★吊革に手首まで入れ秋暑し 小路紫峡
★紙切って鋏おとろふ秋暑かな 片山由美子
吊革に手首までいれて吊革にぶら下がる仕草。この乗客は暑さにまいっているのだろう。吊革にぶら下がるさまは夏や残暑の候に限らず、冬でも新年でも春でも見かける。しかし湿気の多い暑さに耐え、何とか秋口まで我慢したものの、ぶり返しの暑さにまいってしまったのでろう。電車の中で立っているのだから、それなりに混雑している車内、それも夕方の帰り際とは思えない。朝の通勤時か、仕事中のようすだと思う。車内のクーラーはきっと効いていない。あるいはお盆の帰省、家族サービスで疲れてしまった勤め人と想像を広げられる。
長年使っていた鋏の切れ味のちょっとした変化に残暑の暑さを結びつけた。根拠はないが、どこかで納得してしまう。鋭利な切れ味の鋏も、暑さで刃がなまってしまった。冷たい光が刃には残されていない。それは多分鋏を使う人の疲れ、だるさの反映である。
★紙切って鋏おとろふ秋暑かな 片山由美子
吊革に手首までいれて吊革にぶら下がる仕草。この乗客は暑さにまいっているのだろう。吊革にぶら下がるさまは夏や残暑の候に限らず、冬でも新年でも春でも見かける。しかし湿気の多い暑さに耐え、何とか秋口まで我慢したものの、ぶり返しの暑さにまいってしまったのでろう。電車の中で立っているのだから、それなりに混雑している車内、それも夕方の帰り際とは思えない。朝の通勤時か、仕事中のようすだと思う。車内のクーラーはきっと効いていない。あるいはお盆の帰省、家族サービスで疲れてしまった勤め人と想像を広げられる。
長年使っていた鋏の切れ味のちょっとした変化に残暑の暑さを結びつけた。根拠はないが、どこかで納得してしまう。鋭利な切れ味の鋏も、暑さで刃がなまってしまった。冷たい光が刃には残されていない。それは多分鋏を使う人の疲れ、だるさの反映である。