温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

はげの湯温泉 くぬぎ湯

2013年07月09日 | 熊本県

九州の温泉の大きな特徴として、家族風呂(個室の貸切風呂)を備えた施設が多いことが挙げられます。もちろん他地域にも家族風呂などを称する貸切風呂はありますが、絶対数や利用単価などを考えますと九州は他地域を圧倒しており、いかに九州の文化と温泉が密接であるかを実感させてくれ、関東人の私にとっては至極羨ましい限りです。余談ですが、某○○都では条例により、例え家族であっても異性で貸切風呂を使用することは許されないんだとか。でも温泉と同じく保健所が管轄する都内のエッチな泡の国は、必ず男女がペアになることを前提にして営業しているわけで、何を以て良し悪しの線引をしているのか、オツムの弱い私にはさっぱり理解ができません。
さて九州に余多ある家族風呂の温泉施設の中でも、今回は熊本を紹介するガイドブックなら必ず載っているであろう、はげの湯温泉の「くぬぎ湯」を利用することにしました。自嘲を含めて失礼を承知で申し上げるならば、天邪鬼な思考に陶酔する温泉ファンの多くはメジャーで観光色の強い温泉施設を敬遠する傾向にありますが、そんな人間の一人である私だって、たまにはミーハーな気分になるときもあり、前回取り上げた「白地商店」の露天風呂に浸かった後、たまたまその近所に「くぬぎ湯」があったため、これを機に是非有名どころを抑えておきたくなったので、今回訪問した次第であります。


 
お風呂の全てが貸切の個室風呂という、九州独特の営業スタイルです。なぜこの手の施設が、九州にも負けないほど豊富な温泉資源を有する東北・北海道(というか東日本全般)で僅少なのかが不思議でなりません。そんな愚痴はさておき、受付で利用人数(私の場合は一人)を告げますと、頭数に合った個室の札を手渡してくれます。
その受付ではお芋が売られていました。小国エリアの温泉をご存知の方なら、この芋をどうするかは言わずもがなですよね。


 
野菜洗い場で野菜の泥を落とし、地熱を活かした地獄蒸し器で蒸すわけです。もちろん、いろんな食材を蒸すことができ、この時も旅のご夫婦がタマゴやらイモやらを釜に入れて楽しんでいらっしゃいました。タマゴは数分で十分加熱されるのですが、イモなど厚みのあるものは数十分を要するため、まず釜に素材を入れてから入浴し、湯上りに取り出すとちょうど良い具合に蒸し上がるんだそうです。



涌蓋山の湧水。キリリと冷えており、湯上りにゴクリと飲めんだら、全身に清涼感が冴え渡りました。



左右に並ぶ個室風呂群は、同じ熊本県の黒川温泉チックな装いです、もはやこの手のデザインは、日本温泉界では一般的になりましたね。ちょっと食傷気味でもありますが…。


 
今回利用するのは、この施設でも最も小さなタイプのお風呂です。ログハウスのようなウッディーな脱衣室は、よく手入れがされておりとっても綺麗。衛生面に神経質なお客さんでも問題なく使えるでしょう。壁にコインタイマーが設置されていますね。これについては後述します。



浴室には赤い石板貼りで2~3人サイズの湯船が据えられており、入室時は空っぽです。この大きさだったら、小さな子連れのファミリーなら全員同時に湯船へ入れちゃうかも。



窓の外は山の緑。快いそよ風が吹き込んできます。
外部からの視線は特に気になりませんから、虫が気にならない季節でしたら、窓を全開にして入浴すると、露天風呂気分が味わえるかと思います。実際私はそのようにして利用しました。



