細川家では文政のころから、武功のあった家に鏡餅を与える「鏡餅拝領」という儀式が行われた。家記には齊樹公の項に「(文政二年)癸未正月十一日先祖武功ノ者ノ子孫ヲ広間ニ呼出シ、具足鏡餅ヲ領チ与ウ、コレヨリ年々定例トナリ、一部ヲ是日、一部ヲ十三日ニ別ツ」とある。
武士の家において鏡開きは「具足開き」といっていたらしく、具足飾りに添えられた鏡餅を開くというものらしい。そういう意味で、武功の家にとっては名誉ある儀式として「鏡餅拝領」が行われたのであろう。嘉永六年の佐田右平日記では一月十一日の項に「武功之子孫御鏡餅頂戴例之通各出仕候事」とある。同じく十三日にも行われている。これは以下の史料でもそのように記されている。
さてその名誉あるお宅について、高田家所蔵の「肥後旧藩士録名簿」(大正十三年二月謹寫)には△印をつけて表示している。
△印は先祖ノ武功ニヨリ毎年正月十一日・十三日於花殿(花畑邸)御鏡餅御酒頂戴御仰付候事
(中と表記ある者は、御中小姓であると思われる)
(い) 一千九百石 岩間小十郎
一千五百石 岩越半兵衛
一七百石 磯野貞之允
一七百石 井上 才七
一四百石 伊藤又右衛門
一三百石 入江彈之允
一貮百五拾石 入江平之允
一 同 井口 良助
一貮百石 飯田四郎助
一 同 岩佐善左衛門
一百貮拾五石 伊藤梶右衛門
一百石 池永喜三右衛門
一七拾五石 伊佐角之允 (丹後以来)
一御擬作百石 井上 勝蔵
一 同 岩間 清次 (丹後以来)
一御擬作四百五拾石 一村市郎左衛門
一御擬作貮百五拾石 岩間多膳次
(は) 一千五拾石 長谷川久兵衛
一六百石 服部 弥門
一三百石 速見市之允
一貮百石 芳賀助十郎
一百五拾石 早川 助作
一三百石 林 七郎左衛門
(に) 一五百石 丹羽源之允
一貮百石 西郡 直衛 (丹後以来)
一百石 西村 丹助
一御擬作百石 西川十郎左衛門 (青龍寺以来・代々御中小姓)
一 中 二宮 直作
(ほ) 一三千五百石 堀 丹右衛門 (殉死)
一百五十石 星野勝右衛門
一百石 本庄傳兵衛
(と) 一千石 遠坂 関内 (殉死)
一三百五拾石 都甲 佐平
一貮百石 戸島次郎助 (青龍寺以来)
(ち) 一三百石 陳 半右衛門
(ぬ) 一 中 沼 四郎兵衛
(お) 一五千石 大木 舎人
一九百五拾石 落合弥次兵衛
一貮百石 大林猪右衛門
一 同 岡本四郎三郎
一 同 小野長四郎
一 同 越生儀兵衛
一百五拾石 大竹甚兵衛
一貮百石 興津弥五左衛門
一百石 大浦弥次右衛門
一七拾石 大槻勘右衛門
(わ) 一百石 渡邊岡之允
(か) 一千七百石 片山 多門 (丹後以来)
一千石 鎌田軍之助
一六百五拾石 河喜多大平 (青龍寺以来)
一五百石 河方角之助
一貮百五拾石 上林源左衛門 (丹後以来)
一 同 河崎作之允
一 同 神足 少助
一 同 神足十郎助
一貮百五拾石 加々山權之允
一貮百石 河喜多浅右衛門
一百五拾石 河喜多助三郎
一 同 上妻半右衛門
一御擬作百石 加藤元三郎
一 同 河井清三郎
一 同 鎌田杢之助
一八人扶持 河方十右衛門
(よ) 一三百五拾石 吉弘加左衛門
一 同 横井牛右衛門
一 同 吉住半右衛門
一百五拾石 吉富一之允
一 同 吉住小右衛門
一百石 吉弘貞之允
一百五十石 吉岡熊三郎
(た) 一貮千石 田中 典儀
一九百石 高見権右衛門 (丹後以来)
一三百石 高橋太郎右衛門
一貮百石 垂水嘉平太
一百五十石 田中九郎兵衛
一百石 竹田俊兵衛
一百石 田代儀左衛門
一 同 樽井五左衛門
一 同 高原新左衛門
一御擬作百石 多田武源太
一 同 谷 舊左衛門 (代々御中小姓)
(つ) 一千六百石 續 少助
一千四百石 津川平右衛門
一御中小姓七人扶持 続 毎
(な) 一千石 中根丈右衛門
一百五十石 長瀬兵右衛門
