文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2015年トルコ映画『裸足の季節』

2016年06月24日 | 映画
 6/23木曜メンズデイの千葉劇場にて。トルコの方田舎で、両親を亡くし祖母の家で暮らす5人姉妹の物語。


 
 古い因習が残る地方都市。常にその枠外へ出ようとする自由闊達な女の子たち。ついには部屋から外に出ることを許されなくなってしまい、年長の娘から順に結婚させられ、3女は精神のバランスを崩し行きずりの男と関係を持ち遂には自殺してしまう。4女の婚礼の夜、5女のラーレはイスタンブールへの逃亡を決行するが・・・。

 メガホンを取ったのはデニス・ガムゼ・エルギュヴェンという女性で、これが初の監督作品という。リーフレットには「少女たちの反逆の物語」と謳われているが、私はそうは観なかった。悪しき因習に束縛された女性の苦しみを、映画を通じて訴えているように思えた。抑圧された生あるいは性は、暴走し最悪の場合自分にその刃が向いてしまう。

 全編を通じ、少女達の人格を守ろうとする人物は2人しか出てこない。イスタンブールに転勤していった女性教師と、ラーレの逃走を最終的に助けることになるトラックの運転手。ただ、故意かはわからないが、少女たちを拘束するものがあくまで悪しき慣習であり、イスラム教の教えではないように描いているように思えた。写真を見てわかるように、少女達は髪や肌をかなり露出している。コーランには、女性は顔と手以外は露出すべきではない旨の記述があると聞くが、映画の中でそれについて厳しく注意する人物は出てこない。そのあたりが興味深いところだ。

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