さて湯船にお湯を張らなきゃいけませんから、コインタイマーにお金を投入します。投入したコインが規定の金額に達すると、タイマーに30という数字が表示されました。つまりこれが残り時間(分)なわけです。残り時間と言っても、温泉を出すタイマーの時間であり、個室の利用時間とは異なります(個室利用時間は50分です)。
「この手の装置、どこかで見たことあるな」と自分の記憶を辿っていったら、日本ではなく台湾の「北投温泉公共浴室」で使われていたことを思い出しました。九州と台湾は双方とも個室風呂が多く、文化的に意外な相似があるのかもしれませんね。


 
コインタイマーに残り時間が表示されるとともに、建物の裏手からガタンという大きな作動音が響き、まるで用水路から田んぼに水を引いているかのようなとんでもない勢いで、ドバドバーーーーっと湯口からお湯が吐出され、わずか5分で湯船は温泉で満たされました。



満杯になっても怒涛の如きお湯の吐出は止まらず、もったいないほど大量にオーバーフローして排水口へと流れ去って行きます。吝嗇な生活をしている私は、大量に捨てられゆくお湯を見て罪悪感にかられてしまったのですが、でもそんな心配は御無用、この数分後には適度に掛け流される程度の投入量へと吐出圧力が弱まりました。自動的に調整される設定になっているのですね。



室内にはシャワーが1基設置されているのですが、これもタイマーと連動しているため、30分以内に使わないとお湯が止まってしまいます。腰掛けや桶は2つずつ用意されていましたので、このお風呂は2人で利用することを想定しているわけです。はぁ…。一人で入るオイラの虚しさったら、ありゃしない…。

さてお湯に関してですが、無色澄明で大雑把に表現すれば無味無臭ですが、よく感覚を研ぎ澄ますと、味覚としては微収斂、臭覚としてはカーボンのような何かが焦げたような匂いが感じられました。とはいえ窓を開けたときに入り込んでくる、周囲の外気に漂う硫黄臭の方が余程強く、お湯の匂いはそれらに完全に打ち消されてしまうほど心細いものでありました。この地域に多い典型的な造成泉かと思われますが、造成泉ゆえのマイルドなお湯は敏感肌の方でも硫黄臭が苦手な方でも安心して入浴できるでしょうから、一般の観光客にとっては寧ろのこうした癖のないお湯の方が良いかもしれません。しかも利用の都度お湯を張り替えますから、お湯の鮮度や衛生面でも安心できますね。目の前でドバドバ投入される新鮮なお湯に浸かれるのですから、普段はお湯に小五月蝿い私も、ついつい興奮して大喜びしてしまいました。
なお利用後はお湯を抜き、備え付けのデッキブラシでお風呂を清掃してから退室します。



湯上りに受付でお塩と一緒に温泉卵を2ついただきました。もちろんここの蒸し釜で茹でたタマゴです。黄身がトロトロでおいしかった!


単純温泉 41.1℃ pH6.78 溶存物質117.4mg/kg 成分総計117.8mg/kg
Na+:10.1mg(41.9mval%), Mg++:2.4mg(18.10mval%), Ca++:7.1mg(33.33mval%),
Cl-:6.2mg(16.04mva%), HS-:0.2mg(0.94mval%), HCO3-:45.9mg(70.7mval%),
H2SiO3:35.1mg, H2S:0.4mg,

熊本県阿蘇郡小国町西里2978
0967-46-3222

24時間営業
内湯800円から・露天1200円から
共用洗面台にドライヤーあり

私の好み:★★
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岳の湯温泉 白地商店

2013年07月08日 | 熊本県

噴気帯の地獄釜で蒸し上げた「蒸し鶏」が有名な岳の湯温泉の「白地商店」は、店内には食事処があって、しかも貸切の露天風呂を2室有しているという、観光客にはありがたいお店です。ガイドブックや各メディアでもよく取り上げられており、九州の方には比較的有名なんだそうですね。初夏の某日、お昼ちょっと前の時間帯に訪問すると、ちょうど露天風呂が空いていたので、これ幸いと利用させていただくことにしました。一人利用でも受け付けてくれるので、私のような常時一人旅の人間でも安心。受付で料金を支払いますと、引き換えにお風呂の鍵を渡してくれます。


