文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2017年イギリス映画『Edie(イーディー)』

2020年02月17日 | 映画
 2/12(水)、千葉劇場にて。監督・脚本は、サイモン・ハンター。主人公イーディー役には、撮影時に役柄と同じく実際83歳だったシーラ・ハンコック。





 主人公の83歳イーディーは、気難しい夫の世話と介護に人生をささげてきたまま年を取った実感しかない。その夫も今は亡く、一人娘には老人施設に入ることを進められ、次第に母娘の気持ちが離れてゆく。そんな時、亡くなった父と昔スコットランドのスイルベン山に行く約束を思い出し、一人重い荷物を携えてロンドンのユーストン駅に向かい、スコットランドのインバネス行き夜行列車に乗るのだが・・・。

 はっきり言って、この映画のストーリーや設定には特に語るべきところも見いだせない。観たかったのは、スコットランドの山々と漁村の風景だった。イギリスという国も、日本から遠く、中々理解できない国だ。面積は大きくないのにサッカーチームがイングランド、ウェールズ、スコットランドなどに分かれているようにブリテン島だけでも文化的な違いが大きいようだ。さらに、ミュージシャンなどは多く出ているものの、日本に入ってくる輸入品として思いつくのはウィスキーと車くらいだ。一方で、大航海時代には世界の覇者として植民地をほしいままにし、莫大な富を蓄積した。その大英帝国も今は衰退し、貧困問題を抱えかつて「ゆりかごから墓場まで」と言われた福祉国家の影も薄い。
 そんなイギリスの実態を知るために出かけていけるわけはなく、ましてや、スコットランドの自然の景観などは知る由もない。映画は、あくまでレンズを通した、いわば作為性を排することが出来ない世界だが、それでもその地方を理解する一助にはなるだろう。その意味では、この作品も観る価値がある、と言える。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする