津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

有吉家文書解説「年中行事抜粋」(四十七・了)四日政府出初、同日時習館出初、東榭御入之事

2021-09-26 07:32:56 | 有吉家文書

○ 四日政府出初

一、麻上下着四時出仕之事 但上張有無勝手次第
  麻裃を着け四つ時(10時)出仕の事 但上張りの有無は勝手次第
一、御熨斗坊主持出候間座順之通頂戴仕候事
        御奉行
        御目附
        御郡御目附
        御勘定頭
  右之通一切ニて詰間江罷出候事
     右之外御勘定所御目附御郡代根役等有之候節ハ本行一同ニ罷出候事
  御熨斗は坊主が持出すので、座順の通り頂戴する事
        御奉行・御目附・御郡御目附・御勘定頭
  右の通り一切にて詰間へ罷り出る事
     右の外、御勘定所御目附・御郡代根役等之ある節は本行一同に罷り出る事
一、正福寺定例御祈祷之神酒供物等出候間坐順之通頂戴欠席之人江者供物等少完包分出席之坊主より差出候事
     但追々御祈祷之品々出候節右之通ニ候事
  付紙
     文化十三年正月四日神酒供物出不申候付寺社方江承候処戌年より御省略中ハ御礼計出候由

  正福寺定例御祈祷の神酒・供物等出されるので、坐順の通り頂戴し欠席の人へは供物等少し完包分出席の坊主より差出す事
     但追々御祈祷の品々出される節は右の通り事
  付紙
     文化十三年正月四日神酒・供物出申さずに付、寺社方へ承れば戌年より御省略中は御礼計り出る由
一、五日頃まてハ御用番茂見計早引不苦加番も十五日まてハ早引勝手次第之事
  五日頃まては御用番も見計い早引苦しからず、加番も十五日まては早引勝手次第の事


 ○ 同日時習館出初

一、五半時揃ニ而麻上下着同刻例之通出席前別黙之事
  五つ半時(9時)揃にて麻裃を着し、同刻例の通り出席前別黙の事
一、詰間江者助教学校御目附罷出候
  詰間へは助教・学校御目附罷出る
一、講堂江師役繰付ニ相成候上学校御目附より案内有之御使番不罷出出席堂中東側北より二間半五畳目ニ座着不相替目出
  度段
会尺いたし直ニ詰間江退去之事
  講堂へ師役繰付に成れば、学校御目附より案内有り、御使番罷出づ出席堂中東側北より二間半五畳目に座着、相替らず目出度段会釈いたし直に
    詰間へ
退去の事
一、助教以下ハ堂中北頭ニ西側より南側ニ折廻しニ座着之事
     但今日之師役は助教初算学師等館中之師役待てニ而武芸藝之師役不罷出候事
  助教以下は堂中北頭に西側より南側に折廻しに座着の事
     但今日の師役は助教初め算学師等館中の師役待てにて武芸藝の師役は罷出ずの事
一、右相済又学校御目附詰間江罷出候間一ト通致会尺候退去之事右之通相済政府江出仕候事
  右相済み又学校御目附詰間へ罷出る間、一ト通り会釈いたして退去の事、右の通り相済み政府へ出仕の事


 ○ 東榭
  御入之事

一、講堂講尺相済直ニ御供廻被仰出候左候得者御供申上候前見計尊明閣之上まて罷出居御供申上ニ相成候之節御敷出ニ下
  落椽江出御敷出東
之方ニ罷出候大御目附ハ同席之横南之方ニ差出ニ相成候事
  講堂講尺相済め直に御供廻り仰出される、左あれば御供申上げる前を見計らい尊明閣の上まて罷り出居り御供申上に成りたる節、御敷出に下
  落椽へ出、御敷出東の方に罷り出て大御目附は同席(家老)の横南の方に差出し成る事

一、夫より東榭弓之榭入る口より被為入右之所茂落椽ニて御敷出出来ニ相成居候事
     但同席ハ御跡より直ニ御供申上刀ハ坊主ニ申付置候得ハ坊主尊明閣下まて持参候間直ニ御敷出横脇ニより見計
     直ニ刀を差坊主一人草履取
一人召連候事

  夫より東榭弓の榭入る口より入りなされ、右の所も落椽にて御敷出出来に成り居る事
     但同席は御跡より直に御供申し上げ、刀は坊主に申付け置けば、坊主尊明閣下まて持参するので直に御敷出横脇により見計い、直に刀を差
     し坊主一人草履取一人を召連る事

一、御居間者弓之榭場之下り口之脇ニ御屏風運ニ而出来ニ相成居候事
  御居間は弓之榭場之下り口の脇に御屏風運びて出来に成り居る事
一、同席之休憩所ハ見分之節休息所出来ニ相成居候所より少東ニより出来ニ相成居候事
     但坊主ハ跡より付参居煙草盆差出候事
  同席(家老)の休憩所は見分の節休息所出来に成り居る所より少し東により出来に成り居る事
     但坊主は跡より付参り居り、煙草盆差出の事
一、御覧所ハ東榭中程より少南ニ寄小御屏風ニ而出来ニ同席之致坐着居候所ハ北之方江二枚屏風立居其脇ニ坐着いたし候
  事
  御覧所は東榭中程より少南に寄り小御屏風にて出来に、同席(家老)の坐着いたし居る所は北の方へ二枚屏風立ち居り其脇に坐着いたす事
一、上江者名付差上ニ相成候事
     但同席者無之候事
  上(殿様)へは名付差上げに相成る事
     但同席(家老)は之なき事
一、御立前江為入候上一度被召出候其節ハ御用人より案内有之候事
  御立(帰館)前へお入なされたる上、一度召出さる、其節は御用人より案内有る事
一、御立之筋見計御敷出南之方に罷出候尤至而之狭所ニ付壁ニ引付罷出候見計御辞儀申上候事
  御立の筋を見計い御敷出南の方に罷り出る、尤至って狭い所に付壁に引付罷り出て見計い御辞儀申上る事
一、御立跡より直ニ供は坊主申付引取候事
  御立跡より直に供は坊主に申付け引取る事
一、御跡より直ニ出勤奉窺御機嫌候併刻限次第ニ直ニ引取候事
  御跡より直に出勤、御機嫌伺い奉り併て刻限次第に直に引取る事

 

  ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・今回を以て有吉家文書解説「年中行事抜粋」は終了いたしました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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■有吉家文書解説「年中行事抜粋」(46)五節句御禮之式・2

2021-09-22 17:54:40 | 有吉家文書

  〇五節句御禮之式・2

一、夫より御小姓頭案内有之候得ハ御用番初之通罷出組外以下此着座まゝ一同ニ謁を受元之如入候得ハ右之面々御弓間
  御板椽之様ニ退去之事
     此所右ニ絵図委之
  夫より御小姓頭の案内が有れば御用番初めの通り罷り出、組外以下此着座まゝ一同に謁を受け元の如く入れば、右の面々御弓間御板椽の様に退
    去の事

     此所右ニ絵図委之
一、御礼相済候節ハ御小姓頭佐野御間まて罷出知せ有之候間夫より皆退出落間より多門之様ニ罷通り詰間江引取候
     但御弓之間御椽側ニハ御使番西向ニ列座いたし居其次引下り御目附も一人座着いたし居候得共無構罷通候之事
  御礼が済んだ節は御小姓頭佐野御間まて罷り出、知せ有れば夫より皆退出、落間より多門の様に罷り通り詰間へ引取る事
     但御弓の間御椽側には御使番西向に列座いたし居り、其次引下り御目附も一人座着いたし居れども構いなく罷り通る候事
一、御禮御物頭列已上出仕之事
  御禮は御物頭列以上出仕の事
一、三月四日・五月四日寄合者差止前日翌日之上巳端午之御礼ニ寄合候場も取来相済候依之御備頭御留守居大頭茂月並伺
  御機嫌茂右節句
ニ伺有之候事
     但文化十二年三月四日之寄合より本行之通りニ相極候事
  三月四日・五月四日寄合は差止め、前日翌日の上巳・端午の御礼に寄合の場も取来り済む事、之により御備頭・御留守居大頭も月並伺い、御機
    嫌も
右節句に伺有る事
     但文化十二年三月四日の寄合より本行の通りに極る事
一、九時を承御用聞退出之事五月五日者御備頭御留守居大頭江陣行営并兵粮積帳差通候手数左之通
  九つ時(12時)を承り御用聞退出の事、五月五日は御備頭・御留守居大頭へ陣行営并兵粮積帳差通すこと手数左の通り
一、御備備より陣行営三人一箱宛御留守居大頭より兵粮積之帳連名一箱差上候を御発駕前被遊御下候付其儘政府へ差置詰
  間御下国之年之五月五日御
禮後御用番坐ニて返候手渡いたし候付封印を不用差返候
  右御礼前相渡候儀も有之候前後之内イツレニても不苦候
  御備備より陣行営三人一箱宛御留守居大頭より兵粮積の帳連名一箱差上らるを御発駕前御下げあそばさるに付、其儘政府(奉行所)へ詰間に差
    置き、
御下国の年の五月五日御禮後御用番坐にて返す手渡いたすに付、封印を用いず差返すこと
    右御礼前相渡すことも有り、前後の内いずれにても苦しからずこと
一、同詰間江相見候様坊主を以申趣候得ハ出方有之候事
     但前後如何間違候哉封印之儘返達ニ相成候儀も有之候間左様之儀無之様入念可申事
  同詰間へ相見える様坊主を以て申し趣されれば出方有る事
     但前後如何の間違い哉、封印の儘返達に成ることも有れば、左様のことが無い様に入念に申すべき事
一、今日不参之衆ハ近日寄合之節相渡候併寛政十一年五月五日御備頭清水数馬病中ニて出仕無之候付御用番封印を用同役
  尾藤助次郎江相渡通
有之候様申達候儀も有之候事
  今日不参の衆は近日寄合の節相渡しのこと、併寛政十一年五月五日御備頭清水数馬病中にて出仕なきに付、御用番封印を用い同役尾藤助次郎へ
    相渡通之ある
様申達すことも有る事
一、転役之面々之箱わ直ニ留置申候
  転役の面々の箱は直に留置き申す事