 
岳の湯を象徴する噴気帯の蒸気に包まれながら、露天風呂がある上の方へ坂道を登ってゆきます。噴気帯の蒸気熱を利用した蒸し釜を当地では「スメ」と呼んでいるんだそうです(以前も拙ブログで紹介しております)。


 
思いっきり草臥れている古くて小さな地元民専用浴場。風情たっぷり。入ってみたいなぁ…。


 
風呂と書かれた看板の下からはじまる階段を上がって、板塀の戸を開けて浴場エリアへ。


 
浴室は「桜の湯」と「椿の湯」という2室があり、今回は手前側の「桜の湯」を利用します。貸切風呂なので、他人を気にすること無く、とっても安心ですね。


 
露天風呂は最近リニューアルされたそうでして、トタン波板の仕切り塀やコンクリ打ちっぱなしの床・浴槽など、かなり無機質な印象を受ける雰囲気ですが、シンプル・イズ・ベストな現代的且つ合理的なデザインであるとも言え、奥に向かって開放的な造りでもあり、綺麗で快適です。



内湯はありませんが、洗い場ならちゃんとありますよ(シャワーは無いですけどね)。


 
ピッカピカのステンレス配管から垂直に湯船へお風呂へお湯が落とされており、そのお湯の温度は50.4℃でした。お湯は無色澄明で、ほぼ無味無臭です。お湯の匂いよりも、斜面下の噴気帯から漂ってくる硫黄臭の方がはるかに強く香っています。施設内には分析表の掲示などありませんでしたが、おそらく造成泉でしょう(間違っていたらゴメンナサイ)。


 
アサガオの種のような形状をした湯船は、2~3人は同時に入れそうなサイズ。私は一人で利用しましたが、家族で訪れてもみんな一緒に入浴できるかもしれませんね。完全掛け流しの湯使いで、奥側の浴槽縁で削られている切り欠けから常時溢湯(排水)されています。加水などは行われていませんが、自然冷却により湯船ではちょうど良い湯加減まで下がっており、この時は41.3℃という、ゆっくりじっくり湯浴みできる心地良い温度になっていました。くせのない柔らかなお湯です。


 
あぁ、いい風呂だ。あまりの気持ち良さに心が高揚し、つい自己撮りしてしまいました。お風呂からは湯煙があちこちでたなびく岳の湯集落一帯が見下ろせ、また彼方の山の緑や幾重にも重なる稜線も眺望できました。夕方には山に沈む夕陽を風呂に浸かりながら眺められるんだとか。



風呂あがりに食事処で「蒸鶏定食A」(980円)をいただきました。お弁当スタイルで提供され、器の中には鹿児島県産いずみ鶏の蒸し鶏モモ、ごはん、サラダ、お漬物などが配されており、温泉卵入りのお吸い物も付いてきます。程よく脂が落ちていながら美味しさやジューシーさがパワーアップされているこの蒸し鶏は甘辛のタレで味付けされており、肉とはもちろんのこと、ごはんと一緒にいただいてもよく合います。なお入浴申込時にお食事代金を一緒に支払えば、1人200円で入浴可能になりますので(後払いの場合は300円のまま)、もしこちらへ訪れる際には是非お食事と一緒に露天風呂を利用なさってはいかがでしょうか。


分析表確認できず

熊本県阿蘇郡小国町西里2978-2
0967-46-4533
ホームページ

入浴可能時間8:00~18:30 不定休
300円/50分
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (2)
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はげの湯温泉共同浴場

2013年07月07日 | 熊本県
 
初夏の某日、久しぶりに熊本県のはげの湯温泉へ出かけました。涌蓋山麓のあちこちから湯煙が上がっている光景を目にすると、フツフツと噴出する地熱の如く私の気分も思いっきり高揚します。


