「日本語の豊かな使い手になるために」(大岡信)より。
いつものとおり、備忘録として‥。
「声をとおさなければ、どんな思想も生きてこないと煎っていいくらいに、声というものは思想を肉体化するうえで重要性をもっている。‥昔、万葉集にあるような歌がうたわれていた時代のことばが、千年以上たったいまも、ぼくらの心を動かす力をもっています。それらは、文字として書かれたものではなく、肉声をとおして歌いつがれてきたものです。それがある時期に筆記された。」
「ぼくたちは漢字かなまじり文に翻訳されたものを活字印刷で読んでいるわけですから、当時の人びととは違うものを見ているわけですが、原作がもっていた力強さ、美しさ、論理性‥‥などといった言語の本質はすべて伝わってきます。‥とすると、万葉集の歌の基本とは、五七五七七というリズムをもったことばである。けっして万葉仮名という文字ではなかった。そのことが学問研究が進むにつれて、‥忘れられがちになってきたように思います。」
いつものとおり、備忘録として‥。
「声をとおさなければ、どんな思想も生きてこないと煎っていいくらいに、声というものは思想を肉体化するうえで重要性をもっている。‥昔、万葉集にあるような歌がうたわれていた時代のことばが、千年以上たったいまも、ぼくらの心を動かす力をもっています。それらは、文字として書かれたものではなく、肉声をとおして歌いつがれてきたものです。それがある時期に筆記された。」
「ぼくたちは漢字かなまじり文に翻訳されたものを活字印刷で読んでいるわけですから、当時の人びととは違うものを見ているわけですが、原作がもっていた力強さ、美しさ、論理性‥‥などといった言語の本質はすべて伝わってきます。‥とすると、万葉集の歌の基本とは、五七五七七というリズムをもったことばである。けっして万葉仮名という文字ではなかった。そのことが学問研究が進むにつれて、‥忘れられがちになってきたように思います。」