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■有吉家文書解説「年中行事抜粋」(45)五節句御禮之式・1

2021-09-21 06:52:03 | 有吉家文書

御在府年
   五節句御禮之式                        五節句とは

一、御禮五半時揃ニ付麻上下着五時出仕之事
  御禮五つ半時(9時)揃に付麻裃着、五つ時(8時)出仕の事
一、御一門衆同席之内欠席并隠居之使者御用番謁例之通候事
      但五節句ニハ代謁と申儀ハ無之候事
  御一門衆同席(家老)の内欠席并隠居の使者御用番(月番家老)謁例の通りの事
      但五節句には代謁と申すことは之なき事
一、御小姓頭より座付之窺且御備頭等不参之口達年始之通候事
  御小姓頭より座付の窺い且御備頭等不参の口達年始の通りの事
一、右同案内有之御弓之間東御椽通り中柱と佐野御間南御入側二枚杉戸内を北南江建付有之候中柱御間江罷出御敷居内北
  向東頭ニ御一門衆初座着御用人江謁御祝儀申上候事
      但御用人ハ北側西之隅ニ御衝立有之此所より罷出候例之御給仕口ニ候事
  右同案内有り御弓の間東御椽通り中柱と佐野御間南御入側二枚杉戸内を北南へ建付之ある中柱御間へ罷り出、御敷居内北向東頭に御一門衆初め
    座着、御用人へ謁御祝を申上げる事

      但御用人は北側西の隅に御衝立有る所より罷り出のこと、例の御給仕口の事
  五節句御禮中柱御間ニて御一門衆始御家老御中老御用人江謁直ニ居なり之内御用番壱人右絵図之通謁を受九曜之御間
  中柱之御間境之御敷居より三枚目之畳列座より一間計絵図之通謁を請御用人初退出を見て元之座に直り候夫より中柱
  御入側御杉戸明居候所へ参居候得者佐野御間ニ而御備頭御留守居大頭御祝儀を受候儀宜よし御小姓頭より知せ有之候
  間直ニ佐野御間江参御祝儀を受絵図左之通
    (佐野御間此処ニテ御祝儀を受少御備頭等之方向謁受ル御備頭大頭)
  五節句御禮は中柱御間にて御一門衆始め御家老・御中老・御用人へ謁、直に居なりの内御用番(月番家老)壱人右絵図の通り謁を受けえ、九曜
    の御間・
中柱の御間境の御敷居より三枚目の畳列座より一間計り絵図の通り謁を請け、御用人初め退出を見て元の座に直り、夫より中柱御入側
    御杉戸明け居る所へ参り居れば、佐野御間にて御備頭・御留守居大頭御祝儀を受けること宜しきよし御小姓頭より知せ有るれば、
直に佐野御間
    へ
参り御祝儀を受け絵図左の通
    (佐野御間此処で御祝儀を受け、少し御備頭等の方向謁受る御備頭大頭)
  右御備頭御留守居大頭之御祝儀を受候而一先右絵図之通中柱御入側板戸之口ニ引取猶又着座御礼宜段御小姓頭より知
  せ有之候上ニて左之絵図之通御祝儀を受夫より又中柱御入側御杉戸口之様ニ引取居候得者御物頭以下之御礼宜段御小
  姓頭より知せ有之候間又佐野御間江参御祝儀を受絵図左之通
  御物頭以下ハ絵図之通御床之方より二枚目之畳二間を前ニ當座着相済候段為知ニ相見候間直ニ詰間江引取候事  
    右御備頭・御留守居大頭の御祝儀を受けて一先ず右絵図の通り中柱御入側板戸之口に引取り、猶又着座御礼宜しき段御小姓頭より知せ有りたる
    上にて左の絵図の通り御祝儀を受け、夫より又中柱御入側御杉戸口の様に引き取り居れば、御物頭以下の御礼宜しき段御小
姓頭より知せ有るの
    で又佐野御間へ
参り御祝儀を受く、絵図左の通
    御物頭以下は絵図の通り御床の方より二枚目の畳に間を前に當て座着相済めば、知らせに相見えられ、直ニ詰間へ引取りの事
一、夫より御一門衆当代ニても并三家嫡子之見習ニて無之人者直ニ退去ニ相成御用番ハ同御間中カニ直り東より竪畳三枚
  目南より横畳五枚目一畳を右ニ当坐着御物頭一列々々罷出謁候事
      但御用番外之面々ハ始坐着之儘列坐之事
  夫より御一門衆当代にても并三家嫡子の見習にては無き人は直に退去に成り、御用番は同御間中に直り東より竪畳三枚目南より横畳五枚目一畳
   を右に
当坐着、御物頭一列々々罷り出謁の事
      但御用番外の面々は始め坐着の儘列坐の事
一、夫より中柱之御間御椽側ニ懸ケ控居候得ハ小姓頭より案内有之候中柱・佐野御間境御椽側弐枚御杉戸より御用番出佐
  野御間東之御入側を通り御敷居内ニ入南より横畳三枚目座着御備頭御留守居大頭奉行謁を受元之口之よふニ入控居候
  事
  夫より中柱の御間御椽側に懸け控居れば小姓頭より案内有り、中柱・佐野御間の境御椽側弐枚御杉戸より御用番出、佐野御間東の御入側を通り御
  敷居内に入り南より横畳三枚目に座着、御備頭・御留守居大頭・奉行謁を受け元の口の様に入り控居ること

一、御備頭御留守居大頭大御奉行者佐野御間御上段を後ニ当東頭南向ニ座着ニ相成居謁相済直南御椽側東頭同席之列座之
  所より少引下り列座有之候事
      但大御奉行ハ列座無之直ニ退去之事
  御備頭・御留守居大頭・大御奉行は佐野御間御上段を後に当、東頭南向に座着に相成居り「謁」を済せ、直ぐ南御椽側東頭同席の列座の所より
    少し引下り列座之ある事

      但大御奉行は列座無く直に退去の事
         
             ・・続く・・

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■有吉家文書解説「年中行事抜粋」(44)於御城御武器見分之心得

2021-09-18 16:14:29 | 有吉家文書

   〇於御城御武器見分之心得

一御武器夏秋ニ懸取出しニ相成出揃之上御城内方御奉行より見分之儀相伺候間為見分一人罷出候事
 御武器は夏秋に懸けて取出しにあいなり、揃の上御城内方御奉行より見分のこと伺い候間、見分のため一人(家老)罷出る事
一出仕往来之内罷出候間刻限者其時々之模様ニ随ひ前々日又ハ前日御奉行江申達候事
    但御奉行ハ毎出方有之御目附ハ為知不申候得ハ出方無之候事
 出仕往来の内罷り出れば、刻限は其時々の模様に随ひ前々日、又ハ前日御奉行へ申達しの事
    但御奉行ハ毎出方有之御目附ハ為知不申候得ハ出方無之候事
一御奉行者政府江出席ニ相成候付御殿出仕より致見分被候節ハ政府江人を遣知らせ候尤政府出席之節ハ不及其儀候事
    但御奉行ハ先ニ参出迎居候儀も有之一同ニ罷出候儀も有之候事
 御奉行は政府(奉行所)へ出席になるに付、御殿(花畑邸)出仕より見分いたされる節は政府へ人を遣し知らせる、尤政府出席の節は其には及ばな
 い事

    但御奉行は先に参り出迎え居ることもも有り、一同に罷出ることも有る事
一御城内ハ例之通家来一人先ニ立頬当御門より入御役人口より上り候此口者御数奇屋御門内坂上廣キ耕作御門之手前右ニ
 有之口也

 御城内は例の通家来一人先に立ち、頬当御門より入り御役人口より上ること、此口は御数奇屋御門内坂上の廣い耕作御門の手前右に有る口也
一御役人口江者御天守支配頭同道御目附等出迎居候事
    但坊主も先ニ参居候事
 御役人口へは御天守支配頭を同道、御目附等出迎え居る事
    但坊主も先に参り居る事
一夫より直ニ御天守方支配頭案内左手之箱段を上り御家老間と申所ニ通り候此御間ハ屏風を立刀懸出居候事
 夫より直に御天守方支配頭の案内で、左手の箱段を上り御家老間と申所に通る、此御間は屏風を立て、刀懸けが出居る事
一右之御間江致着座候ヘハ御天守方支配頭同所御目附罷出候間一ト通り致会尺茶煙草ハ坊主より出候事
 右の御間へ着座いたせば御天守方支配頭・同所御目附が罷り出るので、一ト通り会釈いたし、茶・煙草は坊主より出す事
一夫より直ニ御天守支配頭一人案内有之御奉行も一所ニ致見分候残之御天守方支配頭以下下役等迄跡ニ付参候事
 夫より直に御天守支配頭一人の案内が有り、御奉行も一所に見分いたす、残の御天守方支配頭以下下役等迄跡に付参る事
一御道具ハ左右前後御間々江有之候間任案内致見分候事
 御道具は左右前後御間々へ有るので、案内に任せ見分いたす事
一小御天守下御具足之間御床ニハ 三齋様御作縫延之御具足并関原御召之御鞍鐙 霊雲院様御召式正之御道具有之候
 此所ニてハ御辞儀仕候上拝見仕候其外御代々様御具足御間内一円幾側茂飾付相成候一々御詞儀仕候儀も難成御道具之間
 タタ通り拝見仕候事