 
「蒸気に注意 点灯せよ」という看板がいかにも当地らしいですね。スクールバスの停留所には地名が漢字で記されていたのですが、はげの湯の「はげ」は、「峐(※)」と書くのですね。初めて知りました。
(※)環境依存文字ですので文字化けしちゃうかも。山偏に亥。



地熱資源が豊富な当地にはいくつもの温泉施設が営業していますが、今回ははげの湯温泉の共同浴場で入浴することにしました。三角屋根の現代的なデザインで、コンクリ造の2階建て。建物の前には車2台分の駐車場が確保されています。
上層階は地域の集会場となっており、地熱発電所開発業者の詰所も兼ねているようでした。地熱資源が豊かな当地には以前から地熱発電所の建設計画がありましたが、一旦は頓挫したものの、近年地元住民の手によって再び計画が具体化し、実現に向けて実際に動き始めているんだそうです。これと並行して千葉県や兵庫県の民間業者も当地での発電を計画しており、地元有志の団体はそれらの業者に対する掘削井戸用の土地も提供(賃貸)しているんだとか。集会所に掲示されていた表札を見たところ、ここを詰所にしているのは千葉県の業者のようです。なお地元住民が事業主になる地熱発電所は全国初なんだとか(参考記事はこちら


 
浴場がある1階部分はコンクリ打ちっぱなしの外観。男女別の浴室入口には金属の料金箱が取り付けられており、この施設は常時無人ですので、正直に100円玉を3枚投入して扉の向こうへとお邪魔します。入ってすぐのところにはなぜか洗濯機が設置されているのですが、これって地元の方が使うのかしら。あるいは、もしかしたらここに発電所関係業者の方が常駐していて、そうした方が毎日の湯浴みがてらに作業着等を洗ったりするのかしら。


 
館内もコンクリ打ちっぱなしで、ところどころにガラスブロックが埋め込まれていたりして、共同浴場とは思えないモダンで小洒落た造りなのですが、レイアウトとしては浴室と脱衣室が一体化した伝統的な浴場のスタイルを踏襲しており、水道蛇口以外のカランも無かったりして、新旧が混在した面白い空間となっていました。すのこ敷きの脱衣ゾーンは棚が置かれているだけで至ってシンプル。入浴ゾーンにはひょうたんを半分に割ったような形状の浴槽がひとつ据えられています。


 

ひょうたんの頭にあたる部分にはお湯が噴き上がっている塔のような湯口があり、上がりたてのお湯に温度計を突っ込んでみたところ、52.8℃という数字が表示されました。その塔から噴き出たお湯は小さな真円形の槽へと落とされ、そこで一旦冷まされてから主浴槽へと流れてゆきます。小さな槽のお湯は熱すぎて入れませんし、掛け湯もできませんから、あくまでお湯を冷ますための湯溜まりであると考えたほうがよさそうです。自然冷却だけでは適温まで下がらないため、この時は水道のホースによる加水も行われていました。


 
丸い浴槽は3人サイズで、この時の湯温は44℃。お湯は薄い灰色に弱く濁り、粉っぽい沈殿が底に溜まっていました。薄いタマゴ臭や噴気孔的な刺激のある硫化水素臭、そして微かな塩気と硫黄の存在が確認できる味、石灰のような粉っぽい味が感じられるのですが、匂い味ともにかなりマイルドであり、屋外に漂う湯煙の硫黄臭のほうがはるかに強く臭っていました。館内には泉質に関する説明表示が無いので断言はできませんが、はげの湯や岳の湯エリアでは造成泉が多く、お湯の特徴から察するにおそらくこのお湯も典型的な造成泉かと思われます。なお当然ながら掛け流しの湯使いです。共同浴場のわりにはちょっと高めの料金設定ですが、界隈の他施設と比べれば安めですから、当地で少しでもお安く入浴したい方にはよろしいお風呂かと思います。尤も、館内でも注意喚起されていることなのですが、ここは観光目的の温泉ではなく、地域生活のための浴場ですから、利用の際には十分にその点を留意しないといけませんね。


