文化逍遥。

良質な文化の紹介。

わたしのレコード棚―ブルース40、John Jackson

2017年10月31日 | わたしのレコード棚
 ミュージシャンの中には、それほど難しい事をやっているのではないが真似しようとしてもなかなかうまくいかない、という人達がいる。今回紹介するカントリーブルースのジョン・ジャクソンもその一人だ。
 生まれは1924年2月25日合衆国東部のヴァージニア州ウッドヴィル(Woodville)、亡くなったのは同じヴァージニア州で2002年1月20日。つまりは、「イースト・コースト・ブルース」ということになる。実際に、リズムの取り方やレパートリーの豊富さは東海岸という地方の特色を持っている。ブルースというカテゴリーには入りきらない、と言ってもいい。やはり、ピードモント地方に近いので「オールドタイム」あるいは「マウンテン・ミュージック」と云われるアイルランドからの移民の人達が生み出した音楽の特色を持ち合わせているのだ。つまり、他の地方のブルースマンに比べて、多様な要素を含んでいる、と言える。これは、当時のパーティーなどで演奏する際は、かなりの強みだったろう。なにしろ、音楽を聞くにも再生する機器の乏しい、あるいは無い時代だったのだ。いや、どうかすると、電気も通っていない地域もあったかもしれない。ジョン・ジャクソンがソング・スターとして、演奏していた時代は、そんな時代だった。懐古趣味はないが、生の楽器や人の歌声が週末にあちこちで聞こえ、音楽が地域のコミュニティーに貢献していた、そんな時代があったのだ。


 ARHOOLIEのLP、1047。1969年10月、ヨーロッパツアーの際にドイツのシュットガルトのスタジオで録音された14曲を収録。


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