 小御天守下御具足の間御床には 三齋様御作縫延の御具足并に関原(戦いにて)御召の御鞍・鐙 霊雲院様(綱利公)御召の式正の御道具が有る事
 此所では御辞儀を仕て拝見仕する、其外御代々様御具足御間内一円幾側も飾り付け成り、一々御詞仕ることも候成りがたく、御道具の間はただ通り
 拝見仕る事

一夫より一階々々御道具致見分続小御天守江上り候得者 頼有公之御鎧日月之御旗等有之此御間ハ脱劒ニ而拝見候事
    但大小御天守御上段之御入側帯劒御間内ハ脱持居罷通候事
 夫より一階々々御道具見分いたし、続小御天守へ上れば 頼有公の御鎧・日月の御旗等有り、此の御間では脱劒にて拝見する事
    但大小御天守御上段の御入側は帯劒、御間内は脱持居って罷り通る事
一夫より御天守江上り是ハ極りニてハ無之候へも定例序ニ上り致眺望候此御上段江者御道具無之次之段以下ニ御道具有之
 候

 夫より御天守へ上り是は極りでは無いけれども、定例序に上り眺望いたすこと、此御上段には御道具は無く、次の段以下に御道具有ること
一夫より元之御家老江帰り弁当等仕候ハヽ此所宜又休息なしニも夫より御櫓之御道具致見分候長櫓之方ハ御役人口ヨリ右
 之方
之様ニ参り候御間内御天守方御役人局を通り候
 其節ハ皆平伏致居候へも不及会釈尤士席根取等江者見合次第致会釈候儀も有之候左候而諸帰り元之御役人口より引取候
 事

    但此時茂御天守方支配頭同所御目附等出迎候所迄送候間御武具之手入等弥以無油断被心懸旨申達候事
 夫より元の御家老(間)へ帰り弁当等仕つれば、此所宜又休息なしにも、夫より御櫓の御道具見分いたし、長櫓之方は御役人口より右の方の様に参
 れば、御間内御天守方御役人局を通ること

 其節は皆平伏致し居れども会釈にはおよばず、尤士席根取等へは見合次第に会釈いたすことも有ること、そうすれば諸帰り元の御役人口より引取る事
    但此時も御天守方支配頭・同所御目附等の出迎える所迄送るので、御武具の手入等弥以って油断なく心懸けらる旨申達す事
一御座敷内者不及見分候尤致見分度も候得者其段最初ニ御天守頭江申達候へ共御坐鋪支配ニ申達ニ相成居候事
 御座敷内は見分のおよばず、尤見分いたす度もあれば、其段最初に御天守頭へ申達せれば御座敷支配に申達し成り居る事
一供中頬当御門内出入之儀ハ小姓頭記録有之候故略之候事
 供中、頬当御門内出入の儀は小姓頭記録がある故これを略す事
一右之通ニ候へも以前より極り居候格式ハ無之臨時之模様茂可有之候事
 右の通りではあるが、以前より極り居る格式は無く、臨時の模様も有るべきの事
一右風入相済幾日まてニ御取納ニ相成候之段達有之候由引切書巡覧に出候事
 右の風入れが相済み、幾日まてに御取納に成りたるか達があるので、引切書巡覧に出る事

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有吉家文書解説「年中行事抜粋」(四十三)時習館定日之講釈御入之式

2021-09-17 06:42:11 | 有吉家文書

                  
                                                東門

           〇時習館定日之講釈御入之式

一御刻限一時前例之所へ罷出大御目附も一所之事
 御刻限の一時(2時間)前に例の所へ罷り出、大御目附も一所の事
一致出席候得者御奉行并御目附助教学校御目附詰間へ出方有之候事
    但御立後右同断
    御注進左之通
    一御供廻  一御殿御立
 出席いたせば御奉行并に御目附・助・教学校御目附詰間へ出方有る事
    但御立の後も右同断
    御注進は左の通り
    一御供廻  一御殿御立
一御供廻御注進ニて詰間江御使番参例之通相伺聴衆座ニ繰付候事
    但聴衆之坐例之通尤脱劒
 御供廻り御注進にて詰間へ御使番参る、例の通りに伺い聴く衆、座に繰付の事
    但聴衆の坐、例の通り尤も脱劒のこと
一東門より被為入御奉行已下御出迎例之通御中門外ニ罷出候事
 東門よりお入なされ、御奉行以下御出迎え例の通り御中門の外に罷出る事
一御立御注進を承講堂南西之御入側を通り御居間へ之方ニ罷出御次御椽を通り北之御敷出之例之所ニ罷出候事
 御立(ご出発)の御注進を承り、講堂南西の御入側を通り御居間への方に罷り出、御次御椽を通り北の御敷に出、例の所に罷り出る事
一御居間江被為入候上元之通退去講堂御入側を廻東之方平日出席之所ニ座着尤毎之座江柱一本丈下り北より横畳五枚目ニ
 御前之方を奉向座着之事
    但助教之坐者例之所ニ而候事
 御居間へお入りなされたる上、元の通りに退去講堂御入側を廻り東の方平日出席の所に座着、尤毎の座へ柱一本丈下り北より横畳五枚目に御前の方
 を向い座着の事

    但助教の坐は例の所の事
一上江者御控本有之候事
    但御入之節者同席之控本無之方ニ申談候事
 上(殿様)へは御控本が(準備)有る事
    但御入の節は同席(家老)の控本は無く、(事務?)方に申談ずる事
一講釈相済候得者御襖立候ニ付平伏同席ハ直ニ初之通御入側を通御次入口二枚御屏風之脇ニ控居候事
    但召出有之候ヘハ此所ニ而御用人より知らせ候尤御定例ニてハ無之
 講釈が済めば御襖が立てられるに付、平伏同席(家老)は直に初めの通り御入側を通り、御次入口二枚御屏風の脇に控居る事
    但召出しが有れば此所にて御用人より知らせらる、尤も御定例にては無し
付紙
一大御目附ハ堂中みし側御座所之御襖より一間南ニ下り二畳御入側後にて東向ニ座着
    但始末ニ御向詰有之
付紙
 大御目附は堂中みし側御座所の御襖より一間南に下り、二畳御入側の後にて東向に座着
    但始末に御向詰之あり
一御用人者西中之御入側二枚屏風之脇ニ座着之事
    但御用人出席御宜段御次番江差図有之御襖明候事
 御用人は西中の御入側二枚屏風の脇に座着の事
    但御用人出席御宜しき段御次番へ差図有り御襖を明ける事
一御備頭以下出役之面々は帯劒尤座着例之通候事
 御備頭以下出役の面々は帯劒のまま、尤座着は例の通りの事
一講師ハ脱劒御前之方を奉伺候事
 講師は脱劒のうえ、御前の方を伺いたてまつる事
一夫より御供廻り之御模様見計初之通御敷出罷出御下国後御入御立之節之通夫より詰間へ参退去之事
 夫より御供廻りの御模様見計らい、初めの通り御敷出罷出、御下国(参勤帰国)後御入御立の節の通り、夫より詰間へ参り退去の事
一御立跡より出勤奉伺御機嫌候事
    但刻限次第ニハ直ニ引取候儀も有之候事
 御立(おかえり)跡より出勤し、御機嫌伺いたてまつる事
    但刻限次第には直に引取ることも有る事
一講後ニ諸生講尺等被仰付候得ハ同席ハ西頬之座ニ廻り可申候其節ハ猶学監江懸合候事
 講後に諸生講釈等仰付られれば同席(家老)は西頬の座に廻り申し、其節は猶学監へ懸合う事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(四十二)時習館不時被為入高覧之式

2021-09-15 06:06:14 | 有吉家文書

   〇時習館不時被為入高覧之式
     時習館に不時に御入りなされ高覧の式

一御刻限一ト時前例之所江罷出候事
    但大御目附も例之通一所ニ罷出候事三家嫡子見習ニ被罷出面々も出席不苦候事
 御刻限一時(2時間)前に例の所へ罷り出る事
    但大御目附も例の通り一所に罷り出る事、三家嫡子・見習に罷出らる面々も出席苦しからぬ事
一致出席候得者御奉行并助教学校御目附も詰間へ出方有之候事
    但御立後も右同断之事
 出席いたせば御奉行并助教・学校御目附も詰間へ出方有る事
    但御立(御帰り)後も右同断の事
一名付之手控者不時御入之節ハ差出不相成候事
    御注進左之通
    一御供廻  一御殿御立
 名付の手控は不時御入の節は差出に成らぬ事
    御注進左之通
    一御供廻  一御殿御立
一東門より被為入御出迎例之通御居間北御敷出ニ罷出候事
    御奉行助教学校目附御中門外例之所ニ罷出候事
 東門よりお入なされ御出迎は例の通り、御居間北御敷出に罷り出る事
    御奉行・助教・学校目附、御中門外例の所に罷り出る事
一拝聞之諸生者御入前講堂東之御入側西向ニ幾重も繰付有之候軽輩陪臣南之入側北向ニ例之所へ繰付有之候脱劒之事
 右軽輩陪臣之儀定日之講尺ニ御入之節者兼而講堂出席御免之向ニハ御目通不苦候處高覧ト申ハ諸生之学業御試ニ付軽輩
 陪丞相聞之儀何程ニ可有之哉と
学校御目附江問合候處是又前条是輩ハ不苦由申来候後年疑惑茂可有之記置候事
 拝聞の諸生は御入り前に講堂東の御入側に西向に幾重も繰付有ること、軽輩・陪臣南の入側北向に例の所へ繰付あること、脱劒の事
 右軽輩・陪臣のこと定日の講釈に御入の節は兼ねて講堂出席御免の向には御目通り苦しからぬ處、高覧は諸生の学業御試しに付、軽輩・陪丞相聞の
 こと何程に有るべき哉と、学校御目附へ問合せの處、是又前条是輩は苦からず由申し来ること、後年疑惑も有るべく記置く事

