ひげ爺のお産・子育てご意見番

子どもは育つ力を持って生まれてきますが
親に子育てする力が減っています。
親育て支援の中で感じたことを書いています。

母乳哺育のメリット

2007年09月09日 | 母乳哺育
すべての哺乳動物は母親の母乳のみによって子どもを育てます。人間も哺乳動物の一つですから、本来は母親の母乳で子どもを育てることが当たり前の姿です。この母乳で育てるということはただ栄養を与え体を大きく育てるというだけでなく、生まれた子どもを人間として育てるための大切な要素をたくさん含んでいます。
  母乳を止めて人工乳にした場合の子どもへの不利益が知られています。
 アレルギーや湿疹が2~7倍、中耳炎が3倍、胃腸炎が3倍、髄膜炎が3.8倍、尿路感染症が2.6~5.5倍、乳児突然死症候群が2倍、肺炎・下気道感染が1.7~5倍などがあります。
母親に対する不利益も骨粗鬆症になりやすい、卵巣がん・閉経前の乳ガンになりやすいなどが知られています。
母乳を与えるということは赤ちゃんを心身共に健康な人間として育てるためだけでなく、母親の健康を守るためにも大切なことなのです。

 WHOでは6ヶ月までの完全母乳栄養と、少なくとも2才までは母乳育児を続けることを推奨しています。世界保健総会でも同じような声明を出し母乳育児の推進をうたっています。産科医や小児科医の中には、6か月たつと栄養が無くなるから人工乳に変えた方がいいという人がいます。ミルクメーカーの栄養士も同様なことを言ってフォローアップミルクを推奨します。

お母さんは益々混乱してしまいますね。

世界的に母乳育児の大切さは認められていることなのです。
 母乳がどうしても出ない人は3~5%いると言われています。また仕事や家庭の事情で母乳で育てられない場合があります。このようなときには人工乳を使用する必要があります。

  人工乳はどうしても母乳で育てることのできない場合に、母乳に替わる薬として用いられるのが本来の姿だと思います。このような場合には母乳で育てる以上に抱っこや声がけなど赤ちゃんとの関わりをしっかり持つようにすることが大切になります。

あるていど母乳が出るようでしたら、母乳育児をすすめている産科や助産所などの母乳外来で母乳の出具合や赤ちゃんの体重を診てもらいながら母乳育児に戻れるようになることもあります。

まだまだ、我が国には間違った知識や古い考え方をもった医師がいるのも事実です。病院選びは慎重にして下さい。あなたと赤ちゃんのために。

妊娠中に母乳哺育のことや子育てのことを学んでください。
医療従事者は、自らの施設で、時間をかけて学ぶ時間をつくってください。

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2 コメント

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『ミルクは母乳と限りなく同じ』という表記を見る... (hiromam)
2007-09-10 10:13:09
『ミルクは母乳と限りなく同じ』という表記を見る度に、悲しくなります。
私の子供は、混合栄養です。ほとんどミルクです。私の子供には代謝異常があって、母乳を禁止されたので。ですから、母乳とミルクの違いについては、よく分かっています。
ミルクの成分だけ、近づけばいいのでしょうか。おかあさんの乳首、哺乳瓶のゴムの乳首の差もなかなか克服できない差です。
おっぱいは吸い始めから終わりまで、味が少しずつ変わっていきます。ずっと吸っていると、かるく熱を帯び、温かくなります。哺乳瓶では味は均一で、だんだん冷めます。
赤ちゃんの感じ方はかなりちがいます。顔を見ていれば、わかります。表情が全く違います。
「ミルクでも育つ」・・・その通りだと思います。でも、母乳をあげることができない理由がないのに、どうしてミルクにしてしまうのでしょうか。代謝異常以外でも、扁平乳頭でどうしても吸ってもらえなかった、産後に大出血を起こし母乳どころではなかった、などの理由でミルクのママは私の周りにもいます。
でも、多くの場合は「ミルクをあげるとよく寝るから」「ミルクの方が栄養があるから」「おっぱい、足りてなさそうだから(根拠なし)」など、かなり?な理由でミルクが足されています。
一番悲しい理由が、「人に預けやすいから」。親になる自覚、足りてますか?
自治体のマタニティーサークルではおっぱいと人工乳の差については教えていませんでした。母乳栄養児が増えると、医療費削減になることが海外の例でわかっているので、厚生労働省は母乳栄養をもっと推奨すべきと思います。


自分で勉強するママは「フォローアップミルク」がおっぱいやミルクの代わりではなく、離乳食の代替食品と分かっています。しかし、不幸にして知識の無いママは、人工乳の隣に売っているフォローアップミルクを、「安いから」と低月齢から与えてしまいます・・・。母親学級などで、教えていかなければいけない課題だと思います。
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hiromanさんありがとうございます。 (ひげ爺)
2007-09-10 18:13:27
hiromanさんありがとうございます。
hiromanさんの母乳哺育へのお考え、そしておっぱいの利点を自治体の母親教室でにおける「おっぱいと人工乳の差」について学びの提案本当にありがとうございます。
その通りですね。
ゆうさん(現役の保健師)のコメントで、保健師は母乳のことを知らない人が多いと書き込んでいただいています。

助産師、保健師、産科医、小児科医におっぱいのことを正しく学んで欲しいですね。

以前ミルクメーカーの宣伝コピーで「つよい子、よい子○○」というのがありましたが、体とここころを強くするのは「おっぱい」ですね。

そのために、妊娠中に「おっぱい」について学んでいただきましょう。
一人でも多くの人に知っていただきましょう。
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