9/28(火)、千葉劇場にて。原作は漠月(モー・ユエ)の小説『放羊的女人』。監督は王瑞(ワン・ルイ)。原題は『白云之下』で「白雲のした」の意味だろう。言語は基本的にはモンゴル語だが、時に中国語も入る。
内モンゴルのフルンボイル草原に暮らす一組の夫婦。原風景ともいえる草原の中で羊を放牧し、先祖からの生活を守ろうとする妻サロール。近代化の波に押され行動に落ち着きが無く、都市に出たがる夫チョクト。そんな二人の葛藤を描いた作品。
撮影には10年の歳月をかけたという労作で、自然の中で生きる人間の姿と、迫りくる都市化の光景が対比され、優れた映像を通して、改めて人のあり方を問うかのような作品になっている。モンゴルの民族音楽も効果的に使われ、特に妻サロール役のタナは歌手ということで映画の終わり近くに独唱される民謡は胸を打つ。一方で、夫チョクト役のジリムトゥは遊牧民の家庭で育った俳優で、馬を乗りこなすシーンは迫力があった。この映画、中国政府の同化政策に対する批判が背後に隠れているようにも感じられた。
映画を娯楽として楽しみたい人には薦められないが、映画を通して多様な文化に触れ理解したい人には薦められる佳作。
内モンゴルのフルンボイル草原に暮らす一組の夫婦。原風景ともいえる草原の中で羊を放牧し、先祖からの生活を守ろうとする妻サロール。近代化の波に押され行動に落ち着きが無く、都市に出たがる夫チョクト。そんな二人の葛藤を描いた作品。
撮影には10年の歳月をかけたという労作で、自然の中で生きる人間の姿と、迫りくる都市化の光景が対比され、優れた映像を通して、改めて人のあり方を問うかのような作品になっている。モンゴルの民族音楽も効果的に使われ、特に妻サロール役のタナは歌手ということで映画の終わり近くに独唱される民謡は胸を打つ。一方で、夫チョクト役のジリムトゥは遊牧民の家庭で育った俳優で、馬を乗りこなすシーンは迫力があった。この映画、中国政府の同化政策に対する批判が背後に隠れているようにも感じられた。
映画を娯楽として楽しみたい人には薦められないが、映画を通して多様な文化に触れ理解したい人には薦められる佳作。