    訓導句読師ハ東ノ中之御入側諸生之前ニ座着今日之説教人以下ハ箱段下之方ニ繰付有之訓導句読師習書師各請
    前々々より繰出有之候事

    御奉行学校目附者西外之御入側訓導之上ニ四本目之柱之元ニ座着之事
       但訓導句読師習書御入替ハ例之通候事
    訓導・句読師は東の中の御入側諸生の前に座着、今日の説教人以下は箱段下の方に繰付有り、訓導・句読師・習書師各請前々々より繰出し
     有る事 
御奉行・学校目附は西外の御入側訓導の上に四本目の柱の元に座着の事
       但訓導・句読師・習書御入替は例の通の事
一被為入候上例之通御椽を廻り講堂ニ出西中之御入側御次入口二枚屏風外御屏風を左ニ取東向ニ座着大御目附者右手少シ
 引下り座着之事
 お入りなされたる上、例の通り御椽を廻り講堂に出、西中の御入側御次入口二枚屏風外御屏風を左に取東向に座着、大御目附は右手少し引下り座着
 の事

一御見臺ハ南より横畳五枚目一間半之所江始より出有之候事
 御見臺は南より横畳五枚目一間半の所へ始めより出し之ある事

     東京国立博物館 - コレクション 名品ギャラリー 館蔵品一覧 秋草蒔絵見 ... 
一御襖明立ニ大御目附御向詰有之候堂中御覧所より壱間計南ニ寄座着之事
 御襖明け立てに大御目附御向詰あれば、堂中御覧所より壱間計り南に寄り座着の事
一御襖明候ヘハ平伏説教人出懸候得者手を揚候事
    但御襖ハ南之方迄明東之方ハ明不申候得共是ハ臨時御模様違可申事
 御襖明けられれば候平伏、説教人出懸ければ手を揚げる事
    但御襖は南の方迄明け、東の方は明けぬこと、是は臨時御模様違う可き事
一上江者御控御本有之候事
    但同席之方ヘハ控本無之候事
 上(殿様)へは御控の御本がこれ有る事
    但同席(家老)方ヘは控本は無い事
一高覧之次第者説教臨時読一部読背誦席書ニて候事
    説教人娘一人宛繰出ニ相成堂中ニ入御詞儀夫より脱劒ニて御見臺之元江罷出候尤背誦席者二人組三人組ニ而罷出
    候事

       但軽輩陪丞ハ無御辞儀無刀ニ而罷出候事
 高覧の次第は説教臨時読一部読背誦席書である事
    説教人娘(?)一人宛繰出しに成り、堂中に入り御詞のこと、夫より脱劒にて御見臺の元へ罷出ること、尤背誦席は二人組・三人組にて罷り
    出る事

       但軽輩・陪丞は御辞儀なし刀なしにて罷出る事
一一部読相済御襖建此時平伏夫より御見臺入書道道具取出ニ相成尤詰間へ参候間合ハ無之居続候事
 一部読が済み御襖建て、此時平伏、夫より御見臺入り書道道具取出に成り、尤詰間へ参る間合は無く居続ける事
一夫より御向詰座着ニ相成猶襖明候間前条之通ニ候事
    席書之人数ニ応し候介添之面々一同ニ罷出毛氈之頭ノ方ニ座着此出様説経人之通ニ候席書出来之上介添より段々
    鏡板之上ニ載候事

       但以来者両側ニ御屏風立且々張付ニ相成候儀も有之候事
 夫より御向詰座着に成り、猶襖明けらること前条の通りの事
    席書の人数に応し介添之面々一同に罷り出、毛氈の頭の方に座着、此出様説経人の通りのこと、席書出来の上介添より段々鏡板の上に載せる
    事

       但以来は両側に御屏風立て、且々張付に成ることも之ある事
一席書等相済御襖立平伏之事
 席書等済めば御襖立平伏の事
一召出有無者其節之御模様ニ応候尤被召出候得者例之通罷出候事
 召出の有無は其節の御模様に応じること、尤召出されれば例の通り罷り出る事
一御中入有無茂右同断之事
 御中入の有無も右同断の事
一夫より被遊御立候付御椽を廻御敷出例之所江罷出候事
 夫より御立ち(御帰り)あそばされるに付、御椽を廻り御敷出例の所へ罷り出る事
一御立跡より直ニ出勤奉伺御機嫌候
    但刻限次第ニハ直ニ引取候儀も有之候事
 御立ちの跡より直に出勤、御機嫌うかがいたてまつる事
    但刻限次第には直に引取ることも之ある事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(四十一)玄猪御礼之式

2021-09-13 06:43:21 | 有吉家文書

  〇玄猪御礼之式       玄猪とは

一玄猪御祝被仰出候段御用人より書付御用番江相達候付佐弐役江相渡候事
 玄猪の御祝い仰出されること、御用人より書付御用番へ相達しの事に付、佐弐役へ渡す事
一夕七半時揃二而麻上下着仕之事
 夕七つ半(17時)時揃にて麻裃着仕る事
    但提灯なし二詰間江相揃候得者宜候事
    但提灯なしに詰間へ揃えば宜しき事
一着服者兼房尤上下其餘之色ニて茂不苦候事
 着服は兼房(憲法小紋)尤上下其の餘の色にても苦からぬ事      

一御小姓頭より案内有之御一門ニ三家より進上之御餅有之候事
 御小姓頭より案内有り、御一門に三家より進上の御餅ある事
一同席之御禮ハ鹿之御間ニ而被為受候付入口ニ御屏風かこひ出来御間取諸事年始之通候事
 同席の御禮は鹿の御間にて受けなされるに付、入口に御屏風かこひ出来、御間取など諸事年始の通りの事
一御出座被為候上御小姓頭より猶知らせ有之候間御一門初一人宛帯劒ニ而罷出候事
 ○末之附紙爰ニ附
 御出座為されたる上、御小姓頭より知らせ有れば、御一門初一人宛帯劒にて罷り出る事
 ○末の附紙爰に附
一御間入口ニ而御辞儀無之御向通より直ニ御三方之元ニ進出御餅を取頂戴之仕直ニ右江開引取歌仙御間元之坐ニ而御餅紙
 ニ包懐中夫より
九曜之御間御椽側江且々参例之通御一門衆始列座之事
 御間入口にて御辞儀は無く、御向通より直に御三方の元に進み出御餅を取りこれを頂戴仕、直に右へ開き引取り、歌仙の御間元の坐にて御餅を紙
 に包み懐中し、夫より九曜の御間御椽側へ且々参り例の通り御一門衆始め列座の事

一右之通り御一門衆始九曜之御間江下り候ヘハ御上段御間取仕直しニ相成候併詰間へ引取之間合無之候事
 右の通り御一門衆始め九曜の御間へ下れば、御上段御間取仕直しに成り、併詰間へ引取の間合は無い事
一御出坐之時例之通平伏仕御一門衆御三方持出候得者手を揚候事
    但御向詰等例之通候事
 右御禮者御物頭列以上ニて候事
 御出坐の時例の通り平伏し、御一門衆御三方を持ち出せば、手を揚げる事
    但御向詰等例の通りの事
 右御禮は御物頭列以上の事
一夫より御次御礼相始同席者居続ニ座着御一門衆者御次御礼ニハ列座無之候尤退去之御間合無之候へハ居続ニ茂被致由之
 事

 夫より御次御礼が始り、同席は居続けに座着、御一門衆は御次御礼には列座無く、尤退去の御間合無ければ居続にも致され由の事
一夫より御出座之時諸事例之通候事
 付紙
    文化五年御在国之節不被遊御出座候付左之通相究候
 夫より御出座の時、諸事例の通りの事
 付紙  文化五年御在国の節、御出座遊ばされずに付、左の通り相究らること
一御一門衆始御家老御中老迄中柱之御間南之方江列座いたし謁御用人之上御三方一ツ九曜之御間御上段之三方より三畳目
 ニ差置候一人宛罷出
順之頂戴直ニ南之側之列座之所ニ直り直御三方二上より四畳目二閣候上御備頭御留守居大頭両人完
 罷出
御餅頂戴御椽頬之様退去各御三方取入候所ニ而御備頭御留守居大頭御礼口より罷出北之方ニ列座相成猶又御三宝五
 ツ上より差置候上
御役付着座以上五人宛繰出候頂戴御椽頬之様ニ退出之事
 御一門衆始御家老・御中老迄中柱の御間南之方へ列座いたし謁、御用人の上御三方一つ九曜の御間御上段の三方より三畳目に差置かれ、一人宛罷り
 出順に之を頂戴し、直に南の側の列座の所に直り、直御三方に上より四畳目に閣の上、御備頭・御留守居大頭両人あて罷り出、御餅頂戴御椽頬の様
 退去し、各御三方取入れたる所にて、御備頭・御留守居大頭御礼口より罷り出、北の方に列座に成り猶又御三宝五ツ上より差置かる上、御役付着座
 以上五人宛繰り出して頂戴し御椽頬の様に退出の事

 口之稜々付札 
  ○此儀本行之通候處近年不図脱劒ニ相成御向通より二畳目御礼席にて御辞儀仕方ニ相成候處以前茂本行之通候上玄猪
   ハ於公儀茂御辞儀なし二御餅頂戴有之よしニ付御年限中旧被仰付候節帯劒御辞儀なしニ相成度其節申談可奉伺候事
     文政三年玄猪御礼之節御在国之時分付紙之通奉窺之処矢張脱劒ニて御礼申上候様被仰出候間以後脱劒ニ而御禮
     申上候之方ニ申談其通相決候事
 口之稜々付札 
  ○此儀は本行の通りの處、近年図らずも脱劒に成り、御向通より二畳目御礼席にて御辞儀仕るように成りたる處、以前も本行の通りの上、玄猪
   は公儀においても御辞儀なしに御餅頂戴有るのよしに付、御年限中、旧仰付られたる節帯劒御辞儀なしに成り、其節申し談じ伺いたてまつる事
     文政三年玄猪御礼の節御在国の時分、付紙の通り窺たてまつる処矢張脱劒にて御礼申上げる様仰せ出され、以後脱劒にて御禮申上げる方に
     申し談じ其通りに決る事

