津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■葉室麟著「蜩ノ記」と「刀伊入寇」

2024-12-19 07:18:23 | 書籍・読書

                           

 作家・葉室麟が直木賞を受賞したのは2011年下期のことだから、もう13年も前の事になる。
映画にもなった話題作だが、私は残念ながら映画の方は見ていない。
しかし映画の出演者を確認しながら改めて作品を読み返してみると、如何にもしっとりとした情感が感じられて、2011年下期の直木賞候補の中でダントツの評価を得て受賞が決まったことに納得させられる。
「刀伊入寇・藤原隆家の闘い」は、約1000年前の時代も背景も違う戦記物だが、初出の時期を見ると「蜩ノ記」と同時並行で発表されていることに気づく。
葉室は「長徳元年(九九五)三月~」と書き始める。まだ阿古という名の少年(隆家)の登場だが、葉室の創造の世界で隆家が成長していく。
NHK大河ドラマ「光る君へ」が、頭に残っているからその対比も面白く一気に読み進んだ。
中公新書・関幸彦の「刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機」もAmazonから同時に送られてきたが、こちらは「後」となってしまった。
私はたまたま歴史学よりも小説を選択してしまったが、これは葉室の創造の世界を満喫したいと思ったが故である。

この二つの作品が同一人によってもたらされた訳だが、改めて小説家の力量というものを感じさせられる。
私は葉室氏の作品はこれ以外には読んだことがないが、改めて他の作品に触れてみたいと感じたことである。

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■刀伊の入寇-二冊

2024-12-15 07:33:34 | 書籍・読書

         

 大河ドラマ「光る君へ」も最終回を迎えた。私の大河鑑賞では珍しく一度も見落とすことなく日曜日にはTVの前に席を置いた。
終盤に成り、かっての道長の甥で、ライバル中関白家の藤原伊周の弟・藤原隆家が活躍した「刀伊の入寇」が描かれた。
私はこの「刀伊の入寇」についてはあまり知識がないが、この隆家については肥後菊池氏の祖として理解している。
「肥後菊池氏の祖」についても異論はあるが、隆家の孫・政則を祖とする説がある。隆家が太宰権師として「刀伊の入寇」の大事の折には菊池氏も出陣したとされる。
2023年3月には、菊池市在住の歴史家・堤克彦氏をお招きして、熊本史談会でご講演をお聞きしたこともある。
隆家子孫説や土豪説などがあるのだそうだが、堤先生のお説では「混合説」であったかのように理解している。
菊池一族だとする西郷隆盛の西郷家は「隆」の字を通字とされているようだが、隆家からきているのだろうと、私は勝手に理解している。

 さて、ここに二冊の「刀伊の入寇」を取り上げたが、この二冊を購入して泥縄にもほどがあるが少々勉強をしようと考えている。

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■メルカリで

2024-12-11 07:05:58 | 書籍・読書

 過日、縁戚のK様から私家版・大森宏著「戦国の若狭-人と城-」の、第五章・第五節「熊川城と沼田氏」のコピーをお送り頂いた。
ここに沼田氏と松宮氏の関係が触れられていて、大変興味深い論考であった。
そうなるとこの本を手元に置きたいと思って調べてみると、ヤフーオークションでは、15,000円というとんでもない値段で出品されている。これには驚いて「日本の古本屋」を探してみると、3点あって3,000~5,500円とある。
いささか躊躇していたのだが、普通に検索してみたらメルカリで1,500円とあったからこれはありがたい。即購入することにした。
お陰でヤフオクの1/10の値段で購入できた。

                  

 若狭といえば、いわゆる若狭武田氏の御家来であった方々が多く細川家の家臣となられている。
細川幽齋の妹(三淵氏)・宮川尼が武田宮内少輔信高室であったことに関係しているのだろう。
我がサイトでは
細川家中の若狭衆という項を立てて特にご紹介している。そんな、若狭武田家などの情報も得られるのではないかと楽しみにしている。
メルカリで本を購入するという選択肢が一つ増えた。

