県重文「古今伝授の間」修復記念 11月に「水前寺まつり」 8月18日付・熊本日々新聞より全文掲載
熊本市の水前寺成趣園(公園)で修復中の県重要文化財「古今伝授の間」が9月末に完成するのを記念して11月6、7の両日、同公園一帯で「水前寺まつり」(仮称)が開かれる。既に官民で実行委を組織。園内を無料開放するほか、伝統芸能の披露や市中心部の秋の風物詩「みずあかり」も予定している。
「古今伝授の間」は1600年、後陽成天皇の弟、八条宮(桂宮)智仁親王が細川幽斎(藤孝)から古今和歌集の解釈を授かったことから、その名が付いたとされる。もともと京都御所近くの長岡天満宮にあったが、1912年、同公園に移築された。
09年5月から所有する財団法人永青文庫(東京、細川護熙理事長)が約1億円をかけて移築後初の全面修復工事を進めている。加えて今年が幽斎の没後400年に当たることから開催を企画。入園者の落ち込みが目立つ同園の再興も狙っている。
実行委は、県内の文化、経済団体などでつくる「熊本城400年と熊本ルネッサンス」県民運動本部(吉丸良治会長)を中心とする官民で組織。特別顧問に蒲島郁夫知事と幸山政史熊本市長の就任を予定している。
期間中は出水神社の協力を得て入園無料とし、能や流鏑馬[やぶさめ]、野だて、民謡大会などを予定。近くのジェーンズ邸と江津湖などを散策するツアーも計画している。夜は竹製灯ろうにあかりがともされ、夜の園内を彩る趣向。
関ケ原の戦い直前に幽斎が石田三成の軍勢相手に籠城[ろうじょう]戦を展開したことで知られる田辺城がある京都・舞鶴市との交流を予定。記念シンポジウムなどの関連催事も計画している。(前田克)