鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

33<創造神イメージと広域集団運営能力>

2014年06月03日 | 聖書と政治経済学



ここで「広域集団」ということばを導入しよう。

広域集団の代表は、株式会社と国民国家である。
株式会社は、個々人の少額の資金を株券を発行して集め、広域にビジネスを展開する方式だ。
国民国家は、同一言語を話す民族全体を集合させて、人民の主要関心事を国家に置かせる方式だ。

これらを運営する能力が近代統治力である。
統治力はガバナビリティともいう。

そしてこの近代的能力を産む精神土壌は、ほとんど創造神の神イメージによって形成されるものなのである。




<在物神文化>

人間は自然なままでは、在物神文化を創っていく。
この土壌からは、個人商店や地方豪族国家が自然発生する。
地方豪族国家は、日本の江戸時代には「藩」という形を取った。

これからすると、株式会社や国民国家は、広域集団なのだ。




<維新指導者がなした広域集団化>

明治維新国家政府の指導者たちは、西欧の創造神文化土壌の成果を、コピーし、なぞって強引に取り入れた。
集団の広域化と、その運営技法を強引に導入した。

渋沢栄一は、幕臣だったが、幕末にフランスに派遣され西欧の株式会社に感嘆した。
そして、明治日本にこれをひたすら移植し続けた。

西郷隆盛ら明治政府指導者は、版籍奉還・廃藩置県という荒療治をして日本を国民国家に改造した。

これら指導者は、日本の植民地化、属国化の危機に驚嘆して突発的に指導的地位に立った。
武士階級から、たまたま大集団運営能力を持った器が少数出た。




<司馬遼太郎氏が見た夢>

司馬遼太郎氏は、これを日本人本来の能力とみて、それへの能力回帰を歴史小説という手法で訴え続けた。
だが、明治の大集団運営者の出現は、実のところ突発的現象であった。

以後、大正、昭和と時が流れる中で、広域集団運営能力を持った人材は枯渇していった。

そういう精神土壌がないので、これは必然的なことだったのだ。

こうして国家レベルでの統治能力低下がものすごいスピードで起きる。
在物神のみという文化土壌では、この劣化現象自体が自覚できない。

司馬氏は昭和の日本にこの現象を見て驚きあきれ、憤慨の中で憤死した。




<天皇とマッカーサーの会見>

戦前までは天皇は国家元首であり、国家事項の最終決定権者であった。
彼は戦後にマッカーサーと会見したとき、「日本人には軍事手段を持たせないことを希望した」という。
憲法9章の「戦争と軍備の放棄」の条項が出来た原因には諸説あるが、鹿嶋はこの依頼は事実だったと確信している。

昭和天皇は、政権を握った軍部指導者の国家的決定のすべてに伴走してきた。
戦後振り返ってその無能ぶりにほとほとあきれ、絶望的な気分になった。
日本人には武器を持った大集団の適切な運転できない。
ここで刃物を持たせたら、またどうなるかわからない。

天皇の依頼は、十分な信憑性を持った事実だと鹿嶋は確信している。




<戦後の日本統治者も同じ>

アメリカは、戦後日本の武力運営を一手に引き受けてくれた。
そのおかげで、日本は繁栄できてきた。

だが、その中で、国家統治者のガバナビリティの幼稚さは続いている。
続くべくして続いている。

国際社会で、日本の国家運営担当者は、失笑されつつ応対されている。
まともに相手にされないで応対されている。

民主党政権者はその極地を示したが、自民党政権者も基本的には同じだ。

これは起きるべくして起きる現象である。
国家政府だけでなく、大規模株式会社にもそれは起きている。
東京電力という広域集団の中で、運営能力の幼稚化と、それによる成員の能力劣化、諸部門での運営能力劣化は露呈した。

この中で、米国の指導下から独立したら、悲劇は必然的だ。
戦前に劣らぬ国家暴走が起き、人民は悲劇のどん底に陥れられるだろう。




<創造神の神イメージを学ぶべき>

日本人が創造神の神イメージを学ぶ必要は、もう「待ったなし」だ。

かといって、従来の在物神を捨てなくていい。
そもそもそんなことは出来ない。
伝統文化には、民族の精神を潤す力もあるし、それはそのままでいいのだ。

そのままでいいから、創造神の神イメージを心して学ぶことだ。
これによって、「自分たちの伝統的神イメージが在物神のそれである」ことを初めて自覚できる。
その長所・短所も初めて距離を置いて認識できる。

この効果は計り知れない。
これが精神の覚醒なのだ。
もちろん、これですべてが解決するのではない。

だが、後のことは、民族の知性とそれこそ「神のあわれみ」に希望をおく以外に、道はないのだ。







コメント (2)
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