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■織田信長文書の世界 永青文庫珠玉の六〇通

2024-10-05 11:24:18 | 書籍・読書

           織田信長文書の世界 永青文庫珠玉の六〇通

             織田信長文書の世界.jpg

今日から、永青文庫では新たに発見された信長の書状を含めて、展覧会が催されている。

     熊本大学永青文庫研究センター設立15周年記念「信長の手紙」展
          会場:永青文庫(東京都文京区)
          会期:令和6年10月5日(土)〜12月1日(日)
          https://www.eiseibunko.com/exhibition.html#2024aki

先にも書いたが、熊本でも開催されることを待ち望んでいるが、今回の東京での開催に当たって図録が出るだろうと思っていたが、これがそうなのか判らないが発刊された。
未だ、Amazonでも取り扱っていないように思える。あわてることはないが、楽しみにしている。

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■無事落札「熊本近世史についての十三章」

2024-10-01 19:25:35 | 書籍・読書

        

 この本の存在はもちろん知っている。自分でも所蔵していると思い込んでいたが、ヤフオクにこの品が出たとき改めて確認したが所蔵していなかった。
これはどうしても落札しなければと勢い込んでいたが、応札者が他にはなく無事落札して今日手元に届いた。
編者の松本寿三郎氏の昭和44年から平成7年に至る、いろんな雑誌に掲載された論文を13章にまとめられた。
内容については掲載された雑誌のいくつかを読んでいるから、半分ほどは承知している。

 明日から気温が急激に落ちて、雨模様が一週間ほど続くという。
せいぜい、風邪をひかぬようにしながら、13日かかりで精読したいと思う。安く手に入れられて有難かった。


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■遅ればせながら読むー朱子学と陽明学 (ちくま学芸文庫 コ 41-1)

2024-08-13 07:00:34 | 書籍・読書

インターネットで全く偶然、「大塚退野の生涯と其の著書」という論考に出くわした。大正10年に「文學士・今村孝三」が著した論考である。
大塚退野とは横井小楠が師と仰いだ人物である。「国を憂へ君を愛するの誠彌深節に有之、眞儒とも可申人物に御座候、ー拙子本意事此人を慕ひ學び候事に御座候」とは、小楠が久留米藩の本庄某に與へた書簡の一節である。
退野は初め陽明学を学んだが、後には朱子学に転じたと言われる。それは李退渓の「自省録」を読み初めて朱子学を志したという。
本来日本の朱子学は遠く鎌倉時代に全総によってもたらされた。(と承知してきた)しかしながら小楠が学ぶ朱子学は、李退渓の学説によるものである。
私が不思議に思うのは、今村氏は「内田周平・熊本學風の歴史的觀察」という文章を引用して「要之、退野の旨とする所は知行合一躬行實踐なり。熊本に於ける實學派の泰斗横井小楠、その親友元田東野、荻昌國等甚退野を慕ひ、その道を傳ふ。實學の名穪退野の學より來れりと云はれる。」を引用しているが、知行合一躬行實踐まさしく陽明学の教えではないのかと理解していた。

 熊本における陽明学は、幕府により陽明学が異学とされると寛文九年十月、有為の士が追放されるという出来事があった。
このことは、高野和人氏著「肥後の書家・陽明学者ー北嶋雪山」の生涯に詳しいが、浅学菲才の身では、李退渓の朱子学と陽明学の違いが良く理解できない。
朱子学と陽明学の関係は大方重複する部分を持ちながらもその深意の部分は明らかに異なっていると言われるが、知行合一躬行實踐などという言葉が出てくると爺様はすっかり頭がこんがらがってくる。

そこで、「遅ればせながら読むー朱子学と陽明学 (ちくま学芸文庫 コ 41-1)」という事で、この本を注文した。
私の疑問に答えてくれるでしょうか?

