Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

あまりに軽いことば

2017年08月06日 16時13分49秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 本日の広島の平和記念式典で安倍首相は、「核兵器禁止条約」には触れず、批判が相次いでいる。あいさつの中で安倍首相は「真に「核兵器のない世界」を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要です。我が国は、非核三原則を堅持し、双方に働きかけを行うことを通じて、国際社会を主導していく決意です」と述べた。



 ところが共同通信では安倍首相は6日に「非核三原則の法制化不要」と述べたという。この記事が正しいとして、この安倍という政治家は、何のために広島に行ったのか、私には理解できない。また自らが述べた「我が国は、非核三原則を堅持し、双方に働きかけを行うことを通じて、国際社会を主導していく決意です」ということばの意味を知ってあいさつしたのかはなはだ疑問であるとしか言えない。

 そして私はこのあいさつ文そのものに違和感を持っている。「国際社会を主導していく」ということばに違和感を持つ。自らが指導者然として高所からのものいいである。どこの国の政権トップであっても、それは日本という国家と同列の主権を持つ。この人の頭の中には常に指導と非指導、主導と追随者、導くものと導かれるもの、とが存在するらしい。少なくとも国際社会や国家間の関係の中で「主導」しようなどという姿勢は反発を招くだけである。
 国際社会の中で、「戦争の惨禍を繰り返さないために、そして被ばく国の立場として、率先して「隔世のない世界」に向けて努力したい」といえないのか。その提起の裏付けとして「非核三原則の法制化」や「各兵器禁止条約の批准」を言えないのか。
 この人のことばはあまりに軽い。戦争の惨禍を招いた国の政治家として、そして惨禍を受けた人々の思いを受け止める政治家として、重みのあることばが求められる。この人は自分が述べたことばに責任を持つという社会人としての基本的な倫理観が欠如していることは、政権発足後の今日までの国会答弁や、選挙演説を聞く限り、明白ではないだろうか。
 政治にことばの重みを取り戻したいものである。

広島平和式典での「平和への誓い」

2017年08月06日 14時12分57秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
ことばを尽くしても語り尽くすことのできない原爆。
毎年・毎年多くの貴重で心をうつことばが紡ぎ出される。
しかし惨禍を受けた人々のひとことに比べて、日本政府の言葉ほど空虚なことばはないというのが、悲しい。
惨禍をひき起こした政治に携わる人々のことばが、惨禍を蒙った人々のひとことに響き合う時代は来ることはないのかもしれない、という絶望感に苛まれる。
その絶望感が戦後72年の日本の政治をますます堕落させているとも感じる。
せめて惨禍を蒙った人々のことばを受け止めることのできる自分でありたいと思う。


 広島市の「平和祈念式典」が開かれ、「平和への誓い」を読み上げられた。「平和への誓い」の全文は以下の通り。第3連が大きなポイントの文章であろう。

平和への誓い

原子爆弾が投下される前の広島には、美しい自然がありました。
大好きな人の優しい笑顔、温もりがありました。
一緒に創るはずだった未来がありました。
広島には、当たり前の日常があったのです。

昭和20年(1945年)、8月6日午前8時15分、広島の街は焼け野原となりました。
広島の町を失ったのです。
多くの命、多くの夢を、失ったのです。

当時、小学生だった語り部の方は、「亡くなった母と姉を見ても涙が出なかった」と語ります。感情までも奪われた人がいたのです。

大切なものを奪われ、心の中に深い傷を負った広島の人々。しかし今、広島は、人々の笑顔が自然にあふれる街になりました。草や木であふれ、緑いっぱいの街になりました。
平和都市として、世界中の人に感心を持たれる街となりました。

あのまま人々が諦めてしまっていたら、復興への強い思いや願いを捨てていたら、苦しい中、必死で生きてきた人々がいなければ、今の広島はありません。

平和を考える場所、広島。
平和を誓う場所、広島。
未来を考えるスタートの場所、広島。

未来の人に、戦争の体験は不要です。しかし、戦争の事実を正しく学ぶことは必要です。

一人ひとりの命の重みを知ること、互いを認めあうこと、まっすぐ世界の人々に届く言葉で、あきらめず、粘り強く伝えていきます。

広島の子供の私たちが勇気を出し、心と心をつなぐ架け橋を築いていきます。

平成29年(2017年)8月6日

こども代表
広島市立大芝小学校6年 竹舛直柔
広島市立中筋小学校6年 福永希実

2017年広島市平和宣言

2017年08月06日 09時10分34秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
★「政府は、核兵器禁止条約の締結促進を」 平和宣言全文

