ひげ爺のお産・子育てご意見番

子どもは育つ力を持って生まれてきますが
親に子育てする力が減っています。
親育て支援の中で感じたことを書いています。

ベビーベッドはいらない

2014年12月05日 | 育児用品これはいらない
1987年に生後9週、13週、29週の3例の乳児を対象として、母親が傍から離れ、別の部屋に移動したときの額の体温変化を調べた実験があります。

3例ともに額の体温は低下ました。
1990年には8週から15週の11組を対象とした実験結果も報告され、母親がいなくなると額の体温が低下することが証明されています。
 母親が傍からいなくなると乳児は緊張して体温低下が見られます。
母親と知らない人が入れ替わると、最も体温低下が激しいことも証明されました。
人の視覚能力が最も高い時期は生後6か月頃で、この時期はサルの顔の区別ができることが1992年に英国から報告されています。
このことは母親の顔のわずかな変化に気付き、親の怒った顔に敏感に反応し、強い緊張状態が訪れることを意味しています。

  人の子どもはとても感覚能力が高く、置き去りにされたり、怒られたりするととても緊張して、ストレスや学習に関わる脳の海馬や、喜怒哀楽の情動に関わる扁桃体などが萎縮することが動物実験の結果から予想されています。
そのために将来ストレスに弱い脳になり、トラウマを受けやすくなると考えられます。
さらに動物実験では、心地よい思いを与えられた子どもは、脳内でオキシトシンと呼ばれるホルモンが産生され、ストレスから脳を護ります。

  子どもの頃にオキシトシンが脳内で産生されると、成人し自分のこどもを持ったときに子育て行動を上手に行うことができることも分かっています。
人間にたとえれば6か月までが非常に大事な時期であると考えられ、この養育期に母親の愛情を受けることができないと他者への信頼と自信が育ちにくく、将来多くの問題を引き起こすことが予想されています。

  人の体は200万年間大きく変化していませんので、200万年前に生まれた子どもも今生まれた子どもも一人にされると、捕食者から食われるおそれを感じると考えられます。

子どものラットを母親から離すと最初は鳴きますが、助けが得られないと捕食者から身を隠すためか泣き止み、泣き止むと同時にストレスホルモンのグルココルチコイドが通常の1000%程度まで産生され、脳を傷害します。そして24時間後に死が訪れます。
母親から離されることはとても恐怖に満ちたことで、ラットをかごに入れて母親から引き離すと、海馬に取り返しのつかない変化が起こります。

  また、子どもの方を向いて授乳するときに母親の脳内で5分間に1回程度の割合でオキシトシンが大量に分泌されます。その時母親は、子どもを本能的に受け入れるようになります。
もともと親子の愛情は本能的な愛情ではなく作り上げてゆかねばならないものなので、オキシトシンの分泌はとても重要です。オキシトシンは母乳中にも血液中よりより高い濃度で分泌されます。
 今年の6月に成人を対象として、オキシトシンを吸入させると他人を信頼できるようになることが報告されました。
母乳を吸う乳児は母乳中のオキシトシンを嗅いで、人を信頼できるように育つのかもしれません。

  乳臭い母親が傍にいることはとても心地よく、基本的信頼関係を作るのに必要です。
母親から離され一人で緊張して眠りが浅くなると、活動時に産生されるノルアドレナリンと呼ばれるホルモンが多く産生され、入眠中に脳内で産生されるセロトニンと呼ばれるホルモンの産生が減り、バランスが崩れると将来、衝動的な行動を取るような異常事態が生じる可能性があります。

人間のように未熟な大きな脳を持った動物の親はその脳が成熟するまで多くの犠牲を払って子どもを守らなければなりません。
未熟な脳を持って産まれた動物の親は、間違いなく親は子どものための存在です。

  子どもが親のための存在になったときが子どもを乱用するabuseです。世界で最も少年犯罪が多いと考えられるアメリカではベビーベッドが当たり前かもしれませんが、東洋では子どもの檻に見えると考える人が増えてきていると思います。
すぐには困難ですがベビーベッドは廃止すべきと考えています。
新水巻病院 白川嘉継先生

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