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■遅ればせながら読むー中公新書「万葉集講義」

2024-08-12 06:56:34 | 書籍・読書

                  万葉集講義 最古の歌集の素顔 

                 万葉集講義 最古の歌集の素顔

 暑い日が続いて、毎日クーラーの下で生活していると、TVをほとんど見ない私は勢い本を読むしかない。
オリンピックや甲子園の結果なども気にはなるが、インターネットで確認して唯一ニュースの時間のTVで映像を確認したりしている。
あまり長くない我が人生の終盤に、駆け込み的にいろんな興味ある本を読んで冥土への土産にしようと、新書本のリストなどを見ながら、Amazonに注文をしている。
有難い世の中で、朝注文すると晩にはポストに入っている。週一くらいで読めば50冊くらいは読めるから、あの世で出会った人たちと、話が盛り上がりそうだと思うのである。
新書ならば本棚一段くらいで収まりそうだから、読了してもう読みそうにない本を一段分処分しようと思っている。

 

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■強力推薦

2024-08-05 06:12:39 | 書籍・読書

  8月1日のブログでご紹介した篠田謙一氏の著「人類の起源」が大変面白い。
妻の入院さわぎで大いにバタバタして、じっくり腰を落ち着けて読むことができずなかなか前へ進まない。
Youtubeを見ているとき、何気なく人類の起源と打ち込んでみたら、ビックリするほどの数がヒットした。
篠田先生、Youtube界でも引っ張りだこらしい。
特に【人類はどこから来て、どこに向かうのか】国立科学博物館館長・篠田謙一/ノーベル賞受賞研究が明らかにした人類の起源/「日本人」の起源とは/「科博クラファン」の裏側と目的【EXTREME SCIENCE】を見つけ出して、一時間以上に及ぶ全編を拝聴したが大変面白く、著書を読み終えた感じさえした。
これを踏まえて本を読み返しているが、少々遅きに失したことを実感している。
日本人には2%ほどのネアンデルタールのDNAが残されているという。トランプが甚だしい人種差別の発言をしているが、人間遡るとすべからずここに行きつく。これに気づいてもらいたいものだと実感させられる。
次世代シークエンサー」という技術の出現は、人類生物学に画期的は変化をもたらした。

賢明なる諸兄はすでにお読みになっておられるかもしれないが、まだだとおっしゃる方は、まずはYoutubeをご覧になるのが良いかもしれない。
このほかにも篠田先生、いろんなところに引っ張り出されておられる。お疲れになりませんように・・・

 

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■お安く読むー中公新書「人類の起源」

2024-08-01 17:48:51 | 書籍・読書

               

 2023年度の新書大賞で2位になった本だが、古代DNAのゲノム解析という手法の確立により、人類の起源とネアンデルタールとホモサピエンスの関係や、その進化、遠い日本への旅やそのルートなどが判るのだという。
今日所用で出かけたついでに本屋さんによって購入したが、パラパラ読みの段階だが大変魅力的な著書である。
次世代シークエンサーの手法の確立によってもたらされるこのような成果は、これまで伝えられてきた日本の古代の縄文・弥生といった時代の常識が覆されることになる。
久しぶりに面白い本に出合った。

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■石光真清「城下の人」から

2024-07-25 06:03:32 | 書籍・読書

 石光真清著「城下の人」から、主人公の熊本時代を精読した。
その中の「神風連」の項を読んでいたら、この事件を予見して行動をしていた人がいたことが書かれている。
主人公の近所に住んでいた太田黒惟信は神風連の浦楯記等に踏み込まれたが、いち早く隣家に逃れて事なきを得たが、浦らは太田黒の屋敷に火をつけて退散した。
処が近所の嘉悦邸では、廃刀令を切っ掛けに神風連が何かしら行動を起こすのではないかと事件の三日前から、近所の進歩派の家の夫人たちが嘉悦邸に寄り集まり、
「主人が留守」だと言い募って毎夜かがり火をたき宴を催していたと記されている。

太田黒邸に浦らが踏み込んだのは、その三日目の事だと記している。進歩派の方々の家が襲われることはなかったようだが、この作戦が功を奏して襲われなかっ
たのかどうかは良くわからない。