分析表掲示なし

熊本県阿蘇郡小国町大字西里

利用可能時間調査忘れ
300円
備品類なし

私の好み:★★
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水沢温泉露天風呂

2013年07月06日 | 秋田県

先日5年ぶりに秋田県の水沢温泉を訪れました。この先の乳頭温泉郷(や秋田駒ケ岳)には何度か足を運んでいますが、その途中に位置する水沢温泉はどうしても通過してしまい、毎年のように仙北地方を訪れていながら、当地にはすっかりご無沙汰でした。しかも、恥ずかしながら前回訪問時の記憶がすっかり飛んでしまい、内部やお湯の様子をほとんど憶えていないため、今回は初訪問のつもりで利用させていただくことにしました。


 
温泉施設というよりちょっとしたリゾート施設やイベントホールのような、立派で広々とした館内。明るくて清潔感が漲り、高原という爽快な立地にふさわしい造りです。券売機で料金を支払い、カウンターに券を差し出します。浴場へ向かう通路には、なぜかスタイリッシュな館内の雰囲気とは似つかわしくない、婆さん向けの地味な服がハンガーに掛けられてたくさん販売されていました。


 
ギョギョギョ! 浴室入口手前に飾られているこの絵は、かの有名なさかなクンが描いた幻の魚クニマスですね。元々棲息していた田沢湖からは姿を消してしまいましたが、2010年12月にここから遠く離れた富士五湖の西湖で、さかなクンの手に発見されたことは皆様ご案内の通り。絵の日付は2010年12月24日となっていますから、さかなクンが西湖で奇跡の発見をした2週間後に描かれたことになります。田沢湖ではクニマスの里帰りプロジェクトがすすめられているそうですから、いずれの日にか田沢湖でクニマスが再び銀鱗を煌めかせられることを祈るばかりです。


 
2つの大浴場をつなげたような、とっても広い脱衣室。中央のトイレエリアを挟んで手前と奥に脱衣室が分散されていて、それぞれに棚やロッカーがたくさん設置されています。これだけ広くてロッカーや洗面台の数もしっかり確保されていれば、繁忙期にも混雑を感じることはないでしょうし、広いばかりでなくきちんと清掃も隅々まで行き届いている点も大いに評価したいところです、
浴室にはお風呂に関する説明も掲示されていますが、詳しくは後述して参ります。


 
シンメトリな構造の浴室が2つ接続している内湯。それぞれの洗い場にはシャワー付き混合水栓が6基ずつ計12基設置されています。露天風呂が売りの施設ですが、内湯も天井が高くて湯船も大きく、かなり開放的な造りですから、万一悪天候等で露天に入りにくい状況だったとしても、内湯だけでも十分に満足できるかと思います(あくまで私の個人的な感覚ですが)。


 
シンメトリな造りなのですが、部分的に異なる箇所があり、脱衣室から見て左側の洗い場には1本の打たせ湯が隣接している一方、右側には「しょうがい者の方でもご利用出来る」小さな浴槽が据え付けられていました。



湯口も中央の仕切りを挟んで両方に対して設けられており、それぞれ白濁した温泉を吐出しています。脱衣室側から見て右側の浴室の浴槽はやや熱め(43℃位)、左側はややぬるめ(41℃位)の設定になっていました。両者には投入量に違いがあるので、お湯の投入量で温度調整しているのかもしれません。


 
竹の湯口を接写してみました。筒の内側には白い湯の花がビッシリとこびりついています。また筒の根元に当たる石にも析出が現れていますね。



加水用の水栓金具は硫化して黒く変色していました。硫黄の温泉らしい光景ですね。


  
露天風呂も2つあって、内湯と異なり若干の角度がつけられた上で据え付けられています。両方とも思わず泳ぎたくなっちゃうほど大きなもので、形状としては小判型、深さは1m近く、耐食のためか槽内は水色の樹脂のようなものでコーティングされており、その大きさや見た目、色合いなどによって、お風呂というよりプールのようにも見えます。お風呂の手前側半分には庇が架かっているので、多少の雨ならその下で凌げるかと思います。


