神奈川県秦野市鶴巻北に「陣屋旅館」と呼ばれている老舗の「鶴巻温泉 元湯陣屋」はある。大正7年、三井財閥が平塚の奥座敷といわれる温泉が湧く鶴巻の「和田義盛公」の跡地に重要客を接待する為に御寮(別荘)「平塚園」が建てたのが始まりである。四季折々の自然が息づく一万坪の見事な庭園に建つ百年以上に及ぶ歴史がある老舗旅館。お客を送迎時には陣太鼓が打ち叩かれる。鶴巻温泉駅北口よりなだらかな坂を上っていくと「弘法の里湯」の左奥に「陣屋」はある。足を踏み入れると駅前の喧騒さが嘘のように静寂さが漂う別世界である。和田義盛公跡地の看板、入口には陣太鼓、左右に池が配され右にトトロの楠木」の奥に結婚式用の「雅の間」、「源氏館」、「富月殿」がある。左の「賑わい亭」、その奥に「竹河の間」さらに奥に明治天皇が泊まられ、数々の将棋の対局も行われた「松風の間」、竹林の右手に「狩鞍庵」がある。宿泊用には源氏物語に登場の人物の名がつけられた「桐壷」、「若紫」など20の客室がある凄さである。さらに「鎧と刀館」には当主収集の毛利元就や宮本武蔵に所縁のある武具、武田家伝来の鎖帷子、上杉謙信の十字の槍など鎌倉時代や戦国時代の貴重な古美術品が展示されている。敷地の最奥には露店風呂、陣屋古墳跡、湯の上稲荷がある。また映画監督の宮崎駿は陣屋オーナー家の親戚であり幼少時ここで過ごした思い出がモチーフとなりあの「となりのトトロ」他の作品が生み出された。美しい庭園、四季を彩る梅、桜、竹林、紅葉を鑑賞、鳥、ホタル、沢蟹が戯れる異空間で季節感溢れる美味しい料理に舌鼓を打ち、名湯で心身の癒しは間違いなく至福のひと時となるに違いない。(1811)
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