しかし、そんな作戦に出たという事は、神風連の何らかの行動を起こすのではないかという、確信的な情報を得ていたのであろう。
そうだとすると、官軍がまさかの急襲を受けて初戦にて痛烈な痛手を負ったことは、情報収集が確かではなかったことを物語っている。
この小説は、石光真清の手記をご子息真人氏がまとめられたものである。嘉悦邸とは嘉悦孝子の屋敷だが、まさか作り話ではあるまい。

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■どんとぽっち

2024-07-16 06:22:49 | 書籍・読書

 NHK大河ドラマ「光る君へ」は、まひろが道長の子を宿していたことや、宜孝と結婚後も道長と逢瀬を楽しむなど、NHKとしては中々大胆な演出ぶりである。
さて私はいま、釘貫亨著「日本語の発音はどう変わってきたか」を読んでいる。
まさに「光る君へ」の時代の、優雅な紫式部や清少納言の歌を見たり聞いたりし、その水茎(筆あと)の優雅さもふくめて、これがその発音を知ると少々興ざめする感じである。
例に挙げられていたのが、柿本人麻呂の歌だが発音は下段の如くであったという。
こういった古い時代の発音が判るというのも、凄いものだとひたすら感心しきりである。

   ささ      みやま                いも 
   小竹の葉は深山もさやに乱るとも 我は妹思ふ別れ来ぬれば   柿本人麻呂
                     ママ
   ツァツァノファファ ミヤマモツァヤ二ツヤゲドモ・・・・・・・・

 ところで随分以前の「金鳥どんと(使い捨てカイロ)」のコマーシャルで、桂文珍と西川のりおが「ちゃっぷい、ちゃっぷい、どんとぽっち」となんだか時代不明な恰好で叫んでいたが、このことが上記著書で紹介されていて、日本語の古い発音としてあり得る話だと紹介されている。
「寒い、寒い、どんと(カイロが)欲しい」がこうなるというのである。寒いが「ちゃっぷい」欲しいが「ぽっち(い)」となるらしいのだが、本を読みながら当時のシーンを思い出して笑ってしまった。

 少々粗野な感じが残る熊本でもよく聞かれた言葉二つが、奈良時代のものとして紹介されていた。
インデックスを貼り忘れてどのページだったのか判らなくなったので、こちらは後程・・・

 

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■蔵書が増えて居ります

2024-06-16 06:35:25 | 書籍・読書

 昨日は熊本史談会の6月例会、山都町郷土史伝承会の田上彰先生の「布田保之助翁よもやま話」の講演をお聞きした。
布田保之助翁は、山都町の国指定重要文化財となった「矢部通潤橋」の建設に尽力した矢部郷の惣庄屋である。
大変興味深いお話をお聞きし、布田保之助の人となりを地元ならではのトリックなどを取り混ぜてお話をいただき大変有意義な講演であった。
脳細胞が急激に破壊され続けている私としては、メモを取ったりしたが、中々すべてとはいかず歯がゆい思いであったが、先生の御著を購入して帰宅後拝見したらそのあたりが詳しく説明されていた。
二冊を残して会員諸士が購入されたから、先生のお手元が寂しくなってしまった。

今一冊は当会会員でであり、方牛石仏保存会の会長であるN氏にお願いして購入した、方牛石仏紹介の図鑑である。会員の皆様のご努力が結実した。

                 

 又、会員・中村氏から数冊の書籍を頂戴したりして、また本棚の整理をして場所を確保しなければならない。

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■文士と殿様

2024-06-15 07:57:30 | 書籍・読書

                 

 インターネットで検索してみたら探している古本の情報があった。
「別冊・文藝春秋-187号」なのだが、このような写真が紹介されているものの「在庫なし」とあってがっくり来た。平成元年4月(1989)号である。
なんで取っておかなかったかと今となっては悔やまれるばかりであるが、ここに阿川弘之氏と細川護貞さまの対談「文士と殿様」が掲載されていた。
実は司馬遼太郎氏の「春灯雑記」に、「護貞氏の話ー肥後細川家のことども」という項目があり、護貞さまが勉強された漢学についての話がある。
司馬氏は阿川氏の先の対談「文士と殿様」(p140〜156)を引用されている。これはまさにその一部であろうから、全文を読んでみたいと思っての
ことであった。

