ところで、「浄土仏教はキリスト教の言い換え」だというと、「鹿島春平太も突然なにをいいだすか」
と思う人が多いでしょう。
歳とって痴呆化したのか~という人もいるだろうね。
だが実態はそう単純ではありません。
口に出すのは今がはじめですが、実は鹿嶋は、以前から「浄土仏教はキリスト教教義の言い換え」という認識への根拠をもっていました。
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筆者は現役時代から、中国経済の研究グループにも属し、現地調査も一度ならず試みていました。
研究の一環として歴史も調べ、唐の時代の長安については現地調査しました。
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現在、長安という都市はなくなっています。
だが、それを9分の一に縮小した都市、西安(しーあん)が保存されています。
これには、さすが中国、と感心しました。
そこには、かつて100万人が住んだという世界最大の自由都市・長安のエッセンスが保存されています。
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西安の近郊には、人の身長より大きな石の板が埋められていた土地がありました。
それには、自由都市長安に花開いた諸思想に関する記述がありました。
あの偉大なる国家、唐の末期に玄宗というおバカ皇帝がでました。
彼は突然儒教以外の思想を全部禁止しました。
皇帝の権力を使って、徹底した宗教統制を行いました。
その結果、自由都市長安に花開いた諸思想が、すべてなきものにされていきました。
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だがその思想活動を、心ある人々が文章にして、大きな石の石版に彫り込みました。
これも中国ですね。
彼らが、後世に伝えようとして石版を土の中に埋めた。
中国には孔子の昔から、貴重な言葉を石版に彫り込んでおく、という伝統がありました。
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石版の本物は、博物館に収められてあるそうですが、レプリカは見られました。
それを見に来る人々で一番多いのは、西欧のクリスチャンだということです。
筆者は中国語が読めませんので、案内者の解説たよりでしたが、玄宗は狂ったように思想統制をしたようです。
長安で栄えた諸思想をみな、弾圧、禁止し、中国古来の儒教だけを信じるように政治権力で強制した。
こういうことをすると、国民の精神は萎縮し、国が崩れていくのです。
巨大なる国家は、皇帝が一人の女(楊貴妃)に溺れたくらいでは、崩壊しないです。
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ともあれ、思想統制の結果、ネストリウスキリスト教も、仏教も一時的に衰えてしまいました。
だが、人々に広く受け入れられた思想は、深いところで存続し続けます。
それらの事実と、石版に彫り込まれた文章などよって、我々は浄土仏教の出来方も察知出来るのです。
(続きます)
三武一宗の法難で仏教だけでなく、景教も弾圧されたとか聞いたことがあります。