聖書の思想の中で、うつ心理対策のため直接的な効力を持つのは「人間は永続する」という思想だ。
永続するから、それに付与する価値意識も永続的に考えることができる。
だが、これを示す聖句は単独ではインパクトが弱い。
これは聖書の持つ世界観の中に位置づけられると、より総合的で安定的な心理効果を発揮する。
<聖書の世界観>
聖書の世界観では、世界は万物の創造神によって創造されている、となっている。
これは我々が五感で認知する五感経験ベースの世界観とは180度異なる対極的なものだ。
我々の経験的世界観では、世界は「ただ存在している」ものである。
世界の説明は、そこから始まる。
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対して、聖書の世界観では、まず、万物の創造神がいる。
そして我々が五感で「ただ存在している」とみる世界は、聖書の世界観では被造物の世界となる。
「被造界」だ。
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創造神は時間的無限者、すなわち永続者だ。
空間的にも無限者で、世界はその懐のなかにある。
(論理的にもそうしかならないことによって、人類に「無限大」の理念が投げ込まれた)
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またこの世においてもそうだが、創った側は創られた側より絶対的に上位にある。
被造界は創造神の意志と計画の中で、つまるところは動いている。
<世界観の中の人間観>
人間は被造物の一つだ。
肉体の中に霊という意識体が入っているようにして創られている。
そして、肉体は死んでも霊はそこを抜け出て永続する。
将来、宇宙が消滅するときには、霊は身体となって復活する。
そして創造神の言葉を受容している霊は、天の創造神の王国(天国)に入れられて永続する。
需要を拒絶した霊は、火の湖に入って永続する。
いずれにせよ、永続する。
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「人間は(肉体が)死んでも消滅しない」という人間観はそういう世界観の中にある。
そして繰り返しになるが、その存在に付与されている価値も、強制的に消滅させられることはない。
この思想は、生来のままの人の心の底に常駐する慢性的鬱気分を打破する力を持っている。
このように世界観を知り、それを五感経験的世界観と意識の中に併存させるのが、うつ心理打破政策の第一歩だ。
<見えない世界を100%知ることはできない>
この際、心に言い聞かせるべきは、「聖書の世界観が100%正しいとわかる」と思い込まないことだ。
見えない要素(神はその代表)を含む世界観を、100%正しいと認識することなど、人間にはできない。
できないことをしかと自覚しないと、「神様のいうことだから100%信じないと」という義務感がやってくる。すると100%信じたという誤認(聖書で言う偽善はこの意味)に陥っていく。
誤認に陥ると、自分の心を内省して、100%でないことを感触して罪悪感と恐怖を抱く。
いいことなど一つもない。
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悪いことはまだある。
「100%正しいとわかる」と誤認すると、五感的世界観は全く正しくない、正しさゼロパーセントとなってしまう。
そう思うと、二つの世界観が、どちらを選ぶか、という二者択一に心の中でなってしまう。
すると、聖書の世界観を併存させることができなくなる。
<確率の感覚で>
「五割くらい、あるいは、六割くらい正しい感じがする」でいい。
できることをすればいいのだ。
それでも併存させていると、聖書の世界観を示す聖句が効力を発する。
聖句は言葉であり、言葉は、その波動でもって影響力を発する。
「人間は永続する」と述べる言葉が、無常観を和らげていく。
聖書の世界観を五感世界観と併存させていること、これがうつ心理打破の第一歩だ。