文化逍遥。

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2018年イタリア映画『トスカーナの幸せレシピ』

2019年10月29日 | 映画
 10/24(木)、千葉劇場にて。監督・脚本は、フランチェスコ・ファラスキー。原題は「Quanto Basta」で、少し調べてみたところ、直訳で「どのくらい(の量)で十分なのか」になるらしい。料理の話なので、主人公がこだわる調味料の分量と思われるが、師匠役が何度も説明することが多いので「何回言えばわかるのか」という意味合いを兼ねているのかもしれない。





 自閉症の治療施設で暮らす、アスペルガー症候群の青年グイド。彼は対人関係に問題を抱えているが、味覚は天才的で食べた料理の材料を正確に言い当てることが出来る。そんな施設に、料理の腕は一流だが粗暴なところがあり傷害事件を起こしたシェフのアルトゥーロが更生をかねた罰としてとして料理を教えるためにやってくる・・・。

 広い意味での「広汎性発達障害」の人達は、ひとつのことに「こだわり」が強いために周囲の理解を得られず、結果社会から隔絶されたところで生活する人も多い。しかし、その「こだわり」ゆえに、時に特殊な分野で独創的な活動をする人達もいる。歴史上の「天才」と呼ばれる人たちの中にも、今日では「広汎性発達障害」だったと考えられている人も多い。たとえば、物理学者のアインシュタインや音楽家のモーツァルトなどもそうではなかったかと言われている。
 この作品で描かれている青年グイドも様々な問題を起こしながらも周囲の人々に恵まれ、理解を得て独り立ち出来るようになる設定になっている。少し、楽観が過ぎるかな、という印象も捨てきれない。が、イタリア映画らしいほのぼのとした作品で、イタリア中部の美しい風景と、料理にこだわるイタリアの人達の気持ちが映像に現れていた。

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