 そんな中で、阿川氏は護貞さまにある種の誘導尋問のような話を持ち掛けている。昭和10年以降の戦争へ突き進む状況についてである。
護貞さまは師・狩野君山の話として「宋学(朱子学)がいけない」と答えておられる。
要約すると「朱子学というのは、理気の学(中略)、理論を進めていくと感情というものが全く入ってこない。非常に人を責める。人情が入らず理詰
めで責める。日本が徳川時代に徹底的に朱子学を持ち込んだ結果である。」と君山はいう。

司馬氏はこのことについて感想らしきものは一切ふれていないが、司馬氏が作品として残した時代や人物は、まさに君山の語る處の線上にある。

 熊本史談会の5月例会で「儒学、そしてその変遷」をお聞きして以来、少々の勉強をしている中で、君山のこの指摘をなるほどと思うのである。
少々脱線したが、35年ほど前の文藝春秋が県立図書館に所蔵されている。古本購入はあきらめて、図書館欲で拝読することにしようと思っている。


 

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■「熊本歴研・史叢」第8号

2024-05-29 06:32:46 | 書籍・読書

 先に古書籍店に注文した「熊本歴研・史叢」第8号が手元に届いた。2003年7月号とあるが、じつはそれまでは熊本歴研の冠はなく「史叢」だったようだが、同名のものが日本大学史学会に存在したため、変更方の申し入れがあったという。
熊本歴史研究会はこれを受け入れ、まさにこの号から「熊本歴研」を冠するようになったある意味記念するべき号となった。
                                   

 ここに蓑田勝彦先生が、銭匁勘定について初めて触れられた(?)論考「江戸後期 熊本藩における通貨制度-藩札の流通-」が掲載されており、是が読みたくて購入したものである。
この会誌が2003年7月であるから、ほぼ20年前のことになるがそんな時期蓑田先生はこの問題の理解のために奮闘されていたことが判る。
先生は私とほぼ同年代だと思うが、この問題については私は関係資料をできうる限り読んで、今ようやく理解の途についている。熊本の藩札は「1匁70文」で流通している。
よく例に取り上げられる通潤橋の工事費は「319貫406匁余」であるが、実質「銭」ではその70倍の22,358貫420文ということになる。
いわゆるびた銭を、319,406枚準備しなければならないことになる。それゆえ工事費の支払いなどは藩札で支払うという事になる。
すべてが藩札で支払われたのかどうかは、資料を見出せないから良くわからない。
藩からの借入金はともかく、人夫賃などは会所官銭などにより現金で支払われていたのかもしれない。
藩札を貰っても換金の手間がいり、日当払いには向かないであろう。
蓑田先生には、「熊本藩の社会と文化」という御著があるが、ここでも詳しく取り上げておられる。
最近、理解が深まり感謝申し上げたい。

ある方が藩札をたくさんお持ちだと聞及んでいる。お見せしますという事だから、何とか近いうちに拝見したいと思っている。

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■御恵贈御礼「家系研究・第77号」

2024-05-28 18:28:43 | 書籍・読書

 家系研究協議会から会誌「家系研究・第77号」をご恵贈給わった。厚く御礼申し上げる。

                   家紋「丸に五本骨扇に三つ巴」 

 目次をご紹介しようとおもい、スキャンしたが鮮明さに欠けるので、以下の如く目次をご紹介する。
   一、紀州湯浅氏の一族と祖系
   一、苗字と地名の関係について(下)
   一、清和源氏上野里見氏の系譜に迫る
   一、楠木氏後胤・慈光寺
   一、越前国の平泉寺の恵秀
   一、墓を訪ねて(4)山口県の大名墓
   一、薩摩刀匠 浪平正国一千年秘話 刀鍛冶の里(十三)
   一、表紙家紋について/あとがき

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