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【参考】上記「御一門ニ三家より進上之御餅有之」 は下記のことに依り慣例化されたか

(前略)有吉将監立言は京都御屋敷御長屋ニ居候に、御出陳玄猪の日にて、立言餅を祝ひ立出ける時、妻心付、殿にも御祝可然と申て急なる折節故、器物も不有合、山折敷の有けるに乗せ持出候へは、藤孝君はや御馬に召れ候所に、玄猪の餅御祝被成候へと云て差上けれは、御出馬の折節、玄猪は能心付也と被仰馬上にて御祝、目出度御帰陳可被成と仰候、即御勝利なりけれは、御帰陳の上にても猶御賞美被成候、後々まて山折敷にて玄猪の餅差上候事は、段々御領知も重なり、旁以御吉例に被思召候に付、向後無懈怠差上候へとの御意有之候故と (綿考輯録第一巻p57)

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(四十)来年御参勤御供調九月中被仰付候式

2021-09-12 08:20:43 | 有吉家文書

一御小姓頭弐人一人ハ御中小姓頭之事もあり御奉行一人御用人二人御目附一人御勘定役壱人被仰付候事
     但御勘定役ハ本行一同ニ被仰付候節ハ同席執筆ニ候へとも別ニ奉伺候節ハ御奉行執筆ニて候事
 御小姓頭弐人一人は御中小姓の之事もあり、御奉行一人・御用人二人・御目附一人御勘定役壱人仰付られる事
     但御勘定役は本行一同の仰せ付られたる節は、同席(家老)執筆のことだけれども別に伺いたてまつる節は御奉行執筆である事
一右御供しらへ被仰付候名前半切 自筆ニ相認奉伺候事
 右御供しらへ仰せ付けられれば名前半切 自筆にて認め伺いたてまつる事
一前日呼出及達候事
 前日呼出達に及ぶ事
一口之間中ノ間也御目附繰出ニて申渡候尤御目附列座無之候事
 口の間・中の間也御目附繰出にて申渡す、尤御目附列座は無い事
一右申渡相済候得ハ御小姓頭付根取御参勤之御供調御用相済候様達可仕哉之書付御小姓頭より相伺候之間存寄無之旨直ニ
 及差図候事
 右申渡しが済めば御小姓頭付根取御参勤の御供調べの御用済む様達す可べく仕るかの書付、御小姓頭より伺い存寄り無い旨直に差図に及ぶ事
一御小姓組之内二人御参勤之御供帳役相勤候様達可仕哉之段御小姓頭より追而相伺候間右同断
     但右者一人ハ御供点前一人ハ御留守残之人之由候事
 御小姓組の内二人、御参勤の御供帳役相勤める様達す可く仕る哉の段、御小姓頭より追って伺うこと右同断
     但右者一人は御供、点前一人は御留守残の人である事
一御近習御目附一人御参勤之節之御用しらへ輪番之人如例達可仕段従御用人追而以書附相窺候間右同断
     但御次軽輩御供被仰付候名前覚書御用番江相達存寄無之旨差図之上右書附御用人より御奉行江達来候得共以来
     者
口達迄ニて書付ハ直ニ御奉行江可相達旨文化十二年九月志水隼太より口達有之候事
 御近習御目附一人御参勤の節の御用しらへ輪番の人例のごとく達す可く仕ること、御用人より追って書附を以て窺い候間右同断
     但御次軽輩御供仰付られ、名前覚書御用番へ相達し存じ寄り無き旨差図の上、右書附御用人より御奉行へ達し来れとも、以来口達迄にて書
     付は直に御奉行へ達すべき旨、文化十二年九月志水隼太より口達有りの事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(三十九)御放鷹等御供之式

2021-09-11 06:35:52 | 有吉家文書

   〇御放鷹等御供之式

一御用人より訪問又ハ口之間ニ而申達候得ハ御受申上別段中柱御間江罷出御礼申上候ニハ不及候事
    但宅江申来候節ハ返書ニ御請申向格別不及出仕候事
 御用人より訪問又は口の間にて申達しあれば、御受け申上げ、別段中柱の御間へ罷り出御礼申上るには及ばない事
    但、宅へ申し来る節は返書に御請け申し向格別出仕にはおよばぬ事
一御供之御小姓頭御用人御歩頭江諸事之儀前日又ハ即朝ニも相頼候事
    但御歩頭江者供之駆引且不都合ニ無之様ニとの儀も頼置候事
 御供の御小姓頭・御用人・御歩頭へ諸事のこと前日又は即朝にも頼む事
    但御歩頭へは供の駆引き、且不都合にならない様にとのことも頼置く事
一御鷹等被仰付候御模様ニも有之節ハ鷹かけ其外諸手都合之儀御鷹懸之御取次江相頼候事
    但鷹所持之面々者御用人御取次江懸合居へ越候儀茂有之候事
 御鷹等仰付られたる御模様にも有る節は、鷹かけ其外諸手都合の儀、御鷹懸の御取次へ頼む事
    但鷹所持之面々は、御用人御取次へ懸合居(す)へ越すことも有る事
一御刻限より一時前程罷出候事
    但被仰付候御程次第御次口より御用人間江罷出候儀も有之候御出向江直ニ罷り越候儀も有之候間前以御用人江懸
    合可申事
 御刻限より一時前程に罷り出る事
    但、仰付られたる御程次第、御次口より御用人間へ罷り出ることも有り、御出向へ直に罷り越すことも有るので、前以って御用人へ懸合い申
    すべき事

一御出向江御待受申上候節ハ供中ハ御目通ニて無之所江除置尤刀持并草履取者御目通遠差置不苦候勿論横身ニ敬之刀ハ伏
 サセ候事
 御出向へ御待ち受け申上候節は、供中は御目通にては無い所へ除き置く、刀持ち并草履取は御目通り遠く差置き苦しからずこと、勿論横身に敬の刀
 は伏させる

一御出前御次江罷出候節ハ御用人間へ罷出居御供廻り之節御用人一同御次より下御庭江廻候儀も有之候事
    但御鑓之間より候節ハ供之控所又ハ路物ハ御次小姓江申聞候得者致世話候事
 御出前御次へ罷り出る節は、御用人間へ罷り出居り、御供廻りの節御用人一同御次より下り御庭へ廻ることも有る事
    但御鑓の間よりの節は、供の控所又は路物は御次小姓へ申聞けば世話いたす事
一御庭江廻り候而ハ陽春御間御椽先キ御用人之脇江控居候 多ハ御椽先御鷹部屋之前也事
 御庭へ廻りては陽春の御間の御椽先き御用人の脇へ控え居り、多(他?)は御椽先御鷹部屋の前なる事
一夫より御途中御側ニ被召連候節ハ御十文字之内ニハ家来一両人草履取者差置候其外ハ惣供之方江下り候尤此来之儀ハ御
 歩頭江懸合置候事
    但総供之立場ハ小姓頭心得居候間略之事
 夫より御途中御側nに召連れられる節は御十文字の内には家来一両人・草履取は差し置き、其外は惣供の方へ下ること、尤此来のことは御歩頭へ懸
  合い置く事

    但総供の立場は小姓頭が心得て居るのでこれを略す
一供之儀者御歩頭御案内役等并歩御使番江小姓頭出会次第諸事心を添ラレ候様相頼候事
 供のことは御歩頭御案内役等并て歩御使番へ小姓頭出会い次第諸事心を添られる様頼む事
一御庭江罷出夫より御跡江下り候節ハ御庭内ハ御側ニ附参御門外より下候而総御供巻を離御跡より罷越候又ハ御十文字ニ
 附候様被仰付候節ハ見計側役等召連其外之供之者ハ小姓頭引廻し是又惣御供巻より離レ見合罷越候事
    但右御供之儀臨時ニ被仰付候節ハ供呼寄候儀モ急ニ出来兼候付供之者兼而其心得之儀可申聞置事
 御庭へ罷り出、夫より御跡へ下るせつは御庭内は御側に附参り、御門外より下ること、総御供巻を離れ御跡より罷り越すこと、又は御十文字に
 附く様仰付られる節は見計らい、側役等召し連れ其外の供の者は小姓頭引廻し是又惣御供巻より離れ見合い罷り越す事
    但右御供のことは、臨時に仰付けられる節は供を呼び寄せることも急に出来兼かねるに付、供の者兼ねて其心得のこと申し聞かせ置く事
一御鷹等被仰付御昼前後之内ニも暫御側を離少シ御通抜ニ相成候得者見計側役等を呼寄候此時ハ御小姓役一人御鷹匠一人
 ハ被差添候之事
 御鷹等仰せ付られ、御昼前後の内にも暫く御側を離れ少し御通抜に成れば見計らい、側役等を呼び寄せ、此時は御小姓役一人・御鷹匠一人は差し添
 えられる事

