御格帳并考蹟志らへ等之内心覚之大旨左之通
一、免職之節御賞席ハ十年以上持懸御役席ハ二十年已上右同御賞禄其儘被下置儀茂右同断之事
免職の節、御賞席ハ十年以上持懸け御役席ハ二十年以上、右同御賞禄其のまま下し置かれることも右に同じ事
一、右同御役附之年数を以僉議ニ相成家督より之年数ハ取用ニ不相成候事
右同御役附の年数を以て僉議に成り、家督よりの年数は取用はならない事
一、禄三千石以上者此着座ニ持席有之弐千石以上者御番方ニは不被落大組附ニ被召加候事
禄三千石以上の者は此着座に持席有り、弐千石以上の者は御番方には落さず大組附に召加えられる事
一、慶安二年迄ハ旧知ニて同三年よりハ新知と宝暦六年被定候事
慶安二年迄は旧知にて、同三年よりは新知と宝暦六年定められる事
一、新禄ハ高之大小ニ寄五拾石又者百石其上茂被減候、扨又新古受居候ハ新知より被減候御定之事
新禄は高の大小により、五拾石又は百石其上も減せられ、又新古の知行を受居れば新知より減せらる御定めの事
一、右同御奉公及五十年候者ハ是ハ御役之年数ニ不拘惣年数取用ニ相成其子御家督之節無相違相続被仰付、旧知之人ハ拝
領物被仰付見合ニ候事
同じく御奉公五十年に及ぶ者は御役に年数に拘わらず、惣年数取用に成り、其子御家督の節は相違なく相続を仰付らる、旧知の人は拝領物を仰
付らえ見合の事
但御番方等舊知之人御番無懈怠四十年ニ及候輩ハ以其訳御服被下置候見合有之候事
但御番方等旧知の人は御番懈怠なく四十年に及ぶ者は、其訳を以て御服下し置かれる見合が有る事
一、右同御役三十年以上ニ及候輩者跡式無相違相続被仰付繁劇之御役ハ右年数ニ不至共無相違相続被仰付候事
右同御役三十年以上に及ぶ者は跡式相違なく相続仰付られ、繁劇の御役は右年数に至らず共相違なく相続仰付らる事
一、御擬作は家督之節父之勤五十年子之勤二十年ニ及候得者無相違相続被仰付候、又父之勤六十年ニ而者右同断
御擬作は家督の節父の勤め五十年・子の勤め二十年に及んでいる者は相違なく相続を仰付けらる、又父の勤め六十年にては右同断
但父四十五年子二十五年ニては難成候事
但父四十五年・子二十五年(都合七十年)では成りがたい事
一、藝数ニより無相違被下置候儀左之通
藝数(文武道)により相違なく下し置かれる基準は左之通
目録 四
目録 二
免許 一
免許 弐
右之通ニ候得共、稀ニハ一藝ニ而無相違被下置候儀茂有之候事
右之通ニ候得共、稀ニハ一藝ニ而無相違被下置候儀茂有之候事
一、文学之方ハ目当無之候処、近年者寛政二年杉浦角助家督之節高本敬蔵より達之趣有之、槍術目録一ツニて無相違相続
被仰付、其節申渡諸事心懸宜候付ケ様ニてと有之候、其已前右様之儀無之、角助節踏出カト相見候也家督前助教より
何某学問ハ免許ニ当り又目録ニ当り候と達出候、尤政府より一々問合ハ無之候併時宜ニも可応事
文学の方は目当は無いが、近年は寛政二年杉浦角助家督の節、高本敬蔵より達があり、槍術目録一ツニて相違なく相続仰付られ、其節申し渡し
は諸事心懸宜しきに付このように取り扱われたとこと、其れ以前にはこのようなことはなく、角助の節がはじまりと思われる、家督前助教より
何某の学問は免許に当り又目録に当ると達しがあり、政府より一々問合は無く併て時宜にも応ずべき事
一、御切米ハ御取立之面々江被下手取茂月刻ニて候事
御切米は御取立の面々へ下さる手取も月刻である事
軽輩之内席禄ニ困而御奉行より奉伺候稜左之通
軽輩の内席禄に困って御奉行より伺う稜左の通
歩御使番より歩御小姓列以上伺之
歩御使番より歩御小姓列以上の伺い
但御在府之節急成儀ハ不及奉伺上而達尊聴
但御在府は節急なることは伺い奉るに及ばず上にて尊聴(殿様の御耳に)に達す
一、諸役人段御切米拾石三人扶持之内被減候者并御給扶持被差救候もの伺之
諸役人段御切米拾石三人扶持の内減じなされる者、并御給扶持差救われるもの伺い
一、御切米拾石三人扶持被下置候者御咎に付而役儀被差除又者病気或者役儀立不申御免之節勤之年数ニ依而御切米之内被
減候儀且又歩御使番以下段格御給扶持持懸ニ而役替退役被仰付又ハ拝領物或ハ閉門逼塞遠慮等被仰付候儀者達 尊聴
ニ不及
御切米拾石三人扶持下し置かれる者、御咎に付て役儀差し除かれ、又は病気、或は役儀御免の節、勤の年数に依て御切米の内被じなされること
且又歩御使番以下、段格御給扶持持懸にて役替退役仰付けられ、又は拝領物或は閉門・逼塞・遠慮等仰付けられたることは、尊聴に達するに及ば
ない。