ひげ爺のお産・子育てご意見番

子どもは育つ力を持って生まれてきますが
親に子育てする力が減っています。
親育て支援の中で感じたことを書いています。

産科医不足誰が悪いの

2007年09月20日 | インポート
お産を取り巻く環境は悪化の一途をたどっています。
今回は、どこにその問題点があるのか考えてみたいと思いいます。
産科医療の現場では
産婦人科医は前置胎盤や前期破水などの緊急事態の可能性がある妊婦と、突然の児心音の低下や大出血がおこる分娩を扱う体制が求められています。
開業医の多くは、1日24時間、365日、常に緊急事態に備えなければならない。
2次医療機関は開業医からの搬送患者にも対応することが求められ、産婦人科医療を1ないし2名の体制で行っていくことは無理があります。
妊婦や児の搬送を拒否せざるを得ない状況が日常化しています。

産婦人科医師数はアメリカでは6.7人、イギリスでは7.1人と報告されている。
 全国の産婦人科新入局医師数は1989年を100とした場合、2000年には80%に減少している。一方女性医師は230%増加している。
女性医師が安心して妊娠・出産をしながら医師の仕事が続けられる環境をつくる。

医療の側
医師の産科離れが起こっている。
当直あけのまま、日勤に入るようなハードな勤務。
拘束時間が長い、分娩のため夜間の勤務が多くなる。
休日もない。という勤務が続き心身ともに疲弊していく。

分娩に関わる医療訴訟が多い。患者とのコミュニケーションを持ちにくくなり問題が起きると、訴訟やトラブルになりその対応におわれることで、日常の診療に支障をきたす。
産婦人科医のなり手が少ないことの理由に、訴訟が多いことがあげられ、訴訟を回避する動きがあります。
私は、うまく行かなかった場合には、自動的に第3者判定が必要と思います。現時点では訴訟しか手段はありません。訴訟される理由は必ずあルと思います。
それは、ミスとか失敗とかだけではなく医療従事者の人間性にかかっています。
いかに患者や赤ちゃんと心を通わせることが出来ているかが重要です。
信頼関係が構築されていれば訴訟にはなりにくいのではないだろうか

そのために、安全と言われていた医療行為が行えず、帝王切開が多くなる。
早めの医療介入をせざるを得ない。
医師が自分を守るためには仕方がない。


産婦の側
産婦の分娩に対しての知識や認識が希薄である。
従来は自宅でのお産や2世代、3世代の家族が同居し、お産や育児のことを自然に学んでいた。日常の中で家族に見守られのがお産の主流であった。
私も妹のお産を覚えている。
子守やおむつの交換も自然にしていた。それが我が子の子育てには役にたった。

核家族化と病院分娩がほとんど主流になり家庭でのお産はほんのわずかになってしまいした。

身近で子育てを見たり係わることが少ない。また早くから保育園で育てられる子どもの増加により親から子育ての力を学ぶことが出来ない。保育園では、子育てを保育者から学ぶのは不可能である。
3歳までは可能な限り手元で育てて欲しいと願わざるを得ない。
親のしてくれたことが、その後の妊娠や子育てに生きてきます。

食生活の乱れが胎児の成長や妊娠中のトラブル、妊娠中毒などの増加も誘発します。
ジャンクフードや添加物の多い食品や無理なダイエットはお産や子育てに影響します。
日本人の食を再考するのが食育だと思いますが、違った方向の教育をしていますね。
カロリーや栄養価ばかりではなく、食材の品質や、日本の伝統的な食事を学んで欲しいです。欧米人のような食生活は日本人には適していない。

和食中心のいい食事を心がけることは大切です。

女性の社会進出で、結婚や出産が高齢化しています。
年齢が上がれば上がるほどお産は大変になります。40歳を超えるとハイリスクに分類されます。

体外受精や高齢出産の増加でハイリスク分娩が増加し、 未熟児の増加や異常分娩が起こる可能性があります。

妊娠中の教育を充実させていくことが今、求められています。

患者と医療従事者が力を合わせて改善していきましょう。
みんなでお産を考えよう。

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1 コメント

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この問題の根本にあるのは「妊娠したら十月十日後... (stranger)
2007-09-22 10:15:29
この問題の根本にあるのは「妊娠したら十月十日後にはかわいいあかちゃんがおぎゃーと生まれてくる」と勘違いした日本人が多くなったからです。
「安心して産めなくなった」「お産は安全ではなくなった」・・・よく、テレビや新聞で見られるコメントですが、お産が安全だった時代は、いまだかつてあったでしょうか。
お産は命がけです。「安全なお産」「リスクの無いお産」など存在しません。(助産院、自宅出産が成り立っているのは、助産師が危険と感じたら速やかに搬送する手段と、危険を察知する能力を備えているからです。)
『いのち』の価値が、とても低くなっています。日本人はずいぶん長生きをするようになりました。妊婦死亡率、周産期死亡率はともに世界一です。日本最低の周産期死亡率の滋賀県でも、他国よりまだ優れています。
命が救えるようになったから、簡単に人の命を奪ってしまう子供が増えました。今まで、助けられなかった赤ちゃんが助かるようになったから、障害が残れば医者の責任となり、一億円の賠償を命ぜられます。

誰が悪いか、といわれると、たくさんの命を救えてしまう医師が悪いのでしょう。訴訟も、どんどん増えて、医師の訴訟費用が医療費に上乗せすればいいでしょう。そうすれば、お金の無い人は医師の診察を受けられませんから、周産期死亡率はどんどん上がっていくでしょう。でも、それが今の日本の社会が望んでいることですから、仕方ありません。
そうして、命の価値と医療の質が釣り合ったところで、落ち着くのでしょう。
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