文化逍遥。

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わたしのレコード棚ーブルース82『Negro Blues and Hollers』

2020年02月11日 | わたしのレコード棚
 今回のCDは、ラウンダー(ROUNDER)というレーベルから1997年に出たもので、アラン・ローマックスが1941-42年に議会図書館の要請に応じてフィールド録音したものを編集したものだ。ROUNDERは、地方色の強いフォークソングのレコードなどを多く発売しているレーベルで、ブルースファンには馴染みが薄いかもしれない。このCDも「Archive of folk culture」となっているように、カントリー・ブルースを地方色の強いフォークソング(民謡)として捉えて編集したようだ。内容は、サン・ハウスを中心にデヴィッド・エドワーズ、ウィリアム・ブラウンなど、ミシシッピーやアーカンソーでフィールド・レコーディングされたもの12曲で構成されている。全ての曲の歌詞が解説と共にブックレットに入っているのもありがたい。何しろ、訛りが強くてほとんど聞き取れないのだ。



 それぞれのミュージシャンに関しては、すでに他のページで書いたものを参照してほしい。
 このCDで、特筆すべきは、解説書の写真である。サン・ハウス(右)をギターでサポートしているのはマディ・ウォータースで、ニューポート・フォークフェスティバルの時の1枚だという。残念ながら日付の記載がないので、詳しいことは分からないが、おそらく1960年代のものと思われる。さらに残念なのは、この時の演奏もこのCDには収録されておらず、他の音源も我が家には無いことだ。是非とも聴きたいものだ。
 マディ・ウォータースに関しては、シカゴで成功した「大御所」と言われるブルースマンで、改めて書く必要もないだろう。その大御所の音楽による収入から見れば、ほとんど「素人」に近いサン・ハウスだが、マディがサンを見つめる表情に先人への畏敬の気持ちが見て取れる。言葉を換えれば、真剣さと緊張そして尊敬がこもっている。やはり、優れたミュージシャンは、自分のルーツがどこにあるのか、そして、その道を切り開き、守ることがいかに困難を伴うのか、それが良く分かっていたのだ。ただ、亡くなったのはマディ・ウォータースの方が早く、1983年に68歳でだった。サン・ハウスは86歳までの長命を保ち、1988年に亡くなっている。。

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