先日、豊中にある「奥内陶芸美術館」へ訪れた。
奥内陶芸美術館は故奥内豊吉氏によって収集された近代現代の陶芸品・絵画約650点が常設展示されていて1000点を越える美術品を所蔵し、奥内氏が支持していたという民藝運動の作家の作品も充実してるそう。
昔、よく美術館巡りをしていた時期があったのだがこんな近場にそんな大規模な美術館があったとは全くノーマークで、最近この美術館のことを知った。
一緒に行った豊中に住むTちゃんも全く知らなかったと言ってた。
住宅街の中にひっそりとたたずむ美術館で、大きなお屋敷の中の一画が美術館に。
入場料は大人500円。
私たちがやって来た時には誰もいなかった。
管理のおばさんが出てきてゆっくり見ていってちょうだい、(写真もOK)と言われた。
パンフレットは?と聞くと、中の改装を行った時に業者が「もういらないでしょう」と捨ててしまって以来、作ってないとか・・
予備は一枚も取ってなかったそう;
何かアバウトな美術館のようだ・・
そして寒いからスリッパを履くようにと。
なんと館内は大理石が敷き詰められていて、スリッパがなければ足が凍りつきそうになる。
天井や柱にもふんだんにイラン産の大理石が使われていてゴージャス。
そして暖房設備などはないようで寒さに震えつつくまなく鑑賞した。
1階のメイン展示室には河井寛次郎や濱田庄司、冨本憲吉、などの民藝の作品を代表として近、現代の作家の作品がずらりと並んでる。
濱田庄司などは別室が設けられて常時50点もの展示があるよう。
河井寛次郎
冨本憲吉
濱田庄司が民藝の精神にかなう「健康の美」と称えていた皆川マスの益子山水土瓶まであった。
そういえばこの日一緒に訪れたTちゃんとは昔一緒に益子へ行ったんだった!
Tちゃんは棟方志功が好きだったようだが・・棟方志功は2階に一枚だけ版画があった。
そして1階の奥には日本画やロダンの彫刻や仏像なども。
この部屋の天井は網代天井になっていて豪華な造り。
部屋の真ん中には年季の入ったグランドピアノが置かれていた。
三点ほどあった上村淳之の鳥の絵が色彩もやわらかくとてもかわいかった。
2階の絵画展示室にも梅原龍三郎やルノアール、キスリングやマリーローランサン、シャガールなどの油彩、水彩画も・・
別室にはピカソのデッサンにベルナールビュッフェ、藤田嗣治のリトグラフまで・・
特に藤田嗣治は充実。
独特な雰囲気のある藤田嗣治の版画は興味があったが今まであまり見る機会がなく、この日はたくさん楽しめてよかった。
12ヶ月ずらっと並んでいた芹沢圭介の型染めカレンダーも色が美しくとても素敵なものだった。
この版画の隣にも鎌倉や室町時代の古陶磁もところ狭しと並んでいた。
管理のおばさんの話によると昔は美術品も偽物をよくつかまされたそうで・・懲りた奥内氏は最後には百貨店からしか美術品は買わなくなったそう。
展示されてるものは確かな物だけだそうだが。
偽物は蔵の中にしまわれてるとか。
この屋敷の敷地内には今は奥内氏のお孫さん世代が住まわれているという。
外へ出てぐるりと回ってみたが、ここはくさりがされてて今は使われてないがかつての正門のよう。
塀が高くて中の様子はよく見えなかったが、家は新しく建て直されているようで、長~い塀を伝って行くと現在の玄関が別に設けられていた。
それにしてもこれだけの美術品とこの広い敷地・・どんなにお金持ちなんだろう~
とふと現実に戻ってしまった。