78歳の父親が死期を悟る。そして、「解脱の家」に移る。その日常をガンジスの面影に寄せてカメラは寄り添ってゆく、、。
10年以上もその家に住み着いている人もいれば、短く逗留したのちにこの世を去る人もいる。そんな営みをじっくりと時にはユーモラスを交えて描いてゆく。
特に変わったこともなければ、続いてゆく日常。どこにでもあるような家族の姿がそこにある。ガンジスの川の流れのように人の営み、人生は緩やかに続いてゆく。
それだけの映画です。ドラマチックのものもなければ、死を掘り下げたものでもない。敢えてドラマチックだったのは、緩やかな流れを変えた父親の突然の死である。あれほど食し、あれほど普通に話し、全く元気そうだった父親が、夢に見たそのまま迎えが来たかのように解脱の世界に行ってしまったことである。
人の死はガンジスの緩やかな流れの中では単なる一コマに過ぎないことが分かる。別に何をも思うことはない。我々この世に生きているということはただの偶然に過ぎないのだということをつくづく考えさせてくれる。
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