は最初の数歩でロウが割れてしまって、非常にみにくいので、とことん嫌っております。だいいち、高価なワックスがもったいないし。

よくザッシや動画などで鏡面を追求したワザが取り上げられておりますが、歩いた後の画像をチェックしてみてください。あれこそが実用性に欠けるミガキなのです。いわゆる鑑賞用で、美しいので、それはそれで良いと思いますけれど、履いて歩いた時の気分はどうでしょうか。

んま、つい厚塗りをかましてしまう私の未熟さ故であるとご理解くださいませ(爆)。

どうです?この味わい深いツヤ。皮の質感、全開!ミュージアムカーフに出会ってから、私も変わりました(爆)。ちなみにミュージアムカーフはもちろん同じものが違う商品名でジョンロブだけではなく、イタリアの製造会社から各メーカーに出荷されて靴やサイフに使われていますけれど、ことジョンロブ に限っ

ては店頭に並ぶプロダクツよりもバイリクエストで販売される靴の方が数段上の素材が使われている印象が強いです。

バイリクエストでは一枚の皮から各パーツが切り出される確率が上がるので、素材感が均質に近くなって靴ぜんたいの印象が上がるのです。

ホールカットと呼ばれる一枚革でできたモデルや、ジョンロブ でいえばチャペルや2010のようなモデルが他とは一線を隔す存在感をもつのはこういう理由からです。

このバイリクエスト格上説は、偶然にしては手元にやってきたバイリクエスト靴のすべてにいえるので多分、事実。このLuffieldくんも明らかに均質な革質で、迫力がありますね。

だからどう、ではないですけど、どうせならバイリクエストでお好みの色とモデルでチャージ払ってでも買う、というのは、必ずしも無駄なことでわございません。

これは私の経験から申しているのですが、バイリクエスト祭り期間外での注文には明らかにプレステージかそれ以上並みの格上の素材が用いられているのは明らか。

期間外に課せられる30%のチャージ分は、ダテでわない。きっちりとクツに反映されるのです。これもまた世界一といわれるジョンロブ の素材の味わい方のひとつだと思います(あほの戯言ご容赦)。