『すいか』第1~3話
TVerの期間限定配信にて。
誰かが以前おすすめしていたから見た。
主人公の変人めいた振る舞いにわざとらしさを感じて
第1話はあまり面白いと思えなかったのだけども、
回を重ねるごとにドラマに自分の気持ちが馴染んでいった。
筋はあってないような、ゆるい空気感と人々の暮らしぶりが好き。
先も見たかったのだけれども、時間切れで第3話まで。
WOWOWオンデマンドの契約をした理由は、
映画版のレビューで書いた通り。
最初は、WOWOW高いな……と思ったけど、
映画2回分より安い値段で
「ドラマ9話+メイキング9話分+キャストインタビュー」
が見られるなら安いと思った。
「ゴールデンカムイ」関連の配信だけで十分に元が取れる満足感。
ドラマは「映画の続き」という位置づけで、
二瓶のエピソードから、鯉登登場&白石奪還までの全9話。
映画版と同様に、再現度がすごい。
桜井ユキさんの家永は「三次元になったら、こうなるだろうな」という
「それらしさ」があったし、姫は笑っちゃうくらい姫だったし、
中川大志くんの鯉登もとってもうるさくて可愛い。
あと、キロランケ役の池内博之がめちゃくちゃかっこよくて、
俳優さんの魅力再発見でもあった(GTOの印象で固定されてた)。
競馬場が賭場になってたり、空中戦が地上戦になってたりと
原作からカットしたり改変したりしたエピソードもあるのだけども、
ちゃんと話の流れやキャラクターに沿ってるから違和感なし。
俳優さんたちだけでなく、メイクや料理、美術など、
各分野のプロフェッショナルたちの奮闘が見られるメイキングも楽しい。
あと、私はあまりテレビを見ないので、これを機に知った俳優さんも多く、
世の中にはいろんなタイプのイケメンがいるのだな……と感心した。
作中で美男設定でなくても、演じている方の多くは美男なの。
映画と今回のドラマで、原作の1/3を消化したところ。
最後まで実写化してもらえることを期待!
最終回は拡大版。
最後まで倫子さまの格が高いままで良かった。
すっかり気力をなくしてしまった道長のために
まひろに向かって「殿の妾になってくれない?」と言い、
道長の最期が近いと思えばまひろ を呼び出して会わせ、
恨み言らしい恨み言は、何も知らない娘の心を奪ったことについてのみ。
消して激昂せず、意地悪もせず。
でも愛されない悲しみもこれまできちんと描いてきたから、
決して平気なわけではなく、
高貴な姫君の気品と正妻の矜持ゆえの振る舞いだとわかる。
メインの登場人物間では
「女の敵は女」という描き方がなされなかったの、
令和ナイズドされた少女漫画 という感じで安心したよ。
ききょうともちゃんと仲直りしてたし。
正直なところ、メイン二人の恋模様にも
その後の執着を残した関係性にも全然ときめかなかったのだけど、
脚本にベテランらしい引きと構成のうまさがあって
最後まで安心して見ていられた。
政治のグダグダっぷりを示して
貴族政治の崩壊を予感させるとともに、
道長の功績を「平安の世に保ったこと」として、
道長の死=「平安」の終焉としたのも良かった。
周明だけが本当にわけわからんかったが……
平安女流文学の周辺を美しい映像で見せてくれただけで
感謝だよ!!