一御側ニて臨時御鷹等被仰付候節ハ家来ハ離召連尤其時之見計茂可有之候事
 御側にて臨時御鷹等仰せ付けられる節は、家来は離れ召し連れる、尤其時の見計らいも有るべき事
一水前寺御茶屋江被為入候節ハ御前ニ而頂戴物被仰付候儀茂有之其節ハ御前を下り直に御用人江御禮申上候事
    但其外御昼休ニても被召上候御残等頂戴之節ハ是以右同之事
 水前寺御の御茶屋へお入りなされる節は、御前にて頂戴物仰せ付られることも有り、其節は御前を下り直に御用人へ御禮申上げる事
    但其外御昼休にても召上りたる御残り等頂戴の節は是を以て右同の事
一御帰殿之節ハ御供被仰付候へ者直ニ御用人間江罷出御礼申上致帰宅候又御側を離候節ハ御帰殿後御次より罷出右同断之
 事
 御帰殿の節は御供仰せ付けられれば直に御用人間へ罷り出て御礼申上げ帰宅致すこと、又御側を離れる節は御帰殿の後御次より罷り出、右同断の事
一御側を離候而者獲有之候得ハ御昼之節御用人御取次之内を以差上御昼後之時分者御帰殿之上右同断之事
    但獲拝領被仰付候ヘハ御用人より其段申聞候間直ニ御礼申上候帰宅之上ニて候得者御用人より紙面を以差越候付
    返書ニ御禮申上出仕ニ不及翌日伺御機嫌候節猶御礼申上候事
  被差添候御小姓役江者時宜ニ応し翌日為会尺家来差越候事
 御側を離れては、獲物が有れば、御昼の節御用人御取次の内を以って差し上げ、御昼後の時分は御帰殿の上右同断の事
    但獲物拝領仰付られれば御用人より其段申し聞かされ、直に御礼申上げ帰宅の上であれば御用人より紙面を以って差し越すことに付き、返書
    に御禮申上げ出仕なは及ばず、翌日御機嫌うかがいの節、猶御礼申上げる事

  差添られられた御小姓役へは、時宜ニ応し翌日会釈をなし家来差越しの事
一供中股引半切ニて候而ハ上之御供ニ紛レ候由御小姓頭より内意之趣茂有之候處八代家来ハ先年様子茂有之白之三尺手拭
 相用候付両家其外茂弥以右同様ニ申談以来白之三尺手拭又ハ端折にも可致と申談候事
    但本行之趣文化十一年十二月八日嘉津次より佐田造酒助江申達置候事
 右者極りと申ニてハ近々同席中御供之節之儀致勘考記置候事ニ而猶其節之模様ニ可応事
 供中は股引半切であれば上の御供に紛れる由御小姓頭より内意の趣も有る處、八代家来は先年様子も有り白の三尺手拭を用いるに付、両家其外も弥
 を以って、右同様に申し談じ、以来白の三尺手拭又は端折にも致すべきと申し談じの事

    但本行の趣は、文化十一年十二月八日(嶋田)嘉津次より佐田造酒助へ申し達し置きの事
  右は極りと申すにては近々同席中御供の節のことを勘考いたし記し置く事にて、猶其節の模様に応ずべき事
一御小姓頭御用人江者以前弁当等振舞候得共文化九年申談差止其段者両御役江茂相断置候事
    但世話いたし候歩御使番江も右同断
 御小姓頭・御用人へは前以て、弁当等振舞われれば文化九年申し談じ差し止め、其段は両御役へも断り置く事
    但世話いたしたる歩御使番へも右同断
一御方向違ニ被差添候御小姓役御鷹匠江者至而手軽く弁当振廻元気付ハ臨時見計之事 
 御方向違に差し添えらる御小姓役・御鷹匠へは至って手軽く弁当を振廻い元気付は臨時に見計いの事 

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有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(三十七)出火之節覚

2021-09-08 06:29:20 | 有吉家文書

  〇出火之節覚

大抵左之通
一、御用番者御在国御在府之無差別御殿江出仕之事
  御用番(月番家老)は(殿様の)御在国・御在府(在江戸)の差別なく御殿(花畑邸)へ出仕の事
一、御用番外者御在国ハ御殿江出出(仕カ)御在府者大御番所江出仕之
  御用番外は御在国は御殿へ出仕、御在府の場合は大御番所(頬当御門前)へ出仕の事
一、両御寺近辺出火之節ハ御用番ハ御寺江罷越御用箱之鍵ハ近辺之同席江譲可申申事
     但泰勝寺者在中之事ニ付火元得と分候上罷越候筈ニ候事
  両御寺(泰勝寺・妙解寺)近辺出火の節は、御用番は御寺へ罷り越し、御用箱の鍵は近辺の同席(家老)へ譲り申すべき事
     但泰勝寺は在中の事に付、火元得と分った上罷り越す筈である事
一、往生院 神護寺近辺出火之節者御城出仕之上申談御用番之外より一人罷越筈ニ候事
     但急場之節ハ御用番より駆付鍵ハ右同断譲可事
  往生院 神護寺近辺出火の節は御城に出仕の上申し談じ、御用番(月版家老)の外より一人罷り越す筈の事
     但急場の節は、御用番より駆付け鍵は右同断譲ずるべき事

  安永七年
  御城御花畑御近所火事之節心得之覚
  安永七年御城・御花畑御近所火事の節の心得の覚
一、火事之節役懸ニ而被罷出候場所兼而定有之輩ハ先其場所江可被相揃候左候而其内より火防之方ニ配候儀も候ハヽ拙者
  共より
可差図事
  火事の節役懸にて罷り出られる場所は、兼ねて定有る者は、先ず其の場所へ江揃わるべきこと、そうして其内より火防の方に配置することもあ
    れば,、
拙者(家老・有吉氏)差図すべき事
一、其外火防ニ懸被申候面々御城ハ大手門前御花畑ハ表御門ニ駆付可被申候右両所共御門前ニ御目附出張罷在筈候条被罷
  出
面々ハ右御目附江可被申達候左候ハヽ拙者共承届可被差図候左候而引取被申候節御物頭衆ハ足軽何人召連候との儀
  御目附江被申達
其外手人数有之面々茂其人数之儀右同断
     但御目附出張之所夜中ハ御紋附挑燈差出置候事
  其の外火防に懸る面々、御城は大手門前、御花畑は表御門に駆せ付けるべきこと、右両所御門前に御目附出張罷り在る筈で、罷り出る面々は御
    目附へ申し達せらるべきこと、そうであれば拙者(有吉氏)共承届差図さるべきこと、そうして引取る節は御物頭衆は「足軽何人召連候」との
         事を御目附へ達せられ、其外手人数有る面々も其の人数のこと同様である

     但御目附出張の所、夜中は御紋附提灯を差出し置かれる事
一、御城御花畑より隔キ候火事ニ手一旦火元ニ罷出被居候内風筋悪御両所之間火近相成候ハヽ直ニ駆付可被申候事
  右之趣支配方へも被相達其節ニ到間違之儀無之様堅示合置可被申候以上
     八月
  御城・御花畑より隔き火事にて一旦火元に罷り出居られたる内、風筋悪く御両所の間火近きなれば直に駆せ付け申さるべき事
    右の趣、支配方へも相達され、其節に到り間違いなき様堅く示合せ置き申さるべきこと、以上
     八月

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有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(三十五)窺帳奥書左之通

2021-09-06 08:04:38 | 有吉家文書

  ○窺帳奥書左之通

一、奥書者総而御奉行等執筆之紙より相認候 次之紙より書出し候而者縁切レ不宜 右之通可仕且切継等も不苦候得共其所ニ
  ハ印形用置候様先年従
少将様被仰出候事
  奥書は総じて御奉行等執筆の紙より認め候、次の紙より書出しては縁切れ宜しからず 右の通り仕るべし、且切継ぎ等でもよいが、其の所には印
    形を
用いる様、先年少将様(齊茲)より仰せ出れたる事
     印形之ヨカミ等少シ之麁抹は被遊御免度 且切継之儀茂弥以其通被仰付度 文化十一年十月十八日 監物より奉窺
     其通可致旨 尤切継ニハ印
形用候ニ不及段仰出候事
     印形のよがみ等少しの麁抹は御免あそばされたく、 且切継のことも弥以て其通り仰付けられたく 文化十一年十月十八日 (米田)監物よ
      り窺いたてまつり其の通り致すべき旨 尤切継には印形を用いることに及ばぬこと仰出される事

一、御奉行執筆之月付者奥書之月付越ニ相成候儀も有之候得共 夫々無構復議定日之通相勤認候事
     但御奉行ハ年号と月迄認 同席ハ年号月日認候 尤御在府ハ同席之方茂日付無之候事
  御奉行執筆の月付けは奥書の月付越に成ることも有れば、 夫々構いなく復議定日の通り相勤め認ためる事
     但御奉行は年号と月迄認め 同席(家老)は年号月日認める 尤御在府中は同席の方も日付は無い事
一、着座以上并御奉行副役 御目附之外は八代ニ不及相談連名省キ候 尤出府中者同席並ニ連名印形有之候事
     但三家嫡子見習ニ罷出候迄ハ連名無之候本文着座已上御奉行 御目附之窺ハ自筆之事
  着座以上并御奉行副役・御目附の外は八代(松井家)に相談におよばず、連名を省く 尤出府中は同席並ニ連名印形有るべき事
     但三家(松井・米田・有吉)の嫡子見習に罷り出る迄は連名は無く、本文着座以上御奉行 御目附の窺は自筆の事

