人は生まれてから成長するにつれて、いろんなことを覚え、出来るようになっていきます。
勉強や知識は別にして、スキル系のことだと、絵を描く、歌を歌う、字を書く、なんてことがあります。
誰でも時間が経てば、絵を描き、歌を歌い、字を書けるようになります。しかし、出来るようになることと、うまく出来ることは違います。
もちろん才能というものもあるのでしょうが、一定レベルに到達するための近道は、いかに上手に模倣することが出来るかだと言えます。
模倣とは、誰かがやっていることを再現する、あるいは、言われたことを再現することですが、その際に大事なのは、自分が言われたこと、あるいは誰かがやっていることを再現出来ているかどうかを、自分自身でしっかりモニター出来ているかどうかです。
もちろん、自分で自分の姿は見ることは出来ないのですが、あたかも幽体離脱したかのような感覚で外から自分の身体をチェックすることが必要です。
これが出来る人は、言われたことをすぐに出来たり(飲み込みが早いと言います)、上手な選手を見てどんどん上達しますが、出来ない人は、何度も何度も同じことを言われることになります。
これは何もスポーツだけに限ったことではなく、考え方などの面でも言えます。どういうことかというと、自分自身の考え方の癖や傾向を知っていると、対処の仕方が変わってくるということです。
例えば、何か意見を言いたい時に遠慮してしまうという自分の傾向を理解していれば、あえて積極的に発言しようとするなどの行動が出来るということです。こうした自分自身の考え方や行動の仕方を、外から見るように理解することを「メタ認知」と言います。メタというのは、「~を越えて」というな意味があり、「自分の認知の仕方を認知する」というような意味です。
このように「メタ認知」が出来る人の方が、さまざまなことの上達が早いのは言うまでもありません。出来れば、皆がこのように自分を見ることが出来るようになってほしいのですが、それでもダメなら、ぜひ、父母の皆さんには、ビデオを撮って子どもたちに見せてほしいんですよね。「自分では分からないだろうけど、こんなプレーをしているんだよ」と。
それにしても、昔は誰もが憧れの選手の真似をいかにうまく出来るか競ってやっていたんですけどね。そして、その過程で、当然模倣することの極意も掴んでいたものです。今の子どもたちは満ち足りてしまって、何かへの憧れとか、こうなりたいとか、ないんでしょうかね。