 
緑に抱かれた爽快な露天風呂。空の広大さを実感できて爽快この上ありません。お風呂の周りには石灯籠などが配置されており、日本庭園のような趣きが醸し出されています。


 
内湯同様、露天の湯口も中央から両方に向かって注がれていました。その投入量は左右で明らかに異なり、これまた内湯同様に脱衣室から見て右側の方は源泉投入量が多くて湯加減もやや熱く、左側は投入量がいくらか絞り気味ですが入りやすい温度に調整されていました。


 
露天の湯口も接写しちゃいました。筒から迸る大量のお湯にはついつい見惚れてしまいます。さて肝心のお湯に関するインプレッションですが、見た目は内湯では灰白色を帯びて底が見えないほど強く濁っている一方、外光が燦燦と降り注ぐ露天風呂では明るい白濁に見え、底の様子も確認できるほどの透明度がありました。浴室に入った途端、何かが焦げたような香ばしい硫黄臭と石膏臭が鼻孔をくすぐり、鼻を湯口に近づけると明瞭な硫黄臭とともに刺激を有するアブラのような匂いや弱いアンモニア臭なども嗅ぎ取れます。また口に含むと弱い酸味と燻されたような苦味・渋味、石灰のような粉っぽい味、そして口腔に残るえぐ味が感じられました。入浴中はギシギシと引っかかる浴感とパウダリーな感触が肌に伝わりました。
浴室は綺麗でお湯も豊富という実に素晴らしい施設ですが、乳頭温泉郷という圧倒的な知名度の陰に隠れているためか、相対的に存在感が薄くなってしまうのが悲しい性。でもスキーシーズンには混雑が集中するんでしょうね。ネット上でも皆さんこちらの温泉を高く評価なさっているようですが、なるほど納得です。


水沢(混合)温泉
含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
58.6℃ pH6.6 1850L/min(自然湧出) 溶存物質2.27g/kg 成分総計2.64g/kg
Na+:151.9mg(23.86mval%), NH4+:14.3mg(2.85mval%), Mg++:106.5mg(31.62mval%), Ca++:207.5mg(37.36mval%),
Cl-:182.3mg(17.45mval%), HS-:5.9mg(0.61mval%), S2O3:3.0mg(0.17mval%), SO4--:805.1mg(56.89mval%), HCO3-:446.0mg(24.81mval%),
H2SiO3:278.6mg, CO2:358.0mg, H2S:16.7mg,

秋田県仙北市田沢湖生保内字下高野73-15
0187-46-2111
ホームページ

9:00~21:00 定休日あり(HP等で要確認)
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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国見温泉 森山荘

2013年07月05日 | 岩手県
 
温泉ファンなら多くの方がご存知の岩手県国見温泉。私もウグイス色のお湯の魅力に惹かれて何度となく通っているのですが、当地に3つある施設のうち、今回は「森山荘」で入浴させていただくことにしました。拙ブログでは初登場ですが、私としては3回目の入浴です。いかにも山小屋らしい総木造の、登山基地にふさわしい佇まいですね。


 
訪問時はちょうどお昼12時だったのですが、11:30~12:30の露天風呂は女性専用タイムに設定されているため、まずは内湯に入って体の垢や汗を洗い落とすことに。


 
よしよし。内湯は独り占めだぞ。そう一人で呟きほくそ笑みながら、まずは真湯のシャワー(2基あり)で体を清めます。この浴室のシャワーって、2つあるうちの1つが浴槽の向こう側にあって、湯船を横断したり縁の上を歩いたりして、向こう側に渡らないと使えない構造になっているのがちょっと不思議なところであります(ま、スペース上やむを得なかっただけなんでしょうけど)。
壁の棒に引っ掛けている木工物は言わずもがな枕でして、浴槽の縁にその枕を置いて、頭を載っけて仰向けに入浴すると、とっても良い感じに体が湯船へおさまります。風呂場で枕を目にしたらトドになりたくなる東北人の方も多いでしょうけど、床スペースはそんなに広くないので、ここでのトドは無理(というか迷惑)でしょうね。



