文化逍遥。

良質な文化の紹介。

落語・講談二人会

2019年10月15日 | 落語
 台風19号が来る前日の10/11(木)、わたしは千葉市生涯学習センター2階のホールで午後2時半より行われた「落語・講談二人会」に行っていた。台風の被害は、日を追うごとに増え続けている。新聞の記事等によると、15日朝現在で、被害状況は以下のとおり。11県で死者56人、行方不明者16人。各地で決壊した堤防は調査の結果、7県の37河川52カ所に上っている。流域が広く水に漬かり、住宅の床上浸水が1975棟、床下浸水は1729棟停電や断水も各地で続いている。
 被災者の生活への影響は長期化しそうで、国難と言っても過言ではない状況になっている。こんなときにこそ、本当の芸を持った芸人たちが活躍して欲しいのだが、テレビでは「タレント」と呼ばれる人達がはしゃいでいるばかりだ。


 さて、千葉市生涯学習センターのホールは300席ほどの大きさだが、台風が近づいていた為か客の入りは6割ほど。ゆったりした感じで聴けた。



 出演は、落語が三遊亭円馬、講談が神田松鯉(しょうり)。ベテラン二人が交互に休憩をはさんで2席ずつ、たっぷり聴かせてくれた。こういった口演は多く下座さんは伴わず、録音したもので出囃子を済ますことが多いのだが、この日はリーフレット右下にあるように「稲葉千秋社中」がみごとな出囃子を聴かせてくれたし、前座さんもなかなかの熱演だった。当日券で2500円だが、予約してあったので2000円で入れた。久々に、話芸を交通費も時間もかからない自宅近くでゆっくり味わえて随分得した気分になった。ここで、このような会が開催されたのは三遊亭円馬が千葉でマニア向けの「落語教室」の教師を務めている関係らしい。従って、会場の受付や整理などはその教室で指導を受けている生徒さん達が勤めていたようだ。観客もその関連の人が多かったようで、演者もリラックスして語っていた。

 出し物は、三遊亭円馬が「時そば」と「お見立て」。
 神田松鯉が、源平盛衰記より「那須与一」と「河内山宗春」。

 円馬に関しては、テレビで見たことがあるが実際の高座を聴くのは初めてだった。テレビでは、さほどうまい人だとは思わなかったが、時間制限の無いホールでの落語では、十分な間合いが取れる為か、仕草もうまく実に味わいがありうまい人だなあ、と感じた。
 松鯉は何度も高座に接している。「人間国宝」の指定を受け、ますます熟練の話芸に磨きがかかった感じ。本来、このような地方でのささやかな口演では、「手抜き」とまではいかずとも、軽く流したりする人も多いものだが、この人に関しては「手抜き」を感じたことがない。そこがすごいところでもあり、見習いたいところでもある。

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