 6日午前に広島市で開かれた平和記念式典で、松井一実市長が読み上げた「平和宣言」の全文は次の通り。

 皆さん、72年前の今日、8月6日8時15分、広島の空に「絶対悪」が放たれ、立ち昇ったきのこ雲の下で何が起こったかを思い浮かべてみませんか。鋭い閃光(せんこう)がピカーッと走り、凄(すさ)まじい放射線と熱線。ドーンという地響きと爆風。真っ暗闇の後に現れた景色のそこかしこには、男女の区別もつかないほど黒く焼け焦げて散らばる多数の屍(しかばね)。その間をぬって、髪は縮れ真っ黒い顔をした人々が、焼けただれ裸同然で剝(は)がれた皮膚を垂らし、燃え広がる炎の中を水を求めてさまよう。目の前の川は死体で覆われ、河原は火傷(やけど)した半裸の人で足の踏み場もない。正に地獄です。「絶対悪」である原子爆弾は、きのこ雲の下で罪のない多くの人々に惨(むご)たらしい死をもたらしただけでなく、放射線障害や健康不安など心身に深い傷を残し、社会的な差別や偏見を生じさせ、辛うじて生き延びた人々の人生をも大きく歪(ゆが)めてしまいました。

 このような地獄は、決して過去のものではありません。核兵器が存在し、その使用を仄(ほの)めかす為政者がいる限り、いつ何時、遭遇するかもしれないものであり、惨(むご)たらしい目に遭うのは、あなたかもしれません。

 それ故、皆さんには是非(ぜひ)とも、被爆者の声を聞いてもらいたいと思います。15歳だった被爆者は、「地獄図の中で亡くなっていった知人、友人のことを偲(しの)ぶと、今でも耐えられない気持ちになります」と言います。そして、「一人一人が生かされていることの有難(ありがた)さを感じ、慈愛の心、尊敬の念を抱いて周りに接していくことが世界平和実現への一歩ではないでしょうか」と私たちに問い掛けます。

 また、17歳だった被爆者は、「地球が破滅しないよう、核保有国の指導者たちは、核抑止という概念にとらわれず、一刻も早く原水爆を廃絶し、後世の人たちにかけがえのない地球を残すよう誠心誠意努力してほしい」と語っています。

 皆さん、このような被爆者の体験に根差した「良心」への問い掛けと為政者に対する「誠実」な対応への要請を我々のものとし、世界の人々に広げ、そして次の世代に受け渡していこうではありませんか。

 為政者の皆さんには、特に、互いに相違点を認め合い、その相違点を克服するための努力を「誠実」に行っていただきたい。また、そのためには、核兵器の非人道性についての認識を深めた上で、自国のことのみに専念して他国を無視することなく、共に生きるための世界をつくる責務があるということを自覚しておくことが重要です。

 市民社会は、既に核兵器というものが自国の安全保障にとって何の役にも立たないということを知り尽くし、核を管理することの危うさに気付いてもいます。核兵器の使用は、一発の威力が72年前の数千倍にもなった今、敵対国のみならず自国をも含む全世界の人々を地獄へと突き落とす行為であり、人類として決して許されない行為です。そのような核兵器を保有することは、人類全体に危険を及ぼすための巨額な費用投入にすぎないと言って差し支えありません。

 今や世界中からの訪問者が年間170万人を超える平和記念公園ですが、これからもできるだけ多くの人々が訪れ、被爆の実相を見て、被爆者の証言を聴いていただきたい。そして、きのこ雲の下で何が起こったかを知り、被爆者の核兵器廃絶への願いを受け止めた上で、世界中に「共感」の輪を広げていただきたい。特に、若い人たちには、広島を訪れ、非核大使として友情の輪を広げていただきたい。広島は、世界の人々がそのための交流をし、行動を始める場であり続けます。

 その広島が会長都市となって世界の7400を超える都市で構成する平和首長会議は、市民社会において世界中の為政者が、核兵器廃絶に向け、「良心」に基づき国家の枠を超えた「誠実」な対応を行えるような環境づくりを後押ししていきます。

 今年7月、国連では、核保有国や核の傘の下にある国々を除く122カ国の賛同を得て、核兵器禁止条約を採択し、核兵器廃絶に向かう明確な決意が示されました。こうした中、各国政府は、「核兵器のない世界」に向けた取り組みを更に前進させなければなりません。

 特に、日本政府には、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」と明記している日本国憲法が掲げる平和主義を体現するためにも、核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい。また、平均年齢が81歳を超えた被爆者をはじめ、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々に寄り添い、その支援策を一層充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めます。

 私たちは、原爆犠牲者の御霊(みたま)に心からの哀悼の誠を捧げ、世界の人々と共に、「絶対悪」である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを誓います。