湯口から間断なく注がれるウグイス色透明(私は勝手に国見グリーンと称しています)の美しいお湯。あぁ、なんて綺麗な色なんでしょう!
お湯からは焦げたような硫黄臭とクレゾールを彷彿とさせる刺激臭が放たれており、口にすると甘塩味や石灰味の他、口腔が痺れる苦味とえぐみが強く感じられ、お湯を吐き出してもしばらくは口の中に苦味や渋味がしぶとく居残りました。


 
この時はしばらく入浴客がいなかったのか、湯船の湯面には国見温泉名物の湯の花の膜ができかかっていました。実際にできる膜はこんなもんじゃなく、あたかも氷が張り詰めたような感じになるのですが、そのスタート段階が上画像の状況です。


 
12時半(女性専用タイム終了時間)を過ぎたので、一旦服を着てから露天へ向かいます。途中の道標には左が「ペット専用」、右が「人間専用」と記されており・・・


 
露天風呂の手前にある見晴らしの良いテラスにはペット専用の風呂が据えられております。ここではたくさんのペットたちが湯浴みしているんですね。撮影はしておりませんが、私の訪問時も一頭のシーズー犬が気持ちよさそうに、国見のグリーンのお湯を浴びていました。


 
ペットの大きさによって風呂の大きさが分けられている点は実に素晴らしいところ。こちらのお宿を見倣って、日本にある数多の温泉旅館も、もう少しペットに優しくなってほしいものです。


 
さて、人間様の露天風呂へ。更衣ペースこそ男女別ですがお風呂自体は混浴です。この時は私以外に誰もいなかったので、一人で悠然と入浴できました。


 
湯口からトポトポと注がれるオリーブグリーンの源泉。初夏の陽の光を受け、より一層美しさを増してるようでした。湯船はコンクリ造の実用的なもので約4~5人サイズ。浴槽底の四隅には黄色い湯華がたくさん沈殿していました。やや浅い造りなのですが、内湯同様、浴槽の縁に置かれている木の枕に頭を載せて仰向けになると、実によい感じで入れます。


 
新緑の山に吹く風が湯浴みする私の体に優しく当たり、火照ろうとする体の熱を程よく奪い去ってくれます。本当に爽快だなぁ。


 
捨てられたお湯によって露天直下の谷が白色に覆われていることも、温泉ファンの皆様にはおなじみかと存じます。国見温泉は何度来ても飽きませんね。素晴らしい!
なお、当日の私はここを訪れる前に別の温泉に入っていたのですが、その温泉に含まれている鉄分が体の表面に残っていたためか、国見の湯に浸かったら、肌の表面、とりわけ四肢の爪が真っ黒く染まってしまいました。それだけ国見温泉は硫黄分が強いのでしょうね。


薬師の湯
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩温泉 49.8℃ pH6.8 溶存物質4.175g/kg 成分総計4.607g/kg 
Na+:870.0mg(79.10mval%), Mg++:77.9mg(13.40mval%), Ca++:51.9mg(5.41mval%),
Cl-:215.5mg(11.39mval%), HS-:11.8mg(0.67mval%), SO4--:227.3mg(8.86mval%), HCO3-:2565.0mg(78.74mval%),
H2SiO3:83.7mg, HBO2:37.8mg, CO2:410.7mg, H2S:20.9mg,

岩手県岩手郡雫石町橋場
090-1930-2992
ホームページ

日帰り入浴9:00~17:00
500円
ボディーソープあり、他備品類見当たらず

私の好み:★★★
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