一百石 永野徳之進
一御擬作百石 成海 丹下
一 同 永島 彦助
(む) 一貮百五拾石 武藤長兵衛
一百石 梅田 大八 (丹後以来)
一御擬作百石 村川作左衛門
(う) 一三千石 氏家甚左衛門
一貮百石 氏家 平八
一 同 上田源十郎
一 同 上羽 駒助
一貮百五拾石 上村理右衛門 (丹後以来)
一貮百石 宇野武一郎
一 同 魚住助左衛門
一百五拾石 魚住勝門助
一 同 上野惣左衛門
一貮百五拾石 上村八之允
一百石 魚住傳之進 (代々御中小姓)
(の) 一五百石 野田弥三右衛門
一貮百石 乃美仙之助
一百五十石 能勢■部右衛門
(く) 一三千石 朽木 内近(匠カ)
一二百七十石 桑木 又助
一貮百石 熊谷忠右衛門
(や) 一貮百石 八木田小右衛門
一 同 安井太兵衛
一 同 山形典次郎
一 同 安場 一平
一 同 八木田新右衛門
一千四百石 山本三左衛門
一二百五拾石 山川兵左衛門
一御擬作百石 山田熊之助
一 同 柳瀬茂左衛門
(ま) 一千五百石 松野龜右衛門
一千百五十石 益田弥一右衛門
一千石 松山權兵衛 (丹後以来)
一 同 牧 多門助 (青龍寺以来)
一五百石 松野又右衛門
一四百五拾石 的場甚右衛門
一三百石 槇嶋半之允
一 同 松岡佐市郎
一 同 松野 七蔵
一百五拾石 前原大九郎
一 同 松見太郎八
一貮百石 的場平三郎
一 中 牧寺次郎兵衛
(ふ) 一千石 藤崎作右衛門
一三百石 藤本津志馬
一貮百石 福田三郎右衛門
一百五拾石 藤本九右衛門
(こ) 一五百石 後藤多兵衛
一五百五拾石 木造 左門
一三百石 小嶋伊右衛門
一貮百石 小崎次郎左衛門
一百五拾石 小林恒太郎
一 同 児玉太郎右衛門
一 中 七人扶持 小林半太夫
(え) 一百石 恵良左十郎
一百石 江藤 武助
(て) 一八百石 寺本八左衛門 (殉死)
一二百五拾石 寺尾 太助
一百石 寺井惣右衛門 (代々御中小姓)
一御擬作百石 手嶋惣左衛門
(あ) 一壱萬八千石 有吉 将監
一千石 芦村嘉左衛門
一四百五拾石 荒木慎十郎
一貮百石 浅野栄太郎
一百石 浅香市太郎
一 同 朝山龜太郎
一八拾五石 青木郁太郎
一御擬作百石 浅井新九郎
一 同 明石 源助
一 中 荒瀬市右衛門
(さ) 一壹萬千石 沢村 衛士
一三百石 沢村 宮門
一百五十石 沢村 彦作(本姓中村)
一貮千七百石 坂崎 兵庫
一五百石 佐藤仙右衛門
一三百五十石 佐田 右平
一三百石 佐分利平次郎
一 同 佐方長左衛門
一 同 猿木勘左衛門
一 同 佐々半十郎
一 同 沢 庄兵衛
一二百五十石 佐分利又兵衛
一貮百石 沢村孫七郎
一 同 佐野權之助
一 同 沢田助左衛門
一百五十石 佐方諏訪人
一百石 佐久間角助
一 同 雑賀長左衛門 (代々御中小姓)
一 中 沢村小平太
一 中 坂根 重次
(き) 一貮百石 清成八十郎
一 同 北村甚十郎
一百五十石 北里 治郎
一百石 北川壮三郎
(ゆ) 一七百石 弓削 新助
一四百石 弓削 文吾
一三百石 弓削 友助
(み) 一三百石 三池尉右衛門
一貮百五十石 三浦平右衛門
一百五十石 蓑田惣左衛門
(し) 一千石 志水 新亟
一七百石 嶋 又左衛門
一四百石 白木五兵衛
一三百石 樹下 一平 (丹後以来)
一二百石 生源寺市兵衛 (青龍寺以来)
一百石 庄村一郎助
一七十石 斉藤小十郎
(ひ) 一三千石 尾藤甚左衛門
一五百石 平野太郎右衛門
一百石 平野八十郎
一 中 廣瀬 保
一 中 平井清九郎
(も) 一五百五十石 元田八左衛門
一御擬作百石 森田一郎助
(せ) 一貮百石 関戸角之進
(す) 一千石 住江甚兵衛 (丹後以来)
一貮百石 須佐美半兵衛
一 同 栖本 助七
一百石 住江 又八 (丹後以来)
一 同 杉山理兵衛
一七拾五石 須崎休左衛門