  ○自筆伺帳認様左之通

一、帳面者中折仮綴ニ〆伺箱ニ入佐弐役差上候事
  帳面は中折仮綴に〆、伺箱に入れ佐弐役に差上げの事
一、仰ノ字ハ一行之内可被ノ字計有之時は其下ニ欠をいたし相認候 其餘字数書下ニ有之節ハ 惣而次之行ニ上認候事
     但思召御意召仕等右ニ準
  「仰」の字は一行の内「可被」の字計り有る時は其下に欠をいたし認めること、其餘字数書下に有る節は 惣じて次の行に上げ認める事
     但「思召」「御意」「召仕」等右に準ずる
一、平常之伺物者惣而禄高相認候得共病死跡ハ一ツ書 并父之禄高等不認子之姓名之右ニ肩書左り之下ニ歳付認候事
  平常の伺物は惣じて、禄高を認ためる共病死跡は一ツ書 并て父の禄高等は認めず子の姓名の右に肩書左の下に年令を認める事
一、隠居家督ハ禄之下ニ親姓名を認子之姓名歳ハ僉議之書中ニ加候事
  隠居家督は禄の下に親の姓名を認め、子の姓名・歳は僉議の書中に加える事
一、御中老已上右同断之節ハ 親之姓名等前条之通ニて隠居可被仰付哉之段相認其次ニ別ニ一ツ書なしニ子之姓名肩書歳付
  出来家督可被
仰付哉之段右書相認候事右之外相認様別冊ニ有之
     御一門衆隠居家督ハ帳ニてハなし 惣而半切ニ認殿を加ル 但願書茂半切也右自筆物奥書左之通
  御中老以上右同断の節は 親の姓名等前条の通にて隠居仰付らるべき哉のことを相認め、其の次に別に一ツ書なく二子の姓名・肩書・年齢・出来
    家督仰付けらるべき
哉のこと、右書相認める事右の外相認め様は別冊に有ること
     御一門衆隠居家督は帳ではなく 惣じて半切に認ため「殿」を加る 但願書も半切である、右自筆物奥書は左の通

一、御中老以上之伺右同席中連名ニ而大御奉行 大御目附連名無之候こと
  御中老以上の伺い、右同席中連名にて大御奉行 大御目附連名は無いこと
一、御備頭 御留守居大頭之伺 右同席中大御目附 大御奉行連名有之候こと
  御備頭 御留守居大頭の伺い、 右同席中・大御目附・大御奉行連名あること
一、大御奉行之伺右同席 大御目附迄右之通ニ而自筆之認様并奥書之いたし様等別帳ニ規則有之候 且又索引茂有之 惣而御
  用番箱ニ入居
候之事
  大御奉行の伺い右同席・大御目附迄右の通にて自筆の認め様并奥書をいたし様等、別帳に規則有ること、 且又索引も有り惣じて御用番箱に入れ
   居く事

一、佐弐役執筆之伺帳ハ一同復議御用番一名之事
  佐弐役執筆の伺帳は一同復議御用番一名の事
一、被仰出相済候跡 伺之帳ニハ自筆窺ニハ何年何月連名御中小姓已下に候得者御用番一名之事
  仰せ出され済んだ後 伺の帳には自筆窺には何年何月連名御中小姓以下のことであれば御用番一名の事
一、独禮已下之選挙方伺ハ奥書等ニ不及遂巡覧候迄ニ候事
  独禮以下の選挙方伺は奥書等には及ばず巡覧遂げる迄の事

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有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(三十ニ)八後申渡之式

2021-09-02 06:42:53 | 有吉家文書

   〇八後申渡之式                   八・・八つ時(午後二時)

一、御用有之候段者即日及達候間達紙面者手廻之ため前日之御用番より致披見置候事
  御用有るときは即日達に及びて、達の紙面は手廻のため前日の御用番(月版家老)より披見いたし置く事
一、親類身分伺之稜付者兼而銘々之宅江有之候付異候節まて佐弐役より受取候
  親類身分伺の稜付は兼て銘々の宅へ有之るに付、    異候節まて佐弐役より受取候事
一、申渡之人有之候間列座可有之候間御奉行御目附江相渡候書付御奉行より御用番江差出候間一通宛両御役江相渡候事
  申渡の人が有之候間列座可有之候間御奉行御目附江相渡候書付御奉行より御用番江差出候間一通宛両御役江相渡候事
一、刀者加番退出之上右襖之内江直し置硯箱煙草盆等皆片付候事
  刀は加番退出の上、右襖の内へ直し置、硯箱・煙草盆等皆片付ける事
一、当人出答有之八時打候上直ニ繰出之書付ト申渡之書附御奉行より御用番江差出候事
  当人出頭有れば八時(午後二時)の時が打れたる上、直に繰出の書付と申渡しの書附を御奉行より御用番へ差出の事
一、夫より繰出書付を御目附江相渡御用番ハ申渡之席ニ直り候事
     但上之御間境敷居より壱間を前ニ当南より横畳三枚目東向ニ座着之事
  夫より繰出書付を御目附へ渡し、御用番(月版家老)は申渡しの席に直る事
      但上の御間境敷居より壱間を前に、当南より横畳三枚目東向に座着の事
一、御目附当人を口之間江繰付置其段御用番江申達候得者繰出可有之旨返答に及候左候而当番之御奉行北側南向ニ坐着右
  之御目附ハ当人ハ
繰出候而直ニ御奉行之次ニ列座之事
  御目附当人を口の間へ繰付け置き、其段御用番へ申達せば繰出し有るべき旨返答に及ぶ、そうして当番の御奉行北側南向に坐着、右の御目附は
    当人は繰出して直に御奉行の次に列座の事

一、夫より頭当人を同道詰間敷居之内ニ入東之壁付南頭ニ罷出候申渡相済其席ニ而申渡之書付御奉行江相渡候之事
  夫より頭は当人を同道、詰間敷居の内に入り、東の壁付南頭の罷り出、申渡しが済みその席にて申渡しの書付御奉行へ渡す事
朱之印ココニ在
朱印ここに在
一、当人病中ニ而不罷出節ハ達書を以頭又組脇同役等江口達ニ及ひ申渡之書付相渡候左候得者右之面々当人之宅江罷越申
  渡ニ而御請之趣ハ御用番江相渡候之事
     但御知行被召上其タ右之子弟之内江相続被仰付候類之儀有之節政府へ相滞居頭等より御請相達右子弟之内を致
     同道候間前条之通之式ニて猶申渡候事

  当人病中にて罷り出がならない節は達書を以って頭又は組脇・同役等へ口達に及ひ、申渡の書付を渡すこと、そうすれば右の面々当人の宅へ罷
  り越し申
渡しにて、御請けの趣は御用番(月版家老)へ渡す事
     但御知行を召し上げられ、其の他右の子弟の内へ相続を仰付けられる類のことが有る節は、政府へ相滞し居り、頭等より御請けを相達し、
     右の子弟の内を同道いたし前条の通りの式にて猶申渡す事

一、御目附御咎之節不罷出候ハヽ御小姓頭当人宅江罷越候而御目附之内一人同道有之候事
  御目附御咎の節、罷り出ずば、御小姓頭当人宅へ罷り越して御目附の内一人同道有る事
一、御用番於御殿九ツ半時を承直政府へ出席之事
     但八ツ迄之内ハ加番より御用取計候事
  御用番(月版家老)御殿(花畑邸)において九ツ半時を承り、直に政府(奉行所)へ出席の事
     但八ツ迄の内は加番より御用取り計う事
一、刀は直ニ詰間之上之間一枚襖之内ニ置候之事
  刀は直ニ詰間の上の間一枚襖の内に置く事
一、出席之段坊主を以御奉行江為知候事
  出席について坊主を以て御奉行へ知らせる事
一、夫より列座有之候様ニとの儀御奉行御目付江相渡筈之書付并繰出し申渡御請等之諸書付一同ニ御奉行より御用番江差
  出候間列座有之候様との書付ハ直ニ御奉行江相渡御目附江も右同且又繰出之書付も一同ニ相渡候事
  夫より列座有る様にとの事に、御奉行・御目付へ渡す筈の書付并に繰出し申渡し御請等の諸書付一同に、御奉行より御用番(月版家老)へ差
    し、列座有る様との書付は、直に御奉行へ渡し、御目附へも右に同じく、且又繰出しの書付も一同に相渡す事
     但御請書ハ御奉行返し置候へハ申渡相済御殿江仕出せ候若本人出方無之節ハ御請書を御用番物書ニ迄佐弐役よ
     り差廻置御請之趣御用
番宅江支配頭より相達候上御用人江仕出之事

      但御請書は御奉行へ返し置けば申渡しが済み、御殿へ仕出せる、若本人の出方が無い節は御請書を御用番物書迄佐弐役より差廻し置き、
      御請けの趣を御用番宅へ支配頭より達したる上、御用人へ仕出しの事

一、士席浪人御咎之節ハ頭又は組脇江口之間ニおゐて書付相渡候繰出しハ御目附ニ而候事
  士席浪人御咎の節は、頭又は組脇へ口の間において書付を渡し、繰出しは御目附の事
口之印ニ付付紙
口之印ニ付付紙
  ○八後申渡之其身病中ニて出方無之時ハ書付を組頭へ相渡是も御目附繰出ニて於詰間渡本人出方無之時ハ組頭へ本人
  何某へ申渡之書付ト(以下
一行判読不可)
  ○八つ後申し渡しの者病中にて出方が無い時は書付を組頭へ相渡し、是も御目附繰出にて詰間において渡し、本人出方が無い時は組頭へ本人何某
   へ申渡しの書付と(以下一行判読不可)