【その他いろいろ】
・行成くん、道長と同日に死去。
わけがわからんが、史実だから仕方ないね。
「推しと同時に死ぬ」というには、
あまりにも行成くんがかわいそうな目に遭いすぎてて、
ハッピーには受け取れない……。
・衛門先生に「あなたが誇らしい」と告げて自信を持たせる倫子さま、
編集者としても有能。
・明子さまにはお兄ちゃんがいて本当に良かったね。
・顕光の面の皮の厚さ、見習いたいよ。メンタル強すぎ。
・道綱くんは、最後までアホボンで癒しだった。愛嬌の塊。
・菅原孝標女までまひろと絡ませるサービスぶり。
* * *
来年の「べらぼう」は脚本家さんが実力派なのと、
マイナー題材で楽しみ。
でも、レビューは、
「書かずにはいられない!ってくらい面白かったら」
にしようかな。
「実写化? せんでええわ……」
と思っていたのだけども、映画の評判が非常によかったうえ、
WOWOW配信のドラマの評判も上々、
中川大志くんが鯉登役……ということで
WOWOWオンデマンドの契約をしてしまった。
先にドラマのほうを見始めてしまったのだけども、
映画の配信が本日までだということで慌ててこっちを見た。
ちゃんと原作リスペクトと愛が感じられる作りで、
事前に聞いていた通り再現度がすごい。
特に自然やアイヌの生活、明治期の北海道の街並みなんかは
実写化した意義があったと感じられる作り。
動物の作りもの感はどうしようもないというか、
本物を使えない以上仕方ないと思うし、
コメディパートも若干、あれ? と感じられる部分もあったけど、
おおむね面白かった。
演技で気になったのは端役の人くらいで、メインキャストには文句なし。
今回映画化されたのは導入部だけで、
三陣営の顔見せと杉本・アシリパ・白石のチーム結成までで終了。
二階堂役の栁俊太郎さん、この実写で初めて知ったのだけど、
めっちゃ二階堂だった。
二人同時に顔を写さないように撮ってるんだけども、
気をつけて見ないとそれがわからない自然さ。
玉木宏の鶴見と館ひろしの土方も、コスプレ感があったのは最初だけ。
キャストやセット等すべてをひっくるめて、
現時点でできる限りの最高の実写化をしました! という感がある。
杉元役の山﨑賢人くんは、実写請負人みたいになっていて、
毎回文句言われて気の毒ね……。
今回も杉元役にしては男くささがなくて顔が可愛すぎるように思うけど、
じゃあ誰がぴったりなのかと言ったら思いつかないし、
とても頑張ってるのはよくわかる。
癖のない美形だから、何の役にもそれなりに近づけられるポテンシャルと、
主役を張れる安定感、現場での信頼があるのだろうと思う。
特に主役は、顔が似てるだけじゃダメだというのはわかるしね。
今回の「???」ポイント二つ。
【1】
周明の死にいまだかつて見たこともないほど取り乱し、
泣き叫ぶまひろ。
そんなに思い入れあったの……??
「よく顔覚えてたな」の時点で違和感あったくらいなのに。
【2】
突然の激重友情をアピールしてくる公任。
「隆家はお前の敵だから、恩賞を与えるのに反対したのに!
俺たちをそんなふうに見てたの?
俺たちより実資を信用するってどういうこと!?」
おい、どうした?
落ち着けよ……
なんだったんだろ、この二つ。
後からちゃんと回収されるんだろうか。
今のとこ、周明・双寿丸というオリキャラを出してきた意義も
わからない。
最終回のラストに、「二人の関係、知ってたよ」と
爆弾を落としてきた倫子さま。
ここ、ストーリーラインとしてはクライマックスの位置じゃん。
やはりラスボスは倫子さまだったのか!
【その他いろいろ】
・頼通くん「父の手を借りずに解決したい」→「とりあえず様子見よ」。
気持ちはわからんでもないが、人命がかかっているという認識がない。
他の公卿も同様だけど、都の外の、しかも下々の命のことなんか
本当に意識の端にすら思い浮かばないんだろうね。
一見、まっとうな感覚を持ち合わせているように見せかけて、
道長もまひろのことしか頭にないから同じ!
・実資、最後まで株が上がりっぱなし。
・そりゃあ、命がけで戦ったのに恩賞もくれない朝廷なんかより、
現地にいるボスの言うこと聞くようになるよね……と
武士の世になることをちゃんと描いてるの、とってもいい。
・いつでもおとなしくまひろに従い、身を挺してまひろを守ってきた乙丸の
「やだやだやだやだ、都に帰りたい!!!!」攻撃。
まひろのためでもあるんだよね。
・賢子が「光る女君」になっちゃおうかな~っていうの、しびれたよ。
こうして史実に寄せてくるとは。