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(三十)犬追物御賞賜申渡之式

2021-08-29 13:52:02 | 有吉家文書

   〇犬追物御賞賜申渡之式

一、御殿之中之御間ニ而此申渡於政府は無之申渡御間取平常之通
  御殿(花畑邸)の中の御間にて此の申渡し、政府(御奉行所においては申し渡しは無く御間取は平常の通
一、書付者例之通御奉行より差出之事
  書付は例の通り御奉行より差出しの事
一、繰出名附御小姓頭江相渡目録ハ御目附相渡候事
     但御小姓頭繰出ニて繰付共御使番口之間江罷出取計之事
  繰出名附は御小姓頭へ渡し、目録は御目附へ渡す事
     但御小姓頭繰出にて繰付け共、御使番口の間へ罷り出取計いの事
一、御小姓頭より案内有之西之入口より入例之座ニ坐着之事
  御小姓頭より案内が有り、西の入口より入り、例の座に坐着の事
一、御奉行・御目附列座有之西之二枚襖之所ニ東向南頭ニ坐着之事
  御奉行・御目附列座有り、西の二枚襖之所に東向・南頭に坐着の事
一、相済申渡之書附ハ其坐ニて御奉行へ相渡候事 此書付ハ御品物引渡等之しらへ有之由ニ付無間違様相渡可申候
     但御小姓頭被相渡候書付者無之候之事
  相済す申渡の書附は、其坐にて御奉行へ相渡す事 此書付は御品物引渡し等のしらへが有る由に付、間違いなき様相渡す可べき事
     但御小姓頭相渡されたる書付は無い事
一、相済候段御小姓頭より知らせ無之御目附江者御用番より為知候事
  相済したること御小姓頭より知らせは無く、御目附へは御用番(月番家老)より知らされる事
一、御請書差上候事
  御請書を差上げる事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(廿九)口之間申渡之式

2021-08-28 08:43:07 | 有吉家文書

           ○ 口之間申渡之式

一御殿者中之間 東西之口御襖立ル 政府ハ口之間ニ而御奉行出方之口と坊主とも出ル口は建ニ不及 何茂御間取平常之通ニ
  候之事
    御殿は中の間 東西の口御襖立る、 政府(奉行所)は口の間にて御奉行出方の口と坊主とも出る口は建るに及ばず 何れも御間取平常の通のこと

一申渡ニ付諸書付者例之通御奉行より差出之事
 申渡に付諸書付は例の通り御奉行より差出す事
一重キ筋ハ御目附繰出軽筋ハ坊主繰出し右之境は機密ニて取調候事
    但御目附之節ハ繰出名付相渡坊主繰出之節ハ佐弐役より名付相渡候事
 重き筋は御目附繰出し、軽き筋は坊主繰出し、右の境は機密(間)にて取調べの事
    但御目附の節は繰出名付相渡し、坊主繰出の節は佐弐役より名付相渡しの事
一座着宜段申達候上御用番より竪畳壱枚半南より横畳二枚目之処ニ致座着左候而相済御用番座江参右書附者佐弐役江返し
 候書附次第ニハ坊主を以
返し候右書付返し候ニも不及候得共事柄次第ニハ於機密間入用之事も有之候間本行之通返し候
 事
 座着し終え申達しの上、御用番(月番家老)より竪畳壱枚半南より横畳二枚目の処に座着いたし、そうして御用番座へ参り、右書附は佐弐役へ返し
 たる書附次第には、坊主を以て返し、右書付返し候にも及ばなければ事柄次第には機密間において入用の事も有るので、本行の通り返す事

一御奉行・御目附列座之儀者依御用筋稀ニ者致列座候 目録渡之節ハ御目付列座勿論之事
    但御奉行列座有之節ハ申渡之書付於其座相渡列座無之節ハ相済候上直々御用番坐ニおゐて相渡候事
 御奉行・御目附列座のいことは、御用筋により稀には列座いたすこと、目録渡しの節は御目付の列座は勿論の事
    但御奉行列座が有る節は、申渡しの書付其座のおいて渡し、列座が無い節は相済の上直々に御用番坐におゐて渡す事
一御請書差上候事右申渡ハ御賞賜御用懸御手当類其外段々有之候事
 御請書を差上る事、右申渡しは御賞賜御用懸御手当類其外段々有之る事
一諸被仰出之書付渡候節も繰出等前条之通其節ハ文箱之蓋ニ書付数通次第之通入組口達も相済御奉行より御用番江差出候
 間 此書付不間違様御用番能見しらへ可申候且佐弐役より直ニ差出儀も有之候
 其儘致持参当人江致口達畢而書面相渡候事
 但口達之儀者元来手控なしニ申達候間口達書傍ニ差置候尤事之長キ儀ハ申渡之通ニもいたし候事

 諸々の仰出される書付を渡す節も、繰出等前条の通り其節は文箱の蓋に書付数通次第の通り入れ組み、口達も相済御奉行より御用番へ差出し、 此
 の書付間違わぬ様御用番能く見しらへ申べきこと、且佐弐役より直に差出すことも有ること

 其まま持参いたし、当人へ口達いたし終わって書面を渡す事
 但口達のことは元来手控なしに申達すので、口達書傍に差置くこと尤の事で、長い儀事は申渡し通にもいたす事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(廿八)堅メ之式書抜

2021-08-27 06:50:00 | 有吉家文書

○堅メ之式書抜

一御條目相渡堅見届候間麻上下着罷出候様前日及達候事
 御條目を相渡し堅く見届けられ、麻裃を着け罷り出る様、前日達しになる事
    但兼而御条目相渡居候御役々ハ堅メ迄見届候
    但兼ねて御条目相渡し居り、御役々は堅め迄見届けること
一此堅メ之儀御殿又ハ政府之差別外ハ同席之同席ニ応候事
 此堅めのことは、御殿又は政府(奉行所)の差別外は、同席(家老)の同席に応じる事
一当日当人出答有之候ヘハ御奉行より文箱之蓋ニ諸書付入御用番江差出候左之通
 当日当人出答が有れば、御奉行より文箱の蓋に諸書付を入れ御用番(月版家老)へ差出すこと左の通り
    一繰出名附
    一誓詞   此三通所ニ鎰々有之
    一前書写
    一御條目
一夫より御目附を呼御用番より右繰出名附等三通相渡候ヘハ口之御間江参当人を口之間衝立外ニ繰付置誓詞板ニ乗硯江添
 此硯等者坊主より持出 御用番座着之向を通り衝立之迦ニ出置御目附猶詰間ニ罷出宜旨御用番江申達候事
 夫より御目附を呼び御用番より右の繰出名附等三通相渡せば、口の御間へ参り当人を口の間衝立の外に繰付置き誓詞板に乗硯添へる
 此硯等は坊主より持出し 御用番座着の向うを通り、衝立の迦に出置き、御目附猶詰間に罷り出宜しき旨御用番へ申達の事
一夫より御用番口之間江罷越西より一間を左江当南より一間を後ニシテ北向ニ座着此座着之間合御尊政府共同様 御條目相
 渡候節ハ文箱蓋
に入なから持参右横ニ差置候事 
 夫より御用番口之間へ罷越し、西より一間を左へ当南より一間を後にして北向に座着、此座着の間合御尊・政府共同様 御條目を渡す節は文箱蓋
 入なから持参、右横に差置く事
 

一御用番坐着之上御目附より当人を繰出候得ハ誓詞之前ニ罷出時宜有之候間一寸会尺いたし候夫より左之通及達候
 御用番坐着の上御目附より当人を繰出されれば、誓詞の前に罷り出お辞儀有れば一寸会釈いたし、夫より左の通り達に及ぶこと
    御條目を相渡候間、夫ニ而拝見之上堅メ之判元見届可申候
       但御条目不相渡節ハ勿論右之口上無之候
    御條目を渡し、夫にて拝見の上堅めの判元を見届けべく申すこと
       但御条目を渡さぬ節は勿論右の口上はないこと
一右之通申渡御條目相渡候間請取元之坐ニ帰拝見之上血判有之候得者御目附誓詞を板ニ載なから持参候間見届之段当人江
 申達左候得者御目附元之坐ニ直リ前書写を当人江相渡当人退去之上詰間江入候事
 右の通り申し渡し、御條目を渡し請取り元の坐に帰り拝見の上、血判があれば御目附誓詞を板に載せなから持参あるを見届け、当人へ申し達し、そ
 うあれば
御目附は元の坐に直リ、前書写を当人へ渡し当人退去の上詰間へ入る事
    但幾人ニても居続ニて手数同断
    但幾人にても居続にて手数は同断
一御用人并御近習一手は直ニ被召出有之由ニ付即日堅メ有之候其外ハ追而堅有之候尤御用之覚旧ニも可応事
 御用人并て御近習一手は直に召し出しが有る由に付、即日堅め有ること、其外は追って堅め有ること、尤御用の覚旧にも応ずべき事
    但御留守年ニても御用人ハ多即日ニ堅有之候尤翌日ニ成候儀も有之事
       天保三年二月五日御備頭澤村宮右衛門堅見届之節機密間より差出之口達書左之通
       御條目相渡之夫ニ而一ト通御拝見可有之直ニ堅之判見届可申候外ニ請場之書付等二通相渡候追而可有拝見
       候以上二月五日

    但御留守年(在府)にても御用人は多く、即日に堅め有ること、尤翌日に成ることも有る事
       天保三年二月五日御備頭澤村宮右衛門堅め見届の節、機密間より差出の口達書左の通
       御條目相渡し夫にて一と通り御拝見有て直に堅めの判を見届け申べきこと、外に請場の書付等に通、渡して追って拝見あるべきこと
       以上二月五日

一御日柄ニても堅不苦例文化五年四月十六日杉浦仁一郎・綾部四郎助御郡代当分被仰付候ニ付於御奉行所堅被仰付候節ニ
 而御奉行奥田権之允
より今日ハ御日柄之事ニ御座候得共先例不苦趣ニ付今日堅被仰付ニ申談候段前以御用番江口達有之
 筈之処無其儀失念之段申述
有之候事
 御日柄にても堅め苦しからぬ例、文化五年四月十六日杉浦仁一郎・綾部四郎助御郡代当分仰付られることに付、御奉行所に於いて堅め仰付られる節
 に
御奉行奥田権之允より、今日は御日柄の事に御座候得共、先例苦しからず趣に付今日堅め仰付られるに申談ずること、前以って御用番へ口達有る
 筈の処、其儀